
オノ ナツメ
リストランテ・パラディーゾとんでもなく
紳士萠えな作品に出会ってしまいました。
それが
『リストランテ・パラティーゾ』。
オーナーの奥さんであるオルガの希望により、従業員全員が老眼鏡をかけているというマニアックなリストランテが舞台。
もちろん味も確かなのだが、従業員目当てでやってくる女性客も多い。
「紳士好き」か。わからんでもない。
でも日本ではなかなかお目にかかれないのが現実(´_`。)
主人公はニコラッタ、21歳。
ある重大な決意を抱えてローマにやって来た。
それは母親とその夫に、自分の存在をばらすこと。
彼女の母親は仕事が忙しくて、ニコレッタを祖父母に預けたまま、
さらに再婚したい相手が未婚の女性を望んでいることを知り、
ニコレッタの存在をひた隠しにしてきたのだ。
滅多に会いに来ることもないまま、成人したニコレッタはぶちぎれた。
そのニコレッタの母親がオルガ、
『リストランテ・パラディーゾ』オーナーであるロレンツォの妻だったのだ。
アポなしで『リストランテ・パラディーゾ』を訪れたニコレッタは、ロレンツォとオルガに出くわすが、オルガの頼みによってとりあえずその場での暴露は止めることに。
そして一人の気になる紳士、クラウディオと出会う。
彼は『リストランテ・パラディーゾ』のカメリエーレ長。
ニコレッタは娘であることを隠す代わりに、男だらけの『リストランテ・パラディーゾ』で働くことをオルガに要求するが……。
なんといってもクラウディオだ。
わたしも惚れた。優しくて、物腰柔らかくて、色気たっぷりで。
なのに別れた妻との結婚指輪をまだ外してないという陰もあり。
ニコレッタのアプローチに困りつつも、つい優しくしちゃったりして。
『困ります……』うん。積極的に困らせたいんだ。こんな表情されたら、襲っちゃいますよ?
ま、このときはオルガが来ちゃったので未遂となってしまいましたが。
この作品のテーマは、
いろんなかたちの愛があるってこと。
素直なニコレッタの視点を通して、さまざまな愛のかたちが胸に沁みるんです。
なかなか指輪を外せない、クラウディオの複雑な想い。
「好きな人に嫌われたくない」そんな一心で夫に嘘をつき続ける、オルガの「女」らしさ。
義理の兄妹であるソムリエのジジと、オーナーのロレンツォの関係も切ない。
ジジとロレンツォは母親が同じ。
そして父親は兄弟なのだ。
絶縁状態にあったのだが、ワインを通して二人の息子は親交を深めていく。
だけどなんとジジもオルガに惹かれているようなのだ。
だからあっさりオルガの娘だろうと指摘されて、ニコレッタも驚く。
『笑顔が同じだ』だけど父親たちと同じ道だけはたどりたくないジジは、その恋心を心に秘める。
せっつなーーーーーい。
またオルガとニコレッタの関係もステキだ。
はじめこそ母親を困らせようと意気込んでやってきたニコレッタだが、
仕事も順調、パートナーとの関係も良好で、店のみんなからも愛される、
そんな母親を一人の女として羨ましく思う。
また娘とは公言しないものの、必死で自分をかまってくれてることにも気付いてたんだろう。
これが15歳くらいだったらそんな風には思えなかったのかもしれないけど、
ニコレッタも母親を認めることで大人になったのだと思う。
でも終盤、みんなの前でついにオルガ自身の口からカミングアウト。
ここのエピソードは何回読んでも泣ける。ていうか今も感想書きながら泣きそうだわ。
「娘であることは言わないから」と自分のことを応援してくれる、
ニコレッタの純粋な愛情を知って、オルガは耐えきれなくなったのだ。
娘の存在を隠そうとする自分自身に。
ニコレッタも『今までごめんね』と謝るオルガに『いいのよ』なんて笑顔で返しながらも、
裏に行ってクラウディオの前で『……やっぱり嬉しいね』と涙する。
泣くよ。良かったね、ニコレッタ。
色気あり、片思いあり、親子愛ありな最高にスペシャルな物語でした。
マジで今年読んだ漫画の中でもベスト級の作品かもしれない。
番外編も出るらしいので、今から楽しみだー。