全仏オープンの男子シングルスで、錦織がセルビアのラスロ・ジェレにセットカウント3-2で勝ち、4回戦進出を決めました。

 

相手のジェレがクレーコートが得意で良いプレーをしたこともありますが、2回戦までと違って錦織のサーブと攻めの姿勢が今一つだったことが苦戦の原因となりました。

 

ファーストサーブの確率は全体では66%と悪くありませんでした。しかし、下の図にあるように、ジェレにセットを奪われた第2セットと第4セットはそれぞれ54%61%、ファーストサーブのポイント獲得率は60%57%と試合全体よりも低くなっています。また、第5セットはファーストサーブの確率とポイント獲得率は良かったのですが、セカンドサーブのポイント獲得率が26%と非常に低くなっていました。

 

 

また、ストロークの打ち合いの時に、2回戦のツォンガとの試合では攻められるようなボールが来た時は躊躇なく攻めていたのですが、3回戦では攻めを躊躇してしまい、そのうちにジェレに攻め込まれるという場面が少なくありませんでした。

 

相手がツォンガの時は、先に攻めなければツォンガがどんどん攻めこんで劣勢になるということもあり、積極的に錦織は攻めていました。ツォンガに比べてジェレは、すぐに攻めこむようなボールを打ってくるわけではなかったですし、ジェレの方がツォンガよりディフェンス力が高いので、攻めていっても守りきられる可能性がありました。錦織としては、リスクを冒すよりも安全策を取って、攻めを躊躇したのかもしれません。

 

この辺りは難しいところで、選手としては危険を冒すよりは安全にポイントを取れるのであれば、安全策を取りたがるものですので、そういったことが心理的に影響したことが考えられます。

 

 

1セットは、錦織は先にブレークを許しますが、直後のジェレのサービスゲームをブレークし、ゲームカウント5-4で迎えた第10ゲームのジェレのサービスゲームをブレークして、第1セットを取ります。

 

2セットは錦織が先にブレークをして、一時はゲームカウント4-1とリードします。しかし、7ゲームの錦織のサービスゲームでは、40-0から逆転されてブレークを許してしまいます。ジェレが良いプレーをしたというよりも、錦織が自らのミスによってゲームを失ってしまったので、非常にもったいないゲームでした。

 

1セットを取って、第2セットでも先に相手のサービスゲームをブレークしており、錦織が主導権を握っている状況でしたので、先行出来ていた状態で第2セットも取れていれば、この試合はストレートで終わっていたかもしれません。ですが、ジェレは第2セットを取ったことで「錦織相手でも行ける」と思わせてしまったことが、この試合のその後に大きく影響しました。

 

また、第2セットの途中からジェレのストロークの調子が良くなり、逆に錦織は徐々にミスが多くなってきました。ですから、第2セットをジェレに取られた時は、錦織は苦戦するかもしれないと感じました。

 

しかし、3セットに入ると疲れが出てきたのが、ジェレの動きが悪くなります。錦織は第3ゲームで先に相手のサービスゲームをブレークをすると、6-3であっさりとこのセットを取りました。このセットになると、ジェレは走らされるとストロークの精度が落ちてミスが多くなってきました。また、ジェレのセカンドサービスになると、錦織は踏み込んでいって前でリターンをして打ち込み、ポイントにつなげることが多くなりました。

 

この流れのまま行けば、第4セットも錦織のペースになるかと思いましたが、錦織は第1ゲームでサービスゲームをいきなりブレークされてしまいます。すぐに次のゲームでブレークバックしますが、第3ゲームでも錦織は再びブレークされてしまいます。

 

ブレークされた2つのゲームでは、錦織のミスが多く、自ら流れを相手に渡してしまう格好になりました。第4ゲーム以降のジェレのサービスゲームでは、錦織がブレークできそうなチャンスがありましたが、そこで攻めきれずにキープをされて、第4セットを失ってファイナルセットにもつれ込んでしまいます。

 

5セットでは、第1ゲームと第3ゲームのサービスゲームをブレークされて、錦織はゲームカウント0-3と絶体絶命のピンチに陥ります。ストロークでもジェレの調子が上がってきて、錦織の調子が下がってきていましたし、2ブレーク差はさすがに厳しいので、このまま錦織は負けてしまうのでは思いました。

 

4ゲームのジェレのサービスゲームを取られてしまうと、ほぼ勝負は決してしまう状況でした。ここで大切なのは最初のポイントです。ジェレが取れば心理的に優位に立ち、一気に流れがジェレの方に行く可能性がありました。しかし、センターに良いファーストサーブが入ったのを錦織はバックのスライスで何とか返し、次のバックハンドをストレートに打ってウィナーを決めました。この1ポイント目は非常に大きなポイントになりました。

 

次のポイントは、錦織が主導権を握って攻めて取り、0-30としてリードを広げます。その後も錦織は攻めの姿勢を続けてブレークをし、ワンブレーク差に詰め寄ります。そして、第8ゲームのジェレのサービスゲームをブレークし、これでブレークの数をイーブンにします。

 

その後は、錦織がやや優勢に試合を進めますが、もう少しのところでジェレのサービスゲームをブレークできません。ジェレは第4セットあたりから、セカンドサービスの時の錦織のリターンを警戒し、セカンドサーブで深く強めに打つことを増やしました。時にはファーストサーブのようなサーブをセカンドサーブで打ち、錦織のリターンを封じるようにして、何とかサービスゲームをキープします。

 

10ゲーム以降のジェレのサービスゲームでは、ジェレはブレークされると負けという緊張を強いられて厳しい状況だったのですが、ジェレは踏ん張ってブレークを許しません。

 

一方の錦織は、サービスゲームでは常にポイントを先行してブレークのチャンスを全く与えずキープをして、リターンのゲームのことを考えられる余裕を持つことができました。そして、第14ゲームでブレークポイントを掴んでこの試合初めてのマッチポイントを取ると、相手のセカンドサーブを踏み込んでリターンをして攻めこむと、ジェレのバックハンドストロークがバックアウトし、フルセットの激闘を制しました。

 

このセットの終盤では、再び錦織が攻めの姿勢を見せ、それがジェレにとってはプレッシャーになっていき、錦織が勝ちを引き寄せました。

 

正直、第5セットで0-3になったときは、錦織はもう駄目かと思いましたし、見ている多くの人もそう思ったと思います。そこからメンタル的にもプレー的にも切り替えて挽回したことは素晴らしかったです。

 

非常に厳しい局面から逆転できたことは良かったのですが、2回戦のツォンガ戦に比べるとプレーのレベルは落としてしまいました。次の4回戦は昨年の全仏でも対戦したフランスのブノワ・ペールです。ペールはトリッキーなプレーをしてサーブも良いので、決して侮れない相手です。但し、勝ち進んだ場合の体力面のことを考えると、できるだけ長引かせずに勝ちたいところです。

 

(関連の記事)

○テニスにおけるコートサーフェスの違い
○錦織と対戦するジョコビッチについて
○現在の男子テニス界は凄い選手が存在している
○テニス用語あれこれ
○テニスのトッププロは多くのスタッフを抱えている

○錦織が激闘を制して全豪ベスト8進出

○大坂なおみは東京五輪では日本代表以外では出場できない?!

○全仏オープン2019展望

○錦織がストレートで全仏初戦突破

○全仏2回戦で錦織が逆転勝利

 

 

こちらをクリックしてください!