全仏オープンの2回戦で、錦織はフランスのペールをフルセットで破り3回戦に進出しました。流れが錦織とペールの両者の間を行ったり来たりする展開で、非常に精神的にタフな試合でした。

 

 

ペールは、長身からのサーブとバックハンドのストロークが武器で、良いプレーをしたかと思うと凡ミスをしたりと好不調の波が激しいのが特徴です。集中して良いプレーが出来ているときは、トップ選手並みの素晴らしいショットを打ち込んできます。

 

ペールはバックハンドのストロークが得意で、フォアハンドのストロークが不安定なため、錦織としてはフォアハンドの打ち合いを多くしたいところでした。

 

1セットはフォアハンドのストロークの打ち合いで錦織が優位に立ち、ペールがミスをするケースが多くありました。結局、錦織がペールのサービスゲームを2回ブレークして、6-3で最初のセットを取りました。

 

2セットになると錦織のフォアハンドのミスが出始め、特に攻めるときのミスが増えてきます。ペールが錦織のサービスゲームを先にブレークすると、流れがペールの方に傾いていき、このセットはペールが取ってセットカウントが1-1とタイになります。

 

3セットになっても錦織のフォアハンドは不安定で、ボールの伸びもなくフォアハンドの打ち合いでも押されるようになってきます。この試合ではペールがドロップショットで多くのポイントを取っていましたが、ドロップショットはストロークの打ち合いで押せていなければ決まりませんので、それだけペールのショットが押し込んでいたということになります。

 

3セットもペールが取って、流れは完全にペールの方に行きます。第4セット第1ゲームの錦織のサービスゲームでも、ペールがリードして錦織は厳しい状況にありましたが、ペールがフォアハンドのストロークを3本ミスして何とか錦織がキープをしました。

 

続く第2ゲームでも、錦織が攻めに行ったフォアハンドストロークをミスするなど、錦織のフォアハンドが不安定な状況でした。しかし、30-30で迎えたポイントでペールがネットに出たときに浮いてきたボールをボレーで決め切れずに錦織がパッシングショットを決めます。ブレークポイントでペールはダブルフォールトをして、ペールはサービスゲームを落とします。

 

このセットの途中から、錦織のフォアハンドのストロークに伸びが出てきてミスが減ってきます。そして、ゲームカウント5-2で迎えたペールのサービスゲームを錦織はブレークして、セットカウントを2-2にします。

 

ペールとしては、自分の方に流れがあったのに、最初の2ゲームを自らのミスで落としてしまい、流れを手放してしまいました。この2ゲームをしっかりとプレーしていれば、ペールが勝っていたかもしれません。

 

一方、錦織は良いショットを打ってもペールがしっかりと返してきたときに、無理に決めようとせず厳しいショットを打ち続けてポイントを取れるようになってきます。

 

5セットに入ると、錦織がやや優勢な展開で始まります。第4ゲームでペールは15-40とブレークのピンチを迎えますが、サーブでポイントを取りデュースの末にペールがサービスゲームをキープします。会場も地元フランスのペールがピンチを切り抜けたことで、大きく盛り上がってペールを後押しします。

 

こういった後のサービスゲームでは、嫌な流れになることが多いのですが、錦織はポイントを常に先行させてキープをして流れを断ち切ります。

 

そして、第6ゲームのペールのサービスゲームを錦織はブレークします。しかし、次のサービスゲームで錦織は40-15とリードしながら、そこから逆転されてブレークバックされてしまいます。

 

これで、勝負の行方は全く分からなくなってしまいました。しかし、次のゲームの最初のポイントをペールがダブルフォールトで落とし、ペールはまたしても墓穴を掘ってしまいます。錦織は自分から先に攻めて流れを引き寄せ、再びペールのサービスゲームをブレークしてゲームカウント5-3とします。

 

次のサービスゲームをキープすれば錦織の勝ちですが、ペールにポイントを先行されて苦しい展開になります。4度のブレークピンチがありましたが、錦織は先に攻めに出てポイントを取りに行き、このサービスゲームをキープして、セットカウント3-2で勝利をおさまました。

 

非常に重苦しい雰囲気の中で、錦織はよく辛抱して戦いました。ペールは自分のミスで流れを手放してしまったのに対して、錦織は中々自分のプレーが出来ない中で我慢して自分の方に流れを引き寄せました。

 

 

3回戦の相手は、またしても地元フランスのシモンです。シモンは2回戦で第12シードのクエリーを破って勢いに乗っています。現在のランキングは65位ですが過去には6位になったこともありますし、守りが堅くミスの少ない選手ですので決して楽な相手ではないと思います。

 

 

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