【映画】ハケンアニメ!~素直に感動 | 鶏のブログ

鶏のブログ

観た映画、読んだ本などについてのメモです

今月は「死刑にいたる病」、「流浪の月」、「シン・ウルトラマン」と話題作が目白押しでしたが、その中にあっても本作「ハケンアニメ!」は秀逸な作品でした。はじめは、アニメ業界にも蔓延ると言われる深刻な低賃金長時間労働にスポットを当てた「派遣アニメ」だと思っていたのですが、どうやらそうした内容ではなく、アニメ業界で覇権を目指す「覇権アニメ」というのが正しいらしいとのこと。そんな話を聞いて観に行ったのですが、大正解でした。

いろいろな点で評価出来る作品でしたが、アニメ制作を通じて繰り広げられる人間関係や登場人物の感情をテンポよく表現していた点や、特段のアニメファンでなくとも、主人公のみならず、登場するアニメ制作者達それぞれの思いを上手く表現することで、自然と彼らに感情移入させていくような描き方は、実に巧みでした。

また、劇中劇とも言うべきアニメ作品「サウンドバック 奏の石」と「運命戦線リデルライト」は、単独のアニメ作品として成立するほどに物語や映像が創りこんであり、こちらも注目すべきところと感じました。一番驚いたのは、思わず買ってしまった豪華版のプログラム(1,700円だったかな)に、映画本編のプログラムとともに、この2作品の疑似プログラムまで付いていたことです。こちらの出来栄えも映画同様に秀逸で、普段プログラムを買わない自分ですが、こちらも購入して大正解でした。

 

俳優陣に関しては、主人公を演じた吉岡里帆がとても可愛かったのは言うまでもありませんでしたが(笑)、主人公のライバル役を演じた中村倫也の好演が光っていました。彼の過去作品で記憶にあるのは、映画だと「屍人荘の殺人」や「孤狼の血」、テレビだと「闇金ウシジマくん」などで、結構悲惨というか気味の悪い役どころが目立つ俳優さんというイメージでしたが、本作では苦悩する天才アニメ制作者をリアルに演じており、彼の存在なくして主人公の存在もなかったという重要な役を、見事に演じていました。

 

最近は結構重たい感じの作品が多かったのですが、本作は気持ちを和らげてくれる感動作で、今年観た映画の中でも1、2を争う印象的な作品でした。

 

 

(写真)劇場に展示されていた衣装。意外にちっちゃかったな。

 

評価:★★★★★