【映画】死刑にいたる病~白石ワールド全開 | 鶏のブログ

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昨年公開された「孤狼の血 LEVEL2」に引き続いて白石和彌監督作品を観に行きました。孤狼の血シリーズとは世界観も登場人物も全然異なりますが、同じ監督ということもあり、共通項もちらほら見受けられました。

 

私が注目した共通項は、

①謎解きがあること

②暴力シーン、残虐シーンをリアルに描いていること

③大どんでん返しが用意されていること

というところでした。

 

①と②については、「孤狼の血」はほどよいバランスでしたが、「孤狼の血 LEVEL2」では②に比重が置かれ、本作では再びほどよいバランスになったように思います。ただ本作の一番の特徴は、暴力シーンというより、残虐シーンがあまりにリアルで、観る人によってはかなりの嫌悪感を抱かざるを得ないだろうというところだと思います。

 

そんな凄惨なシーンを別にすると、刑務所で2人の主人公(阿部サダヲと岡田健史)が接見する際のガラス板(アクリル板かも)を利用した心理描写の映像化は、実に繊細かつ幻想的であり、残虐シーンが続出する本作にあって、際立っていたと思います。

 

また阿部サダヲの不気味な演技は、「孤狼の血 LEVEL2」で鈴木亮平が見せた熱く燃え滾るような動的な狂気とは対照的に、心胆を寒からしめる氷のごとき静的な狂気という感じでした。鈴木亮平も怖かったけど、阿部サダヲの方も怖く、いずれの役者さんも実に上手だなあ、と素直に感心させられました。というか、もしお二人に直で会ったとしたら、ちょっと身構えてしまうレベルですね。

 

最後に③の大どんでん返しについてですが、いずれの作品においてもあっと驚く結末が用意されていて、それを観るだけでも価値があると思います。これぞ白石ワールドというものでしょうか。

ただ観た後の感覚はそれぞれ異なり、本作に関して言えば、やはり一番背筋が凍るものでした。これから観に行かれる方は、覚悟して行ってください(笑)

 

評価:★★★★