【映画】パリ13区~セックスより爽快なエンディング | 鶏のブログ

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今年観に行った映画で、モノクロの映画は本作で2本目でした。1本目はケネス・ブラナー監督の「ベルファスト」でしたが、あちらは半世紀以上前を舞台にしていることからモノクロという選択をしたものと思われます。 一方本作「パリ13区」は、続出するセックスシーンの艶めかしさを抑えることを狙ってモノクロにしたのではないかと思われるほど、セックスシーンを始めとするいわゆる性的描写が多数散りばめられていました。

 

ただ面白いと言うべきか詰まらないと言うべきか、そんな性的描写を見ても、性的興奮が喚起させられるかと言うとそうでもないというところが本作の特長でした(笑)

男性目線で恐縮ですが、3人の主演のうち、台湾系フランス人のエミリーを演じる中国系のルーシー・チャンと、大学に復学した32歳のノラを演じる白人のノエミ・メルランはいずれも美形。描き方によってはかなり興奮する映画になっていたでしょうが、実際はそうでもありませんでした。

これは、モノクロで撮影されたということとともに、もう1人の主演である黒人男性マキタ・サンバが演じたアフリカ系フランス人教師カミーユを含めて、3人が3人とも大都会パリで孤独な生活をしているとともに、それぞれコンプレックスを抱えていて、セックスをしてすら他人との共感覚を得られないで悩んでいることが主題として描かれていたからだと解釈したところです。

 

そんな3人の悩みも、紆余曲折を経て快方に向かっていき大団円を迎えており、この爽快さはセックスの快感を超えるのではないかとすら思った次第です(笑)

 

最後に全然内容と関連のない話ですが、本作は前述の通り直接的な性的描写が多いため、R18指定(18歳未満入場・鑑賞禁止)されています。まあ妥当な判断と言ってもいいのですが、先日観た「死刑にいたる病」がPG12指定(小学生以下のお子様が視聴する際、保護者の助言・指導が必要)だったことを考えると、一体この映画におけるレイティング、年齢制限というのは、何を基準にしているんだろうかと、ちょっと疑問を持ちました。

ご覧になった方は分かると思いますが、「死刑にいたる病」は高校生の生爪を剥がすシーンをはじめ、残虐シーンが頻出しており、老若男女を問わず人によってはかなりの嫌悪感を抱かざるを得ないものです。特に子供にとっては相当な悪影響を与え得るものではないかと思うのですが、何故かPG12指定。因みに今年のアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」も、PG12でした。「ドライブ・マイ・カー」もセックスシーンはありましたが、一線は超えていない実に抑制的なものであり、「死刑にいたる病」と同じカテゴライズってのは、あまりに疑問が残るところ。内容的に難しい部分があるからPG12指定にしたというなら、そもそも子供向けに作られていない作品の多くはPG12にしなきゃならんでしょう。

 

結論として、「死刑にいたる病」がPG12でいいなら、「パリ13区」だってPG12で構わないじゃないかと感じたところです。勿論お偉い方々がきちんときちんとした基準に則って決めておられるのでしょうから、私ごときが非難すべきことではないんでしょうが、実に不思議に感じた映画レイティング制度でした。

 

評価:★★★★