実は「成功」とは難しいものではないのではないかと考えている。要するに成功するかどうかは「攻略」であって、人生の「攻略本」は巷にたくさん置かれている。そう、数多の書籍がまさにそうなのだ。
ビジネスにおいてもそうだろう。自分も独立してから「フリーエージェント社会の到来」にしたがって自らのビジネスを作り上げてきた。マーケティングでは、ダイレクト出版や「影響力の武器」にしたがって施策を打ってきた。この先に成功は確かにあった。
もちろん、何でもできるとは言わない。難しいゲームをクリアしようとすればするほど、いくら攻略本があっても難易度が上がる。まして、誰も成し遂げたことのないものに攻略本はない。
「誰も成し遂げたことのないもの」と言えば、私たちの人生はそれぞれがユニークだ。そう考えると、唯一の正解などないのも確かだ。しかし、共通する要素はたくさんあり、重要なのはそれらをどう紡ぎ上げるかだ。逆に言えば、完全なオリジナルなものなどない。常に誰かしら先達がいるものだ。
成功しようと思ったら、そもそも成功を定義して、先達のやり方にしたがって着実にステージを進めていく。何か問題が発生したら、別の攻略本を探せば良いだけだ。何も難しいことなどないのである。
一方で、それを妨げるものがあるとするなら、感情の存在だろう。感情に従って行動することで、成功のために適切な判断から遠ざかってしまう可能性がある。実際に、私を悩ませているのも、常にこの感情の問題だ。
今の気持ちを吐き出すなら、これまでまさに自分の好き好みで投資をやってきたが、それは攻略本の内容には合っていない。だから攻略本に沿った形にしたいのだが、自分の中途半端なプライドが邪魔をする。結果、やるべきことと感情が交差して、自分にストレスをもたらしているのだ。
ここで邪魔になっているのは、明らかに感情のほうである。経営者としては、粛々と攻略本にしたがうべきだ。ここでいう「感情」こそ仏教用語で言うならば「煩悩」なのだろう。まさに履いて捨てるべき存在である。
もっとも、感情がすべて邪魔だと言っているわけではない。むしろ、人間は感情に生かされている動物であると言っても過言ではない。その中でうまくやっていくには、ネガティブな感情ではなくポジティブな感情だけを取り出すことが重要であろう。
上に書いたような「成功」の方法によると、なかなかつまらなくも感じる。しかし、その途中にはやはり様々なドラマがあるものだ。プロセスで生じる様々なドラマから「喜び」を感じることこそが、私たちの人生そのものではないだろうか。
プロセスで生じるネガティブな感情は無視し、ポジティブな感情を楽しもう。これが良い人生を送るための「攻略本」だ。