経営は最終的に何を目指すかで行動が決まる。
ひたすら拡大を目指すのも良し。自分のコントロールできる範囲だけでやるならそれも良し。だけど、中途半端が一番いけない。
いろいろ考えて試してみたが、自分は拡大を目指すことは性に合っていないようだ。人に仕事を任せるのが苦手だし、自分がコントロールできなくなる部分が増えるのはむず痒い。
どちらかというと職人肌なのかもしれない。提供すべき価値に集中させて、規模を追わない。これなら自分の目の届く範囲に意識を集中できる。
目指すところはバフェットだ。事業でフロートを増やし、それを元手に株式投資を行ってスノーボールを転がす。投資の手法を会員に伝えることで会員はパートナーとなり、雪玉を大きくすることが自分と会員の両方のためになる。
自分の収入を増やしても、身に余る贅沢はできないことはよくわかった。同じ価値ならなるべく安い支払いで済ませたい。したがって、スノーボールの拡大に寄与しない個人所得の増加には興味がない。
個人の所得にしてしまうと、社会保険料を含めて30~40%が差し引かれてしまう。これに対し、会社の利益として残すなら24%だ。どちらのほうが効率が良いかは明らかだろう。
個人としての所得をギリギリにして、会社のフロートを増やす。これを目的とすると、無駄な出費もなくなるだろう。お金の使い方が見えてくるというものだ。
フロートを増やすには、収入を増やし、継続させなければならない。そのために、ブログを書き、サロンを開催し、本を書くのである。バフェットになることを目指すと、やるべきことはシンプルだ。
私は独立してから、投資アドバイスを仕事としてやってきた。
これを仕事にした理由は、企業・財務分析ができたこと、金融庁の登録という「堀」ができるビジネスだったこと、継続性があること、初期コストがかからないことなどが挙げられる。要はビジネスとしてやりやすいからという、自分本位の理由だった。
一方で、その仕事に内容の薄さも感じている。根本的な要因は、自分自身で本気で投資をしたことがないからだ。だから、レポートは書けても投資についてのアドバイスは迫力がないという状況だ。
それでも最初は、顧客よりも少しだけ情報優位にあればいいと思っていた。だからこそ、分析レポートは重宝されている。しかし、投資経験に関して言えば、明らかに顧客のほうが上回る場合もある。
私に圧倒的に足りないのは、この経験だ。これがないから、ずっと自分の中でモヤモヤした気持ちを抱えてしまっている。それが原因で大きな失敗もした。不動産投資で成功した人と一緒に本を書いていると、自分の中身のなさに愕然とさせられる。
そろそろ一皮向けなくてはならない時だ。顧客にアドバイスをしているのだから、自分自身でも実践してみなければならない。何となく手を付けるのではなく、本気で資産を増やすことを目指してやらなければならない。
必要なのは覚悟だ。もちろん失敗もするだろう。それでもついてきてくれる人がいる限り、日々改善して取り組んでいかなければならない。
顧客はパートナーだ。私が本気で資産を増やすことを目指し、顧客はそれを信じてついてきてくれる。これが新たなビジネスの形としてあってもいいのではないか。それでこそ、自分も目標に向かって邁進できる。
日々の活動やレポートはそのことに集中させるべきだ。自分がやるべきことは、投資のパフォーマンスを上げること、そしてその過程を顧客に伝えることだ。この両輪を回すことで、一緒に成長していかなければならない。
本物を目指す。これができればビジネスは自然と大きくなる。これが人生の幅を広げるためにも役立つだろう。
自分のビジネスの価値は何か。その問題に突き当たっている。
私ができることは、良い企業を見つけること、そしてそれが割安なのかどうかを伝えることだ。顧客にしてもらうことは、良い企業を安く買って、それを持ち続けてもらうことだ。
持ち続けてもらうには、フォローが大切だ。メールでのフォローはもちろん、リアルのイベントを開催することも大切だ。イベントを行うことで、顧客に「正しいことをやっている」という実感を持ってもらうことができる。
もともとこのビジネスを始めたのは、自分が持っているスキル「企業分析」を多くの人に役立てられないかと考えたからだ。そして、思いついたアイデアがそこそこうまくいった。一方で、スキルを磨くことを止めてしまっては、プロフェッショナルとして失格だ。
ビジネスで大切なことは、まず与えることだ。それが、目の前の利益になるかどうかを気にする必要はない。本当に顧客のためになることなら、結果は必ずあとからついてくる。逆に、与えなければ何も始まらない。
ブログを書く、本を書く、セミナーをする。すぐに結論が出ることばかりではないかもしれないけれど、やっているうちに必ず実を結んでくるはずだ。自分を頼りにしてくれている人も少なからずいる。全力でそれに応えようとすることが大切だ。
利益につながるかどうかばかりを考えていては苦しくなる。細かいことにこだわっていても幸せにはなれない。とにかく、目の前の人を幸せにすることを考えて、些細な計算は二の次だ。お金に関しては、意味のない出費さえ控えれば大抵のことは問題ではない。
このビジネス、うまくいくときはうまくいくが、苦しい時は苦しい。しかし、それでも回りを気にせずに、自分を信頼してくれているひとに最善の答えを与えられるように考え続けなければならない。これで安泰などというところはないのだ。
「ここまでやれば大丈夫」というところがないのなら、終わりのない目標に向かって走り続けることが自分の人生そのものと言える。終わりのない目標とは、資産運用を通じて一人でも多くの人を幸せにすることだ。そのためにできることはできる限りやるし、利益ばかりを追求しない。
利益ばかりを追求すると、それだけで人間が評価されてしまう。他人からだけでなく、自分に対する評価もだ。そんなものは上には上がいるから、やればやるほどキリがないものになっていくだろう。
「一人でも多くの人を幸せにする。」この目標に向かって、細かいことに気を取られず走り続けたい。
初心を忘れていた。
このビジネスは、投資パフォーマンスを中心に掲げると厳しいことは認識していたはずだった。なぜなら、成果は結局時の運に左右される面が大きいからだ。だからこそ、投資や資産形成の考え方を中心にした、人の「心」に訴えるサービスを心掛けていたはずだった。
しかし、それなりに成果が上がってくると、成果を自慢したり、自分の推奨が必ずうまくいくはずという思い上がりをしてしまった。その結果、必要以上に数字を重視するようになり、短期の成果を求めがちになった。
相場の下落局面では、逆にその成果が自分を苦しめることになる。成果を前面に押し出したがゆえに、顧客の期待に沿えない結果となってしまう。自分でもなぜうまくいかないのか、思い悩む時間が増えた。
銘柄選択について反省は大事だが、そもそもうまくいくのは運にすぎない。自分ができることは、失敗の可能性やその金額を減らし、「運が良ければ大きく増える」というだけにすぎないのだ。それを自分でコントロールできると思ったら、それこそ罰が当たる。
大事なのは、顧客にそのことをわかってもらうことだ。私はなるべく資産が減らないように全力を尽くすが、最終的にうまくいくかどうかは運に左右される。それでもうまくいくことに賭けて、それを楽しめる人に会員になってもらいたいということだ。
顧客に伝えるべきは、ストーリーだ。「自分は確かな考えに基づいて投資している。うまくいったらうれしいし、そうでなかったのなら運がなかったと思うしかない。それでも、言うことに従ってみるだけの精神的な価値はある。」と思ってもらうことこそが、自分の本当の仕事だ。
だとすると、推奨すべき銘柄は、持っていて後悔のない銘柄にしたい。ボロ株を奨めても、推奨中は不安が大きくなるし、心の安心は成功した一瞬だけだ。この不安は何回やっても変わらない。それなら、多少割安度は低くても、事業内容や成長性に期待できる銘柄を奨めたほうが幸せになれるはずだ。
心に訴えるサービスという点では、文章だけでは限界が見えてきた。やはり、Face to Faceのやりとりも大事にしたい。定期的なセミナーや全国出張、動画での共有などはやるべきことだ。これは単に集客のためではなく、より深く心に踏み込むためだ。心に踏み込めば、より顧客を幸せにできる可能性は高まるだろう。
忘れてはならない。私が売っているのは銘柄ではなく、「その銘柄に投資している自分」というストーリーなのだ。