初心を忘れていた。

 

このビジネスは、投資パフォーマンスを中心に掲げると厳しいことは認識していたはずだった。なぜなら、成果は結局時の運に左右される面が大きいからだ。だからこそ、投資や資産形成の考え方を中心にした、人の「心」に訴えるサービスを心掛けていたはずだった。

 

しかし、それなりに成果が上がってくると、成果を自慢したり、自分の推奨が必ずうまくいくはずという思い上がりをしてしまった。その結果、必要以上に数字を重視するようになり、短期の成果を求めがちになった。

 

相場の下落局面では、逆にその成果が自分を苦しめることになる。成果を前面に押し出したがゆえに、顧客の期待に沿えない結果となってしまう。自分でもなぜうまくいかないのか、思い悩む時間が増えた。

 

銘柄選択について反省は大事だが、そもそもうまくいくのは運にすぎない。自分ができることは、失敗の可能性やその金額を減らし、「運が良ければ大きく増える」というだけにすぎないのだ。それを自分でコントロールできると思ったら、それこそ罰が当たる。

 

大事なのは、顧客にそのことをわかってもらうことだ。私はなるべく資産が減らないように全力を尽くすが、最終的にうまくいくかどうかは運に左右される。それでもうまくいくことに賭けて、それを楽しめる人に会員になってもらいたいということだ。

 

顧客に伝えるべきは、ストーリーだ。「自分は確かな考えに基づいて投資している。うまくいったらうれしいし、そうでなかったのなら運がなかったと思うしかない。それでも、言うことに従ってみるだけの精神的な価値はある。」と思ってもらうことこそが、自分の本当の仕事だ。

 

だとすると、推奨すべき銘柄は、持っていて後悔のない銘柄にしたい。ボロ株を奨めても、推奨中は不安が大きくなるし、心の安心は成功した一瞬だけだ。この不安は何回やっても変わらない。それなら、多少割安度は低くても、事業内容や成長性に期待できる銘柄を奨めたほうが幸せになれるはずだ。

 

心に訴えるサービスという点では、文章だけでは限界が見えてきた。やはり、Face to Faceのやりとりも大事にしたい。定期的なセミナーや全国出張、動画での共有などはやるべきことだ。これは単に集客のためではなく、より深く心に踏み込むためだ。心に踏み込めば、より顧客を幸せにできる可能性は高まるだろう。

 

忘れてはならない。私が売っているのは銘柄ではなく、「その銘柄に投資している自分」というストーリーなのだ。