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2017-07-03 19:03:06

日・イスラエル投資協定国会質疑のご報告

テーマ:政治

平成29年6月8日、参議院外交防衛委員会においてイスラエルとの投資協定について質問に立ちました。

 

この協定は、主権及び管轄権の及ぶ範囲と定義、さらには人権をめぐり投資した企業や投資家が被りかねないリスク等、数々の問題がある協定でした。問題があるにもかかわらず、政府は個々の問題についてイスラエル側に確認すらしていないことも明らかになりました。
しかし、民進党としては「過去の投資協定にはすべて賛成してきた」という不思議な理由で賛成を事前に決めていたこともあり、余りに問題が多いにもかかわらず、ちゃぶ台返しを行うこともできない中でのもどかしい審議となりました。
技術的な部分も多いのですが、投資企業や投資家の将来におけるリスクにも関わりますので、技術的な事項も含め、ご報告させていただきます。

1.人権決議とイスラエル企業による違法な占領地ビジネス
(大野)我が国が賛成票を投じた第25回の国連人権委員会決議がエンドースしたビジネスと人権に関する指導原則では、ビジネスを行う当事者に対しては紛争に起因する人権侵害に加担しないことを求める一方、国に対しては、紛争の影響下にある地域におけるリスクを特定し、評価するための適切な支援と広報を求めている。外務省は、本協定審議入り直前に、ホームページのイスラエル関連データを改定し、リスクが生じる可能性を指摘しているものの、現在のリスクを特定していない。イスラエルが国際法違反の入植活動をおこなう占領地のリスクを特定しない理由は何か。
(上村参考人)本協定の、あるいはこのビジネスと人権に関する指導原則に関わるようなリスクについてはないと判断した。
(大野)入植地以外について輸出等は行われない、イスラエルの企業は関わらないということか。
(上村参考人)今回の投資協定の領域の範囲については、イスラエルの主権を領土内、大陸棚、経済的排他水域に限っている。
(大野)イスラエルにある企業は、入植地において若しくは入植地以外の占領地においてもビジネスを行っており、リスクはあると思うがイスラエル企業は占領地ビジネスに関わらないということか。
(上村参考人)協定の適用については個別に判断をしたい。人権的なものに配慮するような箇所を幾つもちりばめてあり、イスラエルの企業が国際法に反するものについては、必ずしも例えば衡平な待遇を与える必要はないというような条項も入れてあり、具体的な状況に基づいてこれから判断をしたい。
(大野)念頭に置くだけではなく、特定し広報することが求められているのである。

2.国際法と国内法に従った主権の行使について
(大野) イスラエルとの間で過去に締結した租税条約と本投資協定における領域及び主権等の及ぶ範囲の書きぶりが異なっている。国内法並びに国際法に従い主権を行使できる地域が、イスラエルの領域であるだけではなく、投資協定で、領土それから大陸棚、そしてEEZについての主権的権利と管轄権が書かれているのはなぜか。
(岸田外相)投資協定と租税条約、いずれにおいても、イスラエルが国際法及び国内法令に従って主権を行使する範囲に限定することになっており、この両者の間において具体的な違いはない。
(大野)具体的な違いがないのなら、なぜ書きぶりを変えたのか。具体的に確認したいが、イスラエル政府による占領地での土地や家屋の収用、破壊、強制移住及び天然資源の利用、あるいは入植地の許可発行はイスラエルによる主権の行使か、イスラエルによる主権的権利の行使か。
(岸田外相)イスラエルが占領地において領域主権に基づく国家管轄権を行使することが認められないというのが我が国の立場。主権的権利及び管轄権というのは、排他的経済水域あるいは大陸棚という物理的に限定された範囲について国連海洋法条約が定める特定の目的又は対象事項に関連して国内法令の制定、適用、執行する権利をこの内容とするものである。
(大野)議論が粗い。さすが安倍政権。日・イスラエルの租税条約では、領土、領域とそこを分けて、こっちは主権でこっちは管轄権というふうに分けている。投資協定では全部一緒に書いた上で、そこに「主権、主権的権利又は管轄権」と一緒に入れ込んでしまっている。そもそも国連海洋法条約で定めている管轄権とは書いていないではないか。普通に読んだら、大臣の発言のようには読めない。どういった権利の行使かについて答えていないので、答弁いただきたい。
(上村参考人) 占領地においてイスラエルが実際上行っていることは、特に占領地行政と言ってよいかと思う。領域主権に基づく国家管轄を行使しているということは決して認められないことだ。
(大野)それは、国際法違反あるいは国連でも非難をされていることか、確認したい。
(岸田外相)その通り。
(大野)そうだとすると、イスラエルが国際法に従っていない部分があるということになる。しかし、「国際法及びイスラエル国の法令に従って」と両方重なる部分に投資協定は適用される。租税条約のときのようにきちんと分けてはいない書きぶりの中で、果たしてイスラエルと我が方の国際法に対する認識は同じか。ヨルダン川西岸の占領地域における占領地行政の行為は、ジュネーブ第四条約違反であるという認識を我が国も共有をするか。
(岸田外相)第三次中東戦争の全占領地についてジュネーブ第四条約が適用され、入植活動同条約に違反するという立場である。
(大野)そのとおり。しかし、2012年のイスラエル政府のレヴィ報告書では、西岸地域にはジュネーブ第四条約は適用されない、国連総会が批判しようがICJが何言おうが、自分たちの解釈は違うと言っている。イスラエルと国際法の立場は、明らかに西岸に関する限り異なっている。そうだとすれば、本投資協定の適用に際して、西岸を明示した上でこの地域は適用外と確認したか。
(岸田外相)第三次中東戦争の全占領地は含まれないとする我が国の立場はイスラエルも十分承知をしている。この条約の交渉において我が国は我が国の立場をしっかり説明をし、そしてイスラエル側はその立場をしっかり理解する、こうした確認を行ったということだ。
(大野)西岸を明示して確認したか。
(上村参考人)日本政府の基本的な立場については繰り返し説明をしている。そういう意味で、西岸も含めて説明をしたということだ。
(大野)西岸を明示してはおらず、全体について説明だけしたと言うことか。我が国の立場は理解されていると言っているが、政府間の協定ではあるものの、不利益を受けるのは企業である。日本の投資家や企業がイスラエル企業に投資を行い、当該イスラエル国の企業がジュネーブ第四条約の違反を行う場合、人権侵害に伴うリスクを負うのは企業である。もう一度聞くが、西岸についてジュネーブ条約第四協定が適用されるということを明示して確認したか。
(上村参考人)全体として日本の立場を説明したという中で、第四条約について特に議論した、そういうセッションを設けたということはない。

3.差別禁止法の取扱
(大野)本年2月1日の協定締結直後の21日、イスラエルは、国内の企業が占領地に対して物品やサービスなどを提供するとき、それを治安や信条上の理由で拒否する場合にはその旨を掲示することを義務付け、それをしない場合には罰金を課す差別禁止法を制定した。日本の企業や個人が投資をしたイスラエル企業が占領地に対して物品やサービスを提供するときに、占領地を明示せずに行う場合には、日本企業は人権上の風評被害等のリスクを負う可能性が当然あり、占領地ビジネスに加担したと言われる。逆に、明示する場合には罰金を払うこととなり、期待される投資の効果が得られない可能性がある。ならば、本投資協定が国際法に基づくとすれば、我が国の企業や個人は本協定に基づく限りこの差別禁止法の適用は受けないことを確認したか。
(岸田外相)この法に係る具体的な施行の態様については今現在もイスラエルにおいて検討中であるので、それについて直接申し上げるのは控えたい。経済や金融あるいは法的なリスクがあるということを、面会の機会あるいはホームページ等を通じて、しっかりと企業に説明したい。
(大野)さすが責任感の強い大臣だ。相手国に対して個別のケースについて確認もしないのに、どうやって説明するのか。この法律の話はすでに衆議院で取り上げられており、リスクがあることを承知したならば、見守ってなどいないでイスラエル側に個別に聞けばよかったではないか。
(大野)定義を変えるだけでもいい、2月21日の法律について確認するだけでもいい、それだけのことなのに何でできないのか。余りにも不誠実だ。
(岸田外相)この法律については、引き続き注視するし、法律の実態について確認の努力は続けるべきであると思う。

4.ゴラン高原に対する管轄権
(大野)時間がないので、次に進みたい。1981年12月に制定されたイスラエルの法律は、ゴラン高原に対してイスラエルの管轄権(ジュリスディクション)が及ぶとしている。このジュリスディクションがゴラン高原に及ぶとすれば、それは国際法違反である。ところが本協定では、ジュリスディクションを認めている。ゴラン高原に対するジュリスディクションはこの協定に基づく限りにおいては及ばない、我が国の投資家や企業について及ばないということを確認したか。
(岸田外相)国際法に反するということはそもそもあり得ない。占領地にこの協定が適用されないということも、これは国際法の関係において当然のことであるというのが大前提である。
(大野)イスラエル国内法が規定していて、しかも国連総会が求めてもイスラエルは拒否して、ICJが言っても拒否している。そんな状況だからこそ、リスクを負うかもしれない企業に対してどういう責任を政府は負うんだという話をしているのだ。ならば、提案するが、イスラエル租税条約と同じ文言に戻してから提出してほしい。
(岸田外相)条文自体、先ほど申し上げたように、領域と排他的経済水域と大陸棚、さらには主権と主権的権利及び管轄権、こういったものについては先ほど申し上げたような整理を行い、そしてそれについて交渉の中でしっかり確認をした。日本の立場についてしっかり説明を行い、イスラエル側もそれを理解した、それを確認した。この条文を租税条約に合わせたらどうかということについては、そのような確認を行っているので、書換えを行うことは必要ないというのが政府の立場だ。

5.政府による紛争解決支援
(大野)ならば政府は、今私が申し上げた三つの事項について仮に不利益なことがあった場合には、間に入ってその企業とイスラエル政府の間をとりなすのか。
(上村参考人)この協定の中には、例えば合同委員会というメカニズムもあり、問題が起こったときに両国政府がこの協定の義務に基づいて話合いをする機会もある。イスラエルがいかに何と言おうとも国際法では認められていないこと、この協定で守られるべき権利ではないということは明白だ。しかし、仮に万々一不利益を被るというようなことがあれば、必ずこの合同委員会、あるいは経済合同委員会といった機会を活用して、そのような不利益が起こらないように万全の努力を行いたい。
(大野)民間企業が不利益を被る場合には政府が間に入って不利益がないようにとりなすか。
(岸田外相)協定が締結された後、日本とイスラエルの間で協議すべき事案が発生したならば、合同委員会等を通じて日本政府としてイスラエルとしっかり協議を行いたい。
(大野)不利益を被るのは企業である。企業が一々イスラエル政府に対して確認し、イスラエル政府と議論するのか。リスクを放置したままで、理解されたと言っても、これでは企業は動けない。

6.3つの問題の確認
(大野)ゴラン高原にジュリスディクションが及ぶかどうか、そして差別禁止法がこの協定に従う限り適用されないかどうか、西岸についてジュネーブ第四条約を適用されないとしたイスラエルの従来の立場はこの協定によってひっくり返されたと確認したか。それぞれ確認したのか。
(岸田外相)我が国の立場をしっかり確認し、国際法に従うと協定の中にしっかり明記されている。
(大野)国際法上の立場を共有していない国だから問題なんだ。国連総会決議に反してもかまわない、そういう国だからこそ聞いている。
(岸田外相)御指摘の点も含めて日本の立場についてはしっかり説明をし、イスラエルはそれを理解をし、それについて確認を行った。
(大野)確認していないじゃないか。
(岸田外相)国際法に従って行うと明記している。しっかりと日本の立場については説明し、そしてイスラエルも理解をし、確認をして、そして協定ができ上がった。
(大野)余りにもおかしい。ジュリスディクションについてはここに書いてあるとおり曖昧だ。これは国際法に従うかどうか確認をすべきである。国連の場等で拒否している第四条約については。この協定だけは違うということを確認したのか、改めて聞きたい。
(岸田外相)イスラエルが国際社会において独自の主張をしているという御指摘は承知しているが、イスラエルも理解をしたからこそ国際法に従ってやるんだという条文ができ上がっている。

(大野)時間がないのでこれで質問を終わるが、不誠実だ。きちんと確認をした上で国会に対して了承を求めるべきである。イスラエルとの二国間の投資協定は是非やるべきだが、幾つもの問題があって、リスクを個人の企業や投資家が取らなければいけない余地が残されているとすれば、そこは明確にしなきゃいけない。普通じゃない国際法の解釈をしている国と協定を結んだということを指摘したい。かりに行政裁判を起こされたら、あなたたち負けますよ。そこはしっかりと認識した上で、この協定について早急に取り組むことをお願いしたい。
 

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2017-07-03 12:08:56

参議院、北朝鮮の拉致問題に関する特別委員会での質疑ご報告

テーマ:政治

6月9日、参議院拉致特別委員会の対政府質疑が、今国会でただ一回だけ開催されました。その際には、党を代表して質問に立たせていただきましたので、概要を簡単にご報告いたします。

1.政府与党が拉致特別委員会開催から逃げている点について
(大野)今年に入ってから参議院の北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会が対政府質疑を行うのは初めてである。特に、外務大臣が出席に難色を示したために与党が開催に応じなかったという話もあるが、拉致問題は安倍政権の最重要課題というのは口だけか。
○(岸田外相)政府にとり拉致問題は最重要課題であるが、委員会の出席調整ができなかった。

2.現下の情勢で北朝鮮に対し発するメッセージ
(大野)北朝鮮はこれまで、圧力を掛けられた際に、人権・人道問題等で譲歩してきているところ、国際的な圧力が昨今強まっている中、対北朝鮮の制裁を解除若しくは我が国が緩和する唯一の道のりは拉致問題の解決であるというメッセージを明確に伝えるべきではないか。
(加藤大臣)これまでも、拉致問題の解決なくして北朝鮮がその未来を描くことは困難であるということ、それを理解させることが重要である旨を様々な機会で発言したきたが、働きかけを継続した。

3.特定失踪者の認定及び捜査状況の公表について
(大野)いわゆる特定失踪者については、平成十八年十一月に松本さんを認定したのを最後に、十年以上も追加認定がない。このままでは特定失踪者の問題が闇の中に埋もれてしまうのではないか。
(加藤大臣)しっかりとした捜査、調査をして認定をしていく。
(大野)追加認定が進まない中で、警察庁に尋ねると、個別の事案は捜査、調査に支障を来すおそれがあるのでコメントを差し控えると繰り返すだけである。政府の定番の回答を十年以上聞き続けている御家族の方々の気持ちを考えるべきである。拉致にせよ特定失踪者の問題にせよ、時間が多く残されていない中においては、これまでの方針を変え、現在の捜査や調査の状況について、可能な方、可能なケースについては事案を公表して、例えば国内外の関心を惹起することを提案したい。
(加藤大臣)幅広く公表していくということは必ずしも適当ではない。
(大野)全てではなく、可能なケースについての公表について是非御検討いただきたい。

4.国連人権高等弁務官報告の活用
(大野)カービー委員長等によるCOI報告書を、日本政府は拉致問題の解決に向けてどのように活用されていかれるおつもりか。
(加藤)同COI報告書は、北朝鮮における深刻な人権侵害について包括的に記述、詳述しているが、国際社会においてこの拉致問題を含む北朝鮮の人権問題に対する大変高い関心、これを改善していかなきゃいけないという大きなうねりを生み出してきた文書だ。COI報告書に明記された日本人拉致問題についての国際社会の理解と協力を得て、一日も早い解決を図っていきたい。国連総会、国連人権理事会において北朝鮮の人権状況決議決議においてもCOI報告書の記述を引用し、拉致問題の早期の解決の重要性を訴えるといった形で活用を図りたい。
(大野)その意味では、昨年十二月に国連人権高等弁務官が韓国と北朝鮮のいわゆる離散家族の問題について報告書を出しているが、そこでは様々な離散家族のインタビューを具体的に書くことによって、国際世論の関心を惹起している。例えば国連人権高等弁務官に対しても拉致被害者や特定失踪者に関する報告の作成を求めることを提案したいがいかがか。
(岸田外相)日本政府は、これまでも国連人権高等弁務官に対し北朝鮮による拉致問題等に関する深刻な懸念を伝えてきた。拉致問題に特化したような報告書を出すように働きかけたらいいのではないかという御提案も含め、引き続き働きかけは行っていきたい。
(大野)先ほど警察の捜査云々という話を聞いたが、韓国の国連人権高等弁務官報告書作成に際しては、数多くの離散家族の具体的な話を取り上げることにより、関心を煽った。したがって、捜査・調査の具体的な話を明らかにして、報告書に盛り込めるようにすべきである。
(加藤大臣)委員おっしゃるように、ある意味ではリアリティーを持ちながら、いかに悲惨なものであり、御家族がどれだけ苦しんでいるのかもしっかりアピールすることが非常に大事と思う。

5.朝鮮半島の邦人退避
(大野)安保法制は、車両による邦人等の輸送に関する自衛隊法改正を含んでいるが実効的とは思えない。邦人退避の際には、相手国の同意が前提だが、韓国政府が武装した自衛隊を韓国の領土・領海において活動させることを認める蓋然性をどう考えるか。また、朝鮮半島情勢が緊迫したが、日本政府は本件について韓国政府と協議をしたか。
(岸田外相)仮定に基づいた質問への答えは控える。韓国政府と具体的などんなやり取りをしているのかについても控える。
(大野)現実の問題として、北朝鮮も韓国も、我が国の自衛隊を同国の領土・領海に受け入れるというのは政治的判断として難しいかもしれない。それでも、実効的にどうやって日本人の命を救うべきかを検討すべきである。民進党が提出している周辺事態法改正案には、了解がある場合の相手国の領海及び公海における退避する邦人等への自衛隊による支援を可能にする条文を、私自身が中心になって朝鮮戦争当時の状況も調べて書き込んでいる。この場合には、自己の保護下に入った邦人等を守るための自衛隊による武器使用も認めている。朝鮮半島のケースを見ても、米軍は軍のアセットは持っているが、輸送手段は限定的である。そんな中で、公海で我が方自衛隊がアメリカ人を含む邦人等の退避を支援し、自己の保護下に入った場合に警護し、あるいは隊法の百二条が定めている借り上げ船舶で輸送するようなことを条件に、朝鮮半島に所在する邦人の保護をアメリカにやってもらうよう交渉するという選択が現実的と考えたから、この法律を起案し提出した。政府が実効的な対応をできない以上、我々が一昨年来提出しているこの周辺事態法改正案、議論の俎上に上げて、国会で審議するように大臣からも働きかけすべきではないか。
(岸田外相)委員から御説明があった法案は国会が御判断されることなので、行政府の立場からの発言は控えたい。

6.朝鮮半島有事の際の日本から発進する米軍機の事前協議
(大野)昨年7月15日に安倍総理は、「救援に来援する米国の海兵隊は日本から出ていくわけでありまして、当然これは事前協議の対象になるわけでありますから、日本が行くことを了解しなければ韓国に救援に駆け付けることはできない」と述べた。日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地使用の場合には事前協議の対象だが、その他の韓国に米軍の飛行機等が発進する場合に我が国の許可が要るという総理発言は、正しくない理解ではないか。
(岸田外相)岸・ハーター交換公文では、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用が事前協議の対象であり、それ以外は事前協議の対象とはならない。
(大野)駐米韓国大使館は、在日米軍基地は国連軍司令部の後方基地としての任務を遂行しており、事前協議なしに在日米軍を出動させることができるとしているが、国連軍の後方基地では戦闘作戦行動は認められていないので、韓国側も理解できていないと考えるが、いかがか。
(岸田外相)国連軍地位協定上想定されている朝鮮国連軍の活動は全て兵たん上のものであり、戦闘作戦行動に従事することが想定されていない。米軍に関しては、先ほどの交換公文が適用されることになっている。
(大野)その通りだ。しかし総理は理解できていない。そこで、大臣、第一に総理の認識を正しいものに改めていただきたい。第二に、在米韓国大使館も理解できていないので、韓国側に対してもきちんとした理解を求めるべきである。
(岸田外相) 総理の答弁はいま一度確認したい。韓国とも意思疎通をしっかり図っていくことが重要。
(大野)5月2日、北朝鮮は朝鮮半島で核戦争が起こる場合、米軍の兵たん基地、発進基地、出撃基地となっている日本が真っ先に放射能雲で覆われるであろうという言語道断な発言を行っている。他方、北朝鮮が戦闘作戦行動のみならず後方支援も標的とする以上、戦闘作戦行動以外の発進についても米軍に事前協議を求めるべきではないか。
(岸田外相)既存のメカニズムも活用しながら、日米の意思疎通を図りたい。
 

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2017-06-12 14:16:25

政府による特定秘密隠蔽に関する参議院情報監視審査会での議論について

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特定秘密保護法、覚えていますか?この監視に関するご報告です。

 

小生は国会に設置された特定秘密を監視する情報監視審査会のメンバー(現在は野党側筆頭幹事)です。この審査会は、保護された施設の部屋で行われ、議事録も原則でないために、国会議員からも認知されていない「隠密審査」を行っています。

 

先週、この審査会の年次報告書が提出されました。参議院の審議では、「サードパーティ・ルール」のあり方をめぐり、特定秘密保護法審議当時の大臣の答弁と、実際の運用が異なる点をめぐり、激しい議論が交わされました。

「サードパーティ・ルール」とは、外国から第三者には伝えないことを前提として提供された秘密のことです。法案審議の際、森大臣(当時)は、「国会に提供できない場合は極めて、本当にまれ」と答弁していました。ところが、審査会が始まると政府は、とつぜん「特定秘密全体の中で」という言葉を付し、その全体の中で提供できない場合はまれなので、サードパーティ・ルール適用の秘密を隠して提出しないような態度に出たのです。

 

この件をめぐり審査会では公式・非公式の協議を通じて幾度も議論が交わされました。その結果、オープンの場で大臣を呼んで、議事録を残す形で答弁を確認するという与野党合意に至りました。しかしながら、保秘と議員の発言権の間の調整が付かず(つまり、議員の発言権を侵害する与党のごり押しがあったために)、今に至るまでオープンの場での審査会が開催できずにいます。

 

特定秘密保護法と委員としての宣誓によって、その具体をご報告できないのが残念ですが、本来、政府の保有するすべての情報は国民のものです。しかしながら、公にすると問題が生じる場合もあることから、それを秘密にするものの、国会の監視下におくというルールを定めたはずです。それにもかかわらず、密室ではそのルールをないがしろにするようでは、国民の信頼を裏切ることになります。

 

今国会でも情報の扱い、特に文書を捨てた捨てないと言った公文書管理の議論が取り上げられました。政府は自らの都合で情報を隠したり、捨てたりするべきではなく、ルールに従い、国民から信頼される態度を貫くべきです。

 

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170611/KT170610ETI090004000.php

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2017-04-18 07:46:19

ACSAに関する報道について

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金曜日、参議院において日米・日豪・日英ACSA(物品役務相互提供協定)が採決されました。民進党は本件について反対し、小生が反対討論を行わさせていただきました。

 

翌日の一部紙の報道を見て、大変驚きました。民進党並びに共産党は、ACSA締結により、戦闘に巻き込まれるおそれがあると指摘してきた、とあるのです。末尾に要旨を掲載したとおり、党を代表してその見解を表明した反対討論は衆議院では行われず、参議院で小生が行ったもののみです。そこには報道にあるような反対理由は、ただの一文字もありません。

 

国民に対して理解していただく努力や、訴求力を求められるのは党です。しかしながら、少なくとも報道は無いものからねつ造するのではなく、まずはファクトを伝える責務があります。あまりにも不思議な状況になっているので、下記に反対討論(http://miteiko.sangiin.go.jp/KJSS/UIClass/KAS_0020.aspx?kaigiName=本会議&notSetFlg=0)の要旨を掲載させていただきます。

 

【反対討論要旨】

民進党は、アメリカ、オーストラリア等、一定の国との間でACSA協定の締結を推進していくこと自体には賛成だが、今回の日米ACSAには、我が党が反対してきた安保法制における存立危機事態及び重要影響事態等が明記をされている。民進党は、正式な党の合意の中で集団的自衛権の行使が違憲であると断言したことは一度たりともなく、憲法の便宜的、恣意的解釈には一貫して反対してきた。一昨年の安保法制は、主として自衛隊を遠くに派遣し米軍の下請にするものであり、我が国の安全を直接支えるものではない。我が国の直接の安全保障に対し貢献しない安保法制において、遠くで他国軍の下請にするための事態を新たに日米ACSAに書き込んで改正を行うこの協定案には賛成できない。
自公政権は、冷戦時代の基盤的防衛力構想から脱却する必要を認めながらも、そのための戦略を構築することができず、十年以上も我が国の安全保障戦略は冷戦時代のままに放置した。これに対し、民主党政権で初めて冷戦時代の戦略を見直して、動的防衛力構想を確立する二二大綱を整備した。しかし、政権交代をすると、自公政権はあろうことか大綱を凍結し、一年以上も日本を戦略なき状態に漂流をさせ。その挙げ句に作られた現行の二五大綱では、動的防衛力構想のほぼコピーにすぎない統合機動防衛力なる言葉が冠されました。安保戦略を漂流させた挙げ句に政治的な言葉遊びではいけない。
集団的自衛権の行使についても、真に日本の存立を脅かすような具体的なケースを示すことができたならばいざ知らず、政府が示した三つの事例に根拠はない。立法事実がなく、現実的な想定すら示せない存立危機事態を書き込んだACSA改定を行うことは無責任で、相手国に対しても失礼。
日本の領土、領海を守ることに関心があるのであれば、我々が政府の安保法制よりも早く提出をした領域警備法を審議すべき。喫緊の日本の領土、領海に対処する法制を作った上で、必要な事態を書き込んだACSA協定を審議すべき。
日豪並びに日英ACSAについても同様です。安保法制採決以前、政府は、弾薬の提供については特段のニーズはない、これを当時の周辺事態法に含めず、またその法的判断も避けてきました。今回の英国並びに豪州とのACSAには、存立危機事態や重要影響事態は明記されずそれぞれの国の国内法に従うという部分について、これらの事態は理論的に含まれている。論理的に可能であることを日豪、日英共に確認しているが、具体的なケースを想定してニーズが表明されたわけではないという答弁もあった。特定のケースを想定してニーズが表明されていないという状況は維持されており、協定案に書き込めばニーズが出るという議論は到底受け入れらない。国民に対する説明責任がまっとうされていない。

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2017-04-09 22:48:34

ハーン・アッ=シャイフーンにおける化学兵器使用と米国によるシリア・空爆

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米国がシリアにトマホーク巡航ミサイルを撃ち込みました。本件については、考えるべき点が多く、我が国に対する影響も小さくないと考えます。

ついては、長文になりましたが、現時点でのとりあえずの考えを以下のとおり取りまとめましたので、掲載いたします。

 

1. 米国の意図

(1)   先週、ヘイリー国連大使がアサド政権転覆はもはや米国の対外政策の優先事項ではないと述べていたばかりであったことに鑑みれば、シリア軍によるイドリブ郊外ハーン・アッ=シャイフーンへの化学兵器使用への報復としての米軍による空爆には唐突感が付きまとう。米政権は、被害に遭った子供たちを含む民間人への被害を強調するが、トランプ大統領の対外政策の中でも真っ先にシリア人難民受け入れ拒否を実行したことを思えば、シリア人の人権問題を重要と考えてきたかについては疑問符を付さざるを得ない。

(2)   今次空爆においてトランプ大統領の最大の目標は、弱いオバマ大統領に自らを対置させ、決断力・行動力のある強い大統領であることのアピールにあったように思われる。2011年以来シリアは内戦に陥っているが、2013年、オバマ大統領は化学兵器使用を「一線を越えた」と評価し、対シリア攻撃を計画した。それにもかかわらず、計画が実行に移されないままに、露による仲介により、シリア政権がCWCに加盟し、OPCWの査察を受け入れることで問題は収束し、結果、米国による武力行使は行われずに終わった。トランプ大統領は、バッシャール・アル=アサドの政権が「多くの一線を越えた(Cross Many Many Lines)」と、オバマ大統領の発言を想起させるような主張をしたが、そこにはオバマ大統領の政策の失敗を強調する意図が見え隠れしている。

(3)   「一線を越える」ことが米国による対シリア武力行使を直ちに意味し、米国によるシリア情勢への介入をもたらすことが米国の伝統的な意志であると考えることは困難である。2013年に対シリア武力行使が取り上げられた際、民主党内には武力介入に否定的な意見が多かった。また共和党内には、米国による対イラク武力行使が米軍を泥沼に引きずり込んだ経験から、介入計画が不十分との批判が上がった。なお、報道によればトランプ大統領自身、当時、介入すべきではないとツイートした由である。

(4)   今回の空爆を前にし、極めて短い時間でトランプ大統領の考えが変わり、マティス国防長官とマクマスターNSC補佐官主導で空爆が決定されたようだ。トランプ大統領を含む米政権関係者は、この空爆と並行して、「将来におけるアサド大統領の役割は無い」、「すべての文明国家はシリアにおける紛争停止に貢献すべきである」等、アサド政権退陣に向けた国際社会の連携を強調しているようである。しかし今回の攻撃は、米国がハーン・アッ=シャイフーンへの化学兵器による攻撃の拠点となったと主張するホムス南東部のシュアイラート軍用空港の滑走路、航空機、格納庫、レーダー及び対空兵器に限られているようであり、それ以上に拡大する物理的な兆候は見られていない。また、かつて米軍はイラクやアフガニスタンにおいて大規模な作戦前に慎重にビルドアップを重ねてきたが、シリアに対してはこれまで、米軍の大きな動きは見られていない。したがって、限定された目標以上に攻撃を行い、シリア政権放逐にまで軍事力行使を重ねるかについては、現時点ではその可能性は高くないようにも思われる。

(5)   米軍によるシリア空爆は、国連において対シリア協議が継続されている中で実施された。米政権は空爆当初、化学兵器使用を防ぐという米国にとり死活的な国家安全保障の国益のために行動したとした。また、国連の対シリア措置協議が長期化する可能性が出てくると直ちに行動し、「これまでのシリアに対する政策はすべて失敗した」と主張し、シリアの化学兵器使用に対し行動したとした。

(6)   空爆翌日には、よりまとまった形で、以下のような主張が行われた。

〇 シリアによる民間人に対する化学兵器使用は明白であり、化学兵器による攻撃を行った施設に対する米国の攻撃は適当である。

〇 今回のシリアによる化学兵器使用の他、3月25日並びに30日にはハマーで同様の攻撃を行っており、行動しなければアサド政権は化学兵器の使用を恒常化させかねなかった。

〇 2013年にアサド政権はすべての化学兵器を破棄することに合意したはずである。ロシアが2013年以来の約束を実施させる責任をとることに失敗した以上、誰か他の者がこれを実現させるべきである。

〇 トランプ大統領は、いかなる政府や主体であっても、一線を越えたならば行動に移す。トランプ大統領はこのメッセージを世界に対して行った。

 

2. シリア情勢

(1)   シリア情勢は混迷を極めており、出口が見えない状況にある。米国の空爆についての議論から逸れることになるので極めて簡潔に言えば、シリアでは、ロシアやイランが支援するアサド政権軍、IS,イスラーム系武装組織、クルド勢力および米国やサウジなどが支援する反体制派が5つどもえで戦っており、いずれの勢力も内戦を終結させ支配権を確立するには至っていない。しかし昨年12月のアレッポ東部陥落以降、米国支援の反体制派は重要拠点を失いった。これに対してアサド政権は勢いを増し、シリアの将来についての国際的な協議の枠組みも、米国やサウジ等の湾岸諸国がはじかれて、露、イラン、トルコ主導に変わってきていた。

(2)   空爆直前のアサド政権は、2013年以降最も安定した時期にあった。そのような中で政権側は、敵対する勢力を退け、政権を維持させる方途を模索してきた。しかし、シリア内戦を終結させるほどに強くないこともまた事実であった。5万程度の規模に縮小した政府軍は、露の空爆、イラン革命防衛隊やレバノンのヒズボッラーの支援を受けなければならず、そのような中で支配地域を拡大し、安定させるために、政権側が化学兵器を使用することが必要と判断したとしても不思議ではない。

(3)   米軍空爆はかかる状況で行われた。それは、シリア協議で傍流に追いやられた米国が、再びシリア情勢に関与する宣言であり、反体制派への支援ととられるのかもしれない。しかし現実は容易ではなく、今回の空爆は短期的にはシリア中部に勢力を有する反体制派やイスラーム系武装組織を後押しするのみならず、ラッカを拠点とするISにとってもプラスになった。

(4)   シリアで5つどもえになっている中、ISのせん滅が先か後かという議論はあろうが、いずれにしてもISを除く4つの勢力争いに一定の結論が出なければ、シリアは安定しない。今回の空爆は、立場を後退させていた米国が支持する反体制派を勢いづかせ、反体制派に対するシリア軍の攻撃拠点にダメージを与えた影響はあろうが、それだけで状況を一変させることは困難かもしれない。もとより、今回の攻撃をもって米国がシリア内戦終結に向けたイニシアティヴをとり、アサド政権退陣を求めても、現時点でその実現の可能性は極めて低い。更なる米国の関与が反体制派を強化するならば、5つどもえの状況が当面強化され、混迷は深まることになりかねない。

(5)   米国の根本的な介入は軍事的にも国際法的にもハードルが高く、米国にとっての泥沼化は、米国内の反発を招くことになろうし、そもそも、米国にそのための戦略が存在するかは疑問と言わざるを得ない。また、反体制派内に信頼できる人物や組織がほぼいない状況も依然として継続している。

 

3. 国際社会と日本

(1)   米軍による空爆の影響の範囲は、アサド政権及びシリア情勢に限られないのみならず、状況によっては国際社会に大きな影響を与えることが考えられる。

(2)   国際法的には、米軍による一方的な攻撃を正当化する根拠は希薄と考えざるを得ない。ティラーソン国務長官がシリア軍によるハーン・アッ=シャイフーン攻撃を批判したときに引用した2013年の国連安保理決議2118号は、たしかにシリアに対して化学兵器の使用や保有を禁ずるものである。しかしながらこの決議は、強制力の行使にかかわる国連憲章第七章をひかず、25条の加盟国による決議順守義務をひいているに過ぎない。それどころか決議前文において、現在のシリアにおける危機は、2012年のジュネーヴ宣言に基づく包括的且つシリア主導の政治プロセスを通じてのみ解決されることが強調されており、武力行使の根拠にはなろうはずもない。化学兵器の使用は許容されるべきものではないながら、これが米国の死活的な国益を侵すものと判断されようとも国連憲章の言う自衛権を構成するには至らない。さらに、人道的な武力行使を単一の国の判断で行使することを許容するならば、これは極めて悪しき前例となりかねない。

(3)   ハーン・アッ=シャイフーンにおいて化学兵器が住民に深刻な影響を及ぼしたことについては、一定の共通理解があり、事実と言えよう。しかし露は、反体制派が保有していた化学兵器庫にシリア軍が攻撃を加え、その被害が住民に拡大したと主張している。シリア軍が化学兵器を使用したと主張する現時点の米国の根拠は、かつてシリア軍が化学兵器を使用した(と米国が主張する)際に、同じ飛行機が同じ飛行場から飛び立ち、その結果住民に被害が出たからというものであるが、この状況証拠だけでは、双方の議論を終結させる決定的なものにはならないように思われる。2013年の際にも、議論が空回りし、結局国連の調査ミッションが派遣され、当初使用したと考えられる場所と別な場所で化学兵器使用の痕跡が発見されることになった。本来は空爆以前にミッションが派遣されるべきだが、重要なことはファクトであり、化学兵器の問題を終わらせるためにも、これからでも遅くないので調査ミッションの派遣を進めるべきであろう。なお一部では、シュアイラート軍用基地の化学兵器関連施設が空爆されたとの報道もあるが、同基地は2013年以来、OPCWの査察監視下にあり、貯蔵庫のようなものが存在するとすれば、後からばれてしまうので、この報道は疑わしいように思われる。

(4)   米国の空爆は、アサド政権を支えながら昨年12月以降にはシリア情勢をめぐる国際社会の主導権を握り、化学兵器に関する危機回避のイニシアティヴをとってきたロシアを刺激するものである。ロシア軍はシリア国内に相当入り込んでおり、昨年にはまんまと49年という長期(更新可能)のタルトゥース港租借権まで手に入れた。また、今回空爆をされたシュアイラート軍用基地もイランと共に使用してきたとされるどころか、昼間には借り受けたサイトに軍事アドバイザーを常駐させていたとすら言われている。ロシアはメンツを丸つぶしされたことに怒りを隠せないようだが、これにとどまらず、主導権を握ってきたシリアをめぐる国際社会の動きやシリア内政における米国の巻き返しに抵抗していくに違いない。本日の米露外相電話会談では露側から強い抗議が行われ、シリア国内の衝突回避(de-conflict)措置も一方的に凍結されたとのことであるが、来週に予定されているティラーソン米国務長官の訪露は極めて厳しいものとなりそうである。なお、木村北大名誉教授は常々、米新政権発足時には露に歩み寄るが、国際紛争が発生して両国関係が厳しくなるのが過去4代の米政権のたどった道のりであると述べておられるが、トランプ政権にとっても大きな試練となることであろう。

(5)   前述の通り、今回の空爆には国際社会、就中、北朝鮮に対する「一線を越えたら、行動する」というメッセージが含まれている。このようなメッセージを携えた行動を見せつけたからこそ、米中首脳会談の前半部では、米側が主導権を握り、中国に行動を促すことができているのであろう。北朝鮮は反発を見せているようだが、言葉とは反対に、政府・軍首脳の心中には穏やかならざるものがあるはずだ。

(6)   しかしながら、今回の空爆が直ちに東アジア情勢を解決に導き、あるいは米主導で動かすことを約束するものにはならず、注視が必要である。今回の空爆は、前述の通り、シリア情勢を動かす上で重要だが不十分で決定的なものにならなかった。同様に、中国に対しても、北朝鮮に対しても、ショックを与えるには十分であろうが、それが将来における中国の北朝鮮に対する根本的な姿勢の変化や、北朝鮮による行動パターンの変更をもたらすと断ずるのはあまりに早い気がする。特に、かりに米国がシリアに対して深入りすることになれば、二正面はできなくなると北朝鮮が考える可能性が出てくる。逆にシリアに対する攻撃がこれで終了すれば、シリアにおける米国の立場は失われ、計画なき空爆に対する内外の批判にトランプ政権がさらされる可能性もある。ショックを用いる手法で米中首脳会談において主導権をとるやり方も一つではあるだろうが、いかにも近視眼的で、大国としては珍しい博打のような手法に見えてならない。

(7)   国際社会の米国による武力行使に対する評価は様々だが、英国やサウジのようにシリア情勢ではじかれた国々はおおむね米国の攻撃を支持し、逆の立場の国々は批判的な反応を示している。EUなどは、日本と同様に武力攻撃そのものを支持することを避けつつも、人道的な立場を強調しているようである。それぞれの国々が自国の国益に沿った反応を示しているのは当然であろう。トルコなどは、シリア国内に部隊を駐留させ、状況に応じて露と米の間を行ったり来たりしてきたが、今回の空爆では、Safe Heavenやノー・フライゾーンの確立を求めるなど、クルド勢力駆逐に有利で且つシリア政府の動きを止めることに利益を見出しているようである。

(8)   日本政府は今回のシリア空爆に際し、空爆を支持するのではなく、その「決意」を支持するという巧妙な言辞を用いた。予測の難しいトランプ政権の立場をおもんばかったということもあろうが、それ以上に、ますます緊張の度合いを強める北朝鮮情勢をめぐり、米国の北朝鮮に対する強い立場を抑止力として維持させることを意図しているのであろう。しかしながら、最終的な武力行使の「決意」は必要であろうが、国際法を味方に付けるべき我が国にとって、国際法がないがしろにされた状況を甘受することは適当であったのだろうか。シリアにおける道筋と戦略を明確にしないままでの攻撃は、短期間で終われば米国を当てにしてきた反体制派の期待を裏切ることになる一方、再び反体制派が力をつけてくれば群雄割拠の状況が長期化し、その「つけ」はシリア国民に押し付けられて難民問題がさらに深刻化するかもしれない。それどころか前述の通り、シリアに拘泥すれば、逆に北朝鮮は、二正面作戦が困難と考えて、時を稼ぎながら、対米抑止力の強化に努めて核開発と長距離ミサイル開発に力を入れるかもしれない。平和的なシリア問題の解決に国際社会が本腰を入れられるような環境作りに日本も乗り出す必要が高まったと言えるのではないか。また北朝鮮については、「飴と鞭」の使い分けが最も彼らに理解できる言葉と考えるところ、脅しで終わらせるのではなく、北朝鮮が受容でき、中国も最終的に乗ることできるような枠組みを動かすことが重要ではないか。なお、北朝鮮情勢のみならず朝鮮半島情勢は流動化しており、邦人退避を含めた最悪の場合のシナリオを真剣に検討すべき時が来ているのかもしれない。                          

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