オールウェイズ・朝日町の夕日 -49ページ目

町の懐かしの店 グルメ編

フレンチ?パスタ?   そんな洒落た物は無い・・・・


家族で行ってた店はせいぜい「来来軒」と言う中華屋位だった。

他には、町内の「いこい食堂」。

サバ煮込み定食の存在はここで知った。


「お好み焼き しんちゃん」

朝日町から踏切を渡った場所に位置する。

土曜、学校から帰ると母に買いに走らされたもんだ。

店内外は古く、汚い・・・・

店内にはテーブルゲーム機が並べられ、地元高校生の溜まり場だった。

メニューは、焼きそば、お好み焼き、たこ焼きの3種類だったが、お好み焼きにも豚玉やイカ入りやミックスと一応のバリエーションがあった。


「しんぷる」

我が朝日町商店街の中央に位置した。

元々は老舗の御菓子屋「日の出製菓店」の長男さんが開いていた。

この長男さんは趣味がバンドらしくギターに関してはかなりの腕前だったらしい。

店舗兼自宅の裏庭に倉庫を改築し、手作りスタジオを所有していた。

地元の学生や、若者のバンドの練習場として提供してて、その延長で軽食屋を始めたと聞く。

メニューは、カレー、スパゲティー、ピラフと各350円~500円だった。

意外に安く、学生に優しい。

しかし、この店に誰もが注文した事が無い幻メニューがあった。


        しんぷる定食  1000円


学生にしたら高い・・・。

食べた事も無ければ、見た事も無い幻の一品。


余談だが、バンドの若者達が練習してる間は、店主も夢中でスタジオに行ってるので、注文したくても店に帰って来ないとオーダー出来なかった事は頻繁にあった。


「ロバのパン」

ここは今も存在する。

朝日町の一角に位置する。

ここが出来るまでパンと言ったら、食パンか菓子パンしか知らなかった。

調理パンと初めて出会った場所。

陳列ケースには色んな種類が並んでいる。

パンの種類の多さを知った。

お気に入りは、オニオンパンだった。サンドウィッチは人気があるせいか、売り切れで中々食べれなかった。



それから、徐々に色んな店が新たにオープンしてくる。

次回はそちらも紹介していきます!


チャリンコに乗った神様~part3~

ガラス事件から暫くして他に遊ぶ場所も無い私達は模索していた。

木材工場跡地にあるテニスコートも朝日町商店街のお年寄りのゲートボール場となり、ミニ野球をする場所を見失ってた。


仲間の昭二が、


「あれから特に何も無いみたいだから、もう大丈夫じゃない?もう時効やろ~」


と、勝手な解釈で納得し、週末野球道具を持って、向かうは大口幼稚園。


到着し、辺りを見回すと誰も居ない。

早速プレイ開始!


バッターは若干遠慮気味に構える。


すると今度はヒデ坊が打ったボールが園舎とは別方向に飛んでいった。

その方向は、隣接する古びた建物がある敷地。

そこは、両親や近所の大人達が再三


             絶対に行くな!


と、言われてた場所。

大きな木で囲まれ、そこだけが暗く感じる。

白い壁の洋風の建物。

しかしボールを探さなくてはならない・・・

意を決し、テルが向かっていく。

テルの後姿を見送る。

段々と暗い場所に入っていく。


テルの兄 ノブ君が、


「オーイ!テル大丈夫か?無かったら帰って来い!」


と、心配顔が引きつっていた。

ゆっくりとボールを片手にテルが無事帰還。


一同、


「あっちには何があった?どんな場所やった?」


と、聞く。


「うーん・・・。怪しいとこだった。大きなガラスの向こうに十字架があった。」


「ひょっとしたら、神様の家じゃないか?」


「かもしれん。だからみんな行くなって言うんだ!」


「よし!みんなで見に行くか?」


と、ヒデ坊が言い出す。

全員固まってゆっくり進む。

とうとう敷地内に潜入した。

不気味な敷地内の正面に館が聳え立つ。


「間違いない!神様の家だ!」


自転車が無いから今は居ないと把握する。

先程テルが言っていた大きなガラスが見えた。

同じ歩幅でそちらに向かった。

怖いもの見たさで、恐る恐る中を覗いた。


黒光りした床に三人暗いが腰掛けられる長椅子が左右に並んでいる。

左方向にはやはり年代物と思わしき黒光したオルガンが置いてある。

置くには、大きな黒い十字架が掛かっている。

全員初めて見る光景だ!

いや、始めてみる神様の家だった。

不気味さと日没で暗くなりつつあるので、後にした。

帰宅中全員無言・・・

ヒデ坊が、


「今日の事は絶対に親に話すなよ!」


と、忠告され、解散する。


それからひと月過ぎ、相変わらず園庭で野球をしている。

なるべく神様の家にはボールが行かないように万全の気遣いで挑む。

このひと月で園舎のガラスは、通算三枚を割り、懲りもせず毎週プレイしている。

しかしこの日は他に遊んでる子供が多かった。

でも気にはしなかった。


3時を知らせるサイレンが鳴った頃、館の方向から大きな人がこちらに向かってきた!


ゲーッガーン 神様だ!


ヒデ坊と昭二、ノブ君とテルは一目散に逃げ、自転車で去って行った。

同級生のケイと私とで取り残された・・・


ウワー、どうしよう。ガラスの事でバチを与えられる・・・


と、思ってた。

他で遊んでた奴等が一斉に、


「園長ゴリラ~、元気ィ?」


エーーーッ!?園長ゴリラと神様?


とっさの理解に苦しんだ。

噂の園長ゴリラと我々が神様と呼んでた人は同一人物だった。


「君達、又お会いしましたね~。元気そうで嬉しいです。いっぱい遊んで喉が渇いたでしょ?あっちに冷たい飲み物を準備してるからいらっしゃい。」


言われるがままケイと私は連れていかれた。

内心、


「今までありがとう!お父さん、お母さん。いつもお母さんの言うことを聞いていれば良かった」


と、心の中で叫びつつ館の方へついて行く。


「さあ入りなさい。おやつも準備してありますよ」


小さな部屋に通された。

初めて見る実際の空間。

今から起こる事に対する恐怖・・・

美味しそうなおやつに、ジュースが目の前に置かれた。

喉が渇いてるはずなのに手が出ない。

横のケイを見ると、美味そうにムシャムシャ、ゴクゴクと・・・。


しばらくし、大きな神様なのか園長ゴリラなのか理解出来ない目の前の大きな人が、


「ここはね、イエス様と言う神様がおられる所なんです。あなた達が来てくれる事を大変喜んで下さいます」


と、不思議で不気味な事を語り始めた。

相変わらずケイはムシャムシャ、ゴクゴクと音を放ってる。


                                Part4に続く

チャリンコに乗った神様~part2~

朝日町の子共達は一生懸命遊んでた。

しかしここ朝日町だけでなく市内全域に公園と呼ぶにふさわしい場所はあまり無い。

都会なら児童公園とか整備され存在するが、なんせ過疎の進む田舎には無かった。


いつも遊ぶ場所と言ったら、近くの木材工場跡地のテニスコートでの草野球、瓦工場跡地の廃屋、そして町内にある大口幼稚園の園庭くらい・・・


平日は、瓦工場跡地の廃屋に集まり秘密基地と勝手に呼び、極親しい仲間だけが利用していた。

大口幼稚園で遊ぶ時は、土曜や休日だけと限定していた。

理由は、同じ町内にあるにも関わらずこの幼稚園の卒園生が一人も居なかった。

子供ながらに遠慮をしてた。

他に理由がもう一つあった。

同じ小学校のクラスメートの中に大口幼稚園卒園生が居た。


園長ゴリラ


と、良く聞かされてた。

これも想像の域ではあるが、そんなあだ名がつく位の園長だからゴツくて気性の激しいものと解釈していた。

だから、会いたく無い、ここの卒園生じゃなくて良かった~って思っていた。

だから遭遇しない為にも、誰も居ない週末のみの利用だった。



土曜の午後2時

同級生の昭二とその兄ヒデ坊とテルとその兄ノブ君、1才年下の雄一と僕の6名で集まった。

近くの駄菓子屋で各自好きなおやつを購入し、滑り台の上で食べる。

全員グローブとバットを持ち込みミニ野球をする約束だ。

おやつを食べ終わった順番に三角のグラウンドを設置する。

2チームに別れ三角ダイヤモンドのミニ野球を始める。

ポジションは、ピッチャーとファーストと外野のみ。

キャッチャーは相手チームの空いてる者がするシステム。


いつもの様に懸命にプレイする。

中盤にノブ君の打球が「カキーン」と同時に園舎に向かって飛んで行く。

外野の僕は見送るしか無かった。

他の皆も静かに打球を目で追う。


ガシャーン   パリーン


割れた・・・・・


園舎のリズム室と書いてある教室に飛び込んだ。

一同呆然。


ヒデ坊が私に、


「おい!早くボールを探せ!」


と怒鳴る。


「中に入ったよ~」


ヤ、ヤバイあせる


「逃げろ!」


と、誰かは記憶に無いが自転車に飛び乗り一目散にそこを後にした。


張本人のノブ君は勿論の事、ヒデ坊以外は罪悪感に見まわれた。

ヒデ坊は、


「誰も見とらんから俺達とはバレんから安心せい!」


と、強気と余裕の様子。


取り合えずこの日は早々と解散した。

翌々日の月曜の下校時間の事。

昭二が、


「大口幼稚園の様子を見に行かない?」


と、提案。


「エッ?」


と、思いつつ向かった。

心臓がバクバク状態で向かう。

路地の角から見る。

割れたはずのガラスは綺麗に入れ替えられ、ピアノの音が流れてくるいつもの幼稚園。

何事も無かった様に、親を待つ園児が園庭で遊びまわる姿が目に入った。


想像の中では、警察が現場検証してる風景や、臨時休園で静まり返ってる風景しか考えつかなかった。

ましてここには「園長ゴリラ」も存在する。

恐怖だったが、「園長ゴリラ」が暴れてるのでも無く警察も来てないので、一先ず安心して後にした。

暫くここでの集合は自粛しようと決めた。


                                part3に続く・・・