大鐘 稔彦のブログ
淡路島の診療所からお送りいたします。
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2018-10-04 18:02:14

その523

テーマ:診療所便り

☆本庶佑さんがノーベル医学生理学賞を受賞した。

今年は文学賞の発表がないからノーベル賞の発表が10月初旬に行われることも失念していたくらいだ。いうまでもなく、例の馬鹿げた村上ハルキ騒ぎと、彼がノーベル賞を取るのではないかと、ありえないことと信じつつも心配することがなくなったからだ。

☆がん治療の進歩は目覚ましいものがあるが、中でも抗ガン剤によるそれは瞠目の限りで、私の患者さんでも一昔前なら疾うに亡くなっていて不思議でない人が最後の頼みの綱の抗がん剤で奇跡的に長く生きておられる。

 中でも昨今とみに話題になっている抗がん剤がオプジーボである。

末期も末期ステージ4と診断されて匙を投げられた肺がんの患者がこの薬によって劇的に救われたケースが報告されつつある。残念ながら非常に高価で三千万円もかかるからよほど裕福な人でないと使えないきらいがあったが、現在は一千万円まで値下がりしている。一般のサラリーマンでも、命に代えられるものなら惜しくない額だろうし、何とか工面できるだろう。

そのオプジーボの臨床応用を可能ならしめたのが、本庶さんの PD-1理論だった。

☆本庶さんは私の一年先輩である。私は途中で一年休学したから、卒業年度では2年先輩になる。大学の構内で何度かすれ違っていたかもしれないが、もとより記憶にない。風の噂で、生科学教室に学生の分際で出入りしているものがいると聞こえてきたが、それが本庶さんだったかもしれない。

 私が彼を目の当たり見たのは卒業して数年後、東大に友人を訪ねた時だった。友人は鳥取大学を出て東大の大学院に学んでいた。勝手知らない研究室に赴き、小林君というその男に会いたい旨、すぐ近くにいた男に声をかけた。その若い研究員は、よれよれの白衣を翻し、試験管を手にしたまま取り次いでくれた。それが本庶さんだった。

☆生化学は医学部に入って3年目、専門課程で最初に学ぶ教科だ。本庶さんは得意だったであろうが、私は大の苦手で、講義に出るのは苦痛そのものだった。H教授が、何かというとノーベル賞を話題に出し、自分はもう少しのところで取り損ねたと、いかに自分がノーベル賞級の学者であるかを吹聴するのが鼻について仕方がなかったこともある。

 私は基礎医学者になる気などさらさらなく、一刻も早く臨床医になりたかったし、専門課程に入れば即内科とか外科などの臨床医学の講義が始まるものと思っていたから、生化学を始め、自分が書いた教科書を買わせてただそれを棒読みするだけの生理学の教授の講義に幻滅を覚え、とうとう休学届を出してしまった。若気のいたりもいいとこで、後悔しきり、ほろ苦い思い出である。

☆画期的ながん治療薬の話の終わりに、人生の最期をいかに迎えるかをテーマにした自著の喧伝で恐縮だが、著者も後期高齢者の群れに入って、常日頃思いを巡らさずにはおれない年齢に達したことに免じてお許しいただきたい。

 さる3月8日は神戸の「終末期フォーラムで」、6月1日は当地淡路島の一宮の「ふるさと塾」で講演させてもらった内容に、一時間半の講演では語りつくせなかったことを加味して書き下ろしたものです。ご笑読の上、忌憚のないご感想をお聞かせいただければ幸いです。

 

 


2018-09-15 16:46:45

その522

テーマ:診療所便り

☆週刊誌はめったに買わないが、新聞の広告だけは見る。昨今どんなことが話題になっているか、ざっと知っておくためである。テレビのバラエティ番組は見ない私にはそれで十分である。

 その中で、最近おっと目を引いた見出しがあった。タッキーことジャニーズの滝沢秀明君をジャニーズの副社長が後継者に指名した、という。普段ならさっと見過ごすのだが、ある事情でしばし滝沢君の写真に見入っていた。

☆ある事情とは、ほかでもない滝沢君が、来春WOWWOW で放映予定の「孤高のメス」で、主人公当麻鉄彦を演じてくれるからだ。そしてこの春、若干の手術の手ほどきに上京して彼と顔を合わせていたからだ。

 そのお膳立てを整えてくれたのは、松竹のプロデューサー伊藤さんである。テレビドラマ化の話を伊藤さんが持ち込んでくれたのはもう2年ほど前のことになる。「孤高のメスの」出版元幻冬舎の担当編集者木原さんから、突如、かなり分厚い冊子が送られてきた。伊藤さんが作成したものだという。伊藤さんがイメージする当麻鉄彦とライバルの実川剛役の俳優二人の写真とともに、前10話のプロットが載っていた。伊藤さんの熱い情熱が伝わってきて感激した。すぐ実現の運びになるかどうかはわかりません、と木原さんは言った。ただ、伊藤さんはものすごくやる気でおられます、と。

 だがその後一向に音沙汰がなく、「孤高のメス」は次回で完結篇としたいが、ついては、この前のテレビドラマ化の話はどうなりました、と打診してみると、私の方にも連絡がないんです、お流れになったようですね、との返事。さすがに愕然とした。完結篇を出してくれたところで、実は私編集から降りることになって校正部の方へ回ることになりました、と木原さんから連絡が入った。これでもう テレビドラマ化の話もなくなったな、と思っていた矢先、幻冬舎の映像企画部の部長で、先の映画化の時一方ならず世話になった小玉さんから思いがけない電話が入った。WOWWOWの話が本格化しそうなので伊藤さんとWOWWOWの青木さんという方と会っていただきたい、淡路島まで出かけていくのはちょっと難儀なのでこちらへ出てきていただけますか、と。

 これが一年前の話で、その後はもっぱら私と伊藤さんとのやり取りとなり、伊藤さんは淡路島まで出かけてきてくださったりした。

☆ほぼ実現の見込みが立ちましたが、この話は7月18日まではブログ等で公にしないでください、と釘を刺されたのはこの春、滝沢君に会いに行ったころだ。滝沢君は澄んだ大きな目が印象的だった。謙虚で誠実な人柄を感じさせた。堤真一とは違うキャラの当麻を演じてくれるだろう。

 昨日の新聞に、滝沢君が俳優業をやめ、プロジュース業に専念する、との記事を見出し驚いた。もし本当なら、「孤高のメス」の当麻役が俳優としての最後の仕事になる。気合を入れてくれるだろう。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

 

2018-08-30 16:54:32

その521

テーマ:診療所便り

☆インドネシアで開かれているアジア競技大会を連日楽しく見ているが、そうこうするうちにテニスのグランドスラムの今年最後の大会となる全米オープンテニスが始まった。これは相変わらずNHK

では放映されない。錦織がよほど勝ち進んでベスト8くらいまで来たら、そのころにはアジア大会も終わっているからあるいは放映するかもしれないが、期待薄である。

 全米オープンテニスが見れるのはBSWOWWOWだけである。

☆期待の錦織は一回戦を無難に突破した。それはそれでめでたいことなのだが、テレビを見ていて不快を禁じ得ないことがある。今回にかぎったことではないが、アナウンサーと解説者がやたら錦織をほめそやし、相手の選手の一挙手一投足には何らコメントを入れないことである。相手は格下で28歳のマルフェレルという選手だったが、暑さのせいも手伝って、顔を真っ赤にして錦織の球を追っていた。その懸命な姿を見ていると、1セットでもいい、取らせてやりたいと思ったものだ。同時に、アナウンサーも解説者も、たまには相手の選手をほめてやったらどうかと、あまりの身贔屓さに腹が立ってきた。「ああ、いいショットでしたね」とか、「よく粘りましたね」とかほめてやったら気持ちがいいのにと。

☆私はあまのじゃくと言われるかもしれないが、昔から判官びいきな所があり、よく見るボクシングでも、チャンピオンよりは挑戦者の善戦を期待してしまう。チャレンジャーが日本人であればなおさらだが、日本人がチャンピオンでチャレンジャーが外国人の場合でも、いつしか後者に肩入れしている自分に気づく。ことに、井上尚弥のようなめっぽう強いチャンピオンの試合では、チャレンジャーが一度くらい井上をダウンさせることを期待してしまう。一方的に打ちまくられ、挙句早々にノックアウトされるのは見るに忍びないのだ。このあまのじゃくは、私自身が非力な人間だからだろうが、それにしても、アナウンサーや解説者が自国の選手だけをほめそやすのはスポーツマンシップに反することだし、聞いていて吐き気さえ催してくる。猛省を促したい。

 

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