中学生の頃に「林りり子フルート教室」のカセットテープを使って練習した「バッハのポロネーズ」バッハと暴れん坊将軍は同学年(へぇー)
曽根亮一先生を語り継ぐ会。機会を得てフルートオーケストラを振りました。ここでの気づきは、フルートも弦も弓でエアーで「擦り歌う」という視覚化のイメージです。
フルートを学ぶにあたって音楽の父、バッハの作品との関わりは避けて通ることができません。音楽的にもテクニック的にも毎日の練習に欠かせない教材の一つです。
パルティータなどをエチュードがわりに使って「今日の調子」を確かめたりもしています。朝テレビの星座占いよりよっぽど、その日の調子が分かります。
「管弦楽組曲第2番」バッハの7曲からなる組曲ですが、中学生の頃に5曲目のボロネーズを練習しました。その時は桐朋学園大学の林りり子先生が作られたカセットテープ付きの楽譜を使いました。練習曲集は林光先生の作曲、チェロは倉田澄子先生という豪華な一品です。今これがあればプレミアム物ですね。何て表情豊かな優しいチェロの音!と中学生の私はチェロの大ファンになりました。数十年間の時を経て今はチェロKのお師匠様が倉田先生だという事に不思議なご縁を感じずにいられません。
さてバッハやモーツァルトの何が難しいかと言うと「ちゃんと吹けないと吹けない」事だと確信しています。
ロマン派以降、楽器が発達してフルートの美味しいところを余すところなく生かす曲も作られてきました。曲そのものが持つ力に助けられて聴き映えする曲もたくさんあります。
でもやっぱりバロック、古典の曲は演奏者の技量が丸裸になるのでテクニックを計るにはもってこいです。審査する方には便利で演奏者に厳しくもあり、試験やコンテストの課題にバロック、古典が登場する所以です。
でも良い事の方がはるかに多いのです。「毎日練習にバッハのパルティータ」練習する自分自身の調子や上達度がスケルトンに自覚できます。
今月は出石城やお蕎麦で有名な出石の中学校から一コマの枠でオファーがありました。
ポロネーズはその時にやるプログラムの一つです。バディネリとセットで。Sirゴールウェイの動画情報では「旋律の芯になる音を鳴らさなければ」と述べています。
これができるためにはよく調律されたピアノの鍵盤を鳴らすようにフルートが鳴ることです。
特に低音は情けない音でふぁーっと吹かないとひっくり返る。
フルートの低音を鳴らすアンブシュアには訓練された筋力が必要だと思います。低音だけではないです。筋力の質は「息に負けない」アンブシュアを崩さない筋力です。
この辺は弦楽器を見本とすると良いと考えました。バッハの独奏曲をバイオリンやチェロが奏でる。優れた弦楽器奏者は無伴奏ですから、バスの声部を響かせながら本当に美しく演奏します。バッハのシャコンヌなど最高ですね。
(ここからのイメージは私のインスピレーションなので参考にするのは自己責任でお願いします。)
チェロのC弦を弓で響かせる。これはフルートの何にあたるイメージでしょう。
フルートはC管です。物理学的には管の中には「気柱」があり、穴の開け閉めと倍音の応用で3オクターブ以上の音高を奏でる事ができています。
私のイメージは気柱が「弦」唇から放たれる一筋のエアが「弓」となります。
弦楽器でも弦と弓の「接点」の状態ほど重要なことはなく、フルートでもそれは同様であると仮定しました。
弦楽器の接点で起こっていること(弦の状態を一定とします)それは次の3つ。
1 弓の状態(唇から放たれるエアの状態)
2 弦(気柱)にかかる圧力
3 弦(気柱)を擦るスピード
別の言い方をすると、歪んだアンブシュアから放たれるエアは歪んだ弓の形となります。
チェロ奏者が弦だけでなく、弓の「毛替え」に結構敏感なのはこのせいです。
弦楽器奏者が「調整のできた良い弓でバランスの良い圧力で弦を振動させる。」これはフルート奏者が「良いアンブシュアでできたエアで気柱を振動させる(擦る)。」
フルートはエアリードで鳴らす、と言われますが、様々な発音システムの楽器との共通点があります。
息を使って歌う声楽、倍音を使う点での金管楽器、エアリードという視点のリード系木管楽器。
案外イメージしないのですが、タンポを叩き鳴らすなら打楽器。
「擦る」イメージの擦弦楽器もあまりイメージしない関連性の一つです。でもこのイメージはフルートの低音を響かせるのに役立ちます。
まとめ
フルートの音づくりに他の楽器のイメージは有効(必要)
低音は特に低弦を擦るイメージ
弦にあたる気柱との接点となるアンブシュアを輪ゴムを綺麗に引っ張って形作り、崩れないイメージ
腹式呼吸のさらに「核」を意識してその他の力の力は一切使わない(究極の脱力)