〜やさしさにつつまれたならー〜

という歌声が流れた時、目が覚めた。それで、中学生の時に不登校して、家に自分1人でテレビで観たドキュメンタリー番組のことを思いだした。

それは中学生には刺激の強い内容だった。何故、日本は刃物で身体を傷つけて血が出るか検査しなければ、分からなぃような外見が人間そっくりのロボットを作ったかという内容だった。

ある日、いきなり男女が奇声をあげて刃物を振り回すなどして暴れ、数十分後に死んでしまう感染力が異常に強い性感染症が流行した。検死をしたところ、梅毒が猛毒化したのでないかと考えられた。だが、不思議な梅毒だった。普通の梅毒のように粘膜の接触によっては感染せず、性行為でほぼ100%の感染するというものだった。だが、その感染症により身体に湿疹がてきるとか性器の形が崩れるとか鼻がとけるとかいったはなかった。血液など体液で感染が判明するとしても、強力な耐性菌で薬が効かなかった。

なんとか知恵をしぼってAIを搭載して体液の検査能力のあるラブドールに街をうろつかさせ、流行の状態を調べた。日本が滅ぶのではないかという状態だった。保菌者にラブドールをあてがうことにした。その保菌者に満足してもらうため、国家が音頭をとって高品質なラブドールを開発した。

21世紀に流行した新型コロナウイルスは発生から5年ぐらいで弱毒化したが、それは50年ぐらいかかった。不思議なことに日本でしか流行しなかった。

そして、ラブドールの存在で複雑な問題が発生した。ラブドールの開発には莫大な費用がかかったが大量生産出来て研究が進むと1体を普通サラリーマンの月収ぐらいで売買出来るようになった。ラブドールが高品質高性能過ぎることが問題だった。普通の人間がする仕事も人間以上にこなせるからだ。

人間の仕事を守るために、風俗店が特殊サービスさせるとか個人がラブドールとしか使用しない客にしか販売出来ない法律が作られた。だが、自衛隊にそういったロボットがいるということは、その法律がなくなったのだろう。

すると、助手席に座るロボットには性行為脳力があるの? ぼくは、頬があつくなった。

「何か、ご不安がありますか?」

車が言った。

「基地はどこにあるんだ? きみのことはなんと呼べばいいんだ?」

「わたしをジェーンとお呼び下さい。基地の位地は基地に着いてから説明があります」

落ち着いてきて、気づいた。アロマのようなものがたかれているような匂いがする。眠くなってきた。

「ジェーン。横になっていても、いいのか?」

「はい、シートをフラットにします。」

眠い。でも、普通の眠けと違う気がする。

「ジェーン、21世紀のユーミンという歌手の曲があったら適当にかけてくれないか」

曲が流される。

何も心配することはない。大丈夫だ。何か多幸感に包まれて、眠りについた。

朝、朝礼が終わりぼくは制服に着替えていた。部屋が同じ同期生は何か座学を受けているらしい。陸海空宇宙の自衛隊に肩を並べる特務部隊。災害派遣専門部隊。アシストスーツが全員に渡るから、体力に難のある人間でも、勤まるという。制服以外の戦闘服といった官物は返納していた。昨日は荷づくりするようにとは言われたが、自分の私服と日用品を私物のバッグに詰めるだけだった。

「村山2士、移動の準備をして事務室へ来なさい」

インターフォンの指示とおり事務室へ行く。事務室で区隊長にぼくの迎えにきたロボットを紹介された。

そのロボットはロボットだと見えない女性の姿をしていた。よく見ると外見は18歳ぐらいでキレイともかわいいともいえる顔をして身体はスタイルがいい。

ぼくは区隊長に特務部隊の車まで見送らてロボットに案内された。後部座席に乗るように言われた。リムジンのような豪華な内装だった。

いま、気づいたがロボットが着ている服は特務部隊の制服なのだろう。運転席は無人だが、ロボットは助手席に乗る。自動運転車なのだろう。

運転者席と後ろの席に仕切りのようなものが上がってきて後ろが一瞬真っ暗になるが、すぐに明るくなる。車のAIが特務部隊の基地まで注文の音楽を流してもいいし、映画やアニメをモニターに映してもいい。シートをフラットにして寝ていてもいいと言った。ぼくはアニメを観たいと言うと、注文したアニメを流してくれた。それで備えつけの中の物は何を飲み食いしてもいいし、車内に簡易トイレがあると言うことだった。

緊張がほぐれてくると、ハッと気づいた。外の風景が見えない。いま、どこにいるんだ? ぼくは特務部隊の基地が日本のどこにあるのか知らない。