2、息子への遺伝①ー遺伝すると知ってー

2,息子への遺伝②ー遺伝子検査ー

2,息子への遺伝③ー決断ー

2、息子への遺伝④ー羊水検査ー

 

●告知

 

20w/遺伝子検査の結果を聞きに今度は夫婦で日帰り上京。


英語で書かれた検査結果を目の前で「えーっと・・・」読み解き出す先生(おいおい)。覚悟はしていましたが、「遺伝している」という結論を聞いた時はやはりショックでした。


どこかで、「遺伝せずに済んで、安心して出産に臨めるのでは」という思いもありました。期待せずにいるには1/2の確率は高すぎたし、「やはり遺伝していたのか」というよりは、「できることは何でもしてきたつもりなのに、どうして悪い方ばかりに進むのだろう」という脱力感というか、虚無感が強かったです。

 

遺伝子検査の結果の正確性(まれに母親の遺伝子が混入していたということがあるらしい)は99%。ここまで来て、「残り1%の確率でありますように」と思うほど、脳天気ではいられませんでした。

 

診察室では一応平然としていましたが、さすがに外に出ると嗚咽をこらえられませんでした。無事出産できたとして、生まれてから始まるであろう治療のこと、視力のこと、転移や再発の不安、友達にいじめられないか、希望の職業に就けないのではないか、結婚や出産の壁。そして、私はどんな時も明るく笑って長男を支えてやれるだろうか、ということ。夫や結婚を喜んで受け止めてくれた義父母への申し訳ないという気持ち。

 

今思うと、「いや、さすがに生む前に就職や結婚の心配せんでも」と呆れるけど(笑)

 

帰りの新幹線では、ただただ涙がこぼれました。夫は、告知の時も、私が大泣きしているときも、新幹線野中でも、黙って背中を撫でていてくれました。

 

あまりおしゃべりの上手な夫ではないので、彼がどういう決意で結婚を決め、検査をするという私の意に賛同してくれ、結果を受け止めていたのか、きちんと聞いたことはありません。私はいつも、ジタバタドタバタしながら周りに迷惑をかけたりかけられたりして、助けてもらいながら人生を前に進んでいるとすれば、夫は黙っててくてくコツコツ人生を進んでいく対照的なタイプです。

 

妊娠、検査と告知、出産、そして治療を続ける現在に至っても、辛いときに黙って彼が受け止めてくれること、何があっても味方でいてくれるという安心感は、私を支えてくれる一つの柱になっています。

 

ただ、「深い思慮があるのでは」、と思っても、「あまり考えていない」という時の方が多いので、たびたび喧嘩の引き金にもなるのですが。(主に勝手に私が「あんぎゃー!」となって、向こうはなぜキレられてるかも分からず不穏な空気におびえるだけ)。

 


●結婚式

21w/検査結果を聞いた5日後に、実は挙式を控えていました。もともと二人とも実家から離れた勤務地で結婚したこともあり、式を挙げる気もなく、式に費用を使うよりその資金でリッチな新婚旅行に行きたい、というタイプでしたが、妊娠を機に、「今挙げないとたぶん一生挙げない」となり、3ヶ月ほどの準備期間で挙式に至りました。

まさか、自分がマタニティ挙式をするなんて、人生は何があるか分からないなぁとしみじみ。

 

告知のショックはもちろんありましたが、挙式する週末まで普通に仕事してたし、目の前にやることが多すぎて、ひとまず棚上げ状態でした。

 

21wにもなると、さすがにAラインのワンピースを着ていても気を抜けばお腹がぽっこり。という感じ。でしたが、ただ挙式するのは癪だったあまのじゃくな私は、大博打に出ました。

 

関西の都市を転々と異動したこともあり、当時住んでいた市にはまだ友人がほとんどおらず、会うのは同僚や仕事関係の相手先のみ。式に招待した親戚や学生時代の同級生、前の勤務地で知り合った友人などは式当日に久しぶりに会う、という状態でした。

また、同年代の親戚や友人は子どもを連れての参列が多く、どうせなら子どもたちを主体に披露宴を組み立てよう、という思いもありました。

 

そう決めてから、会社関係者以外の参列者、さらに言えば、実の父にも妊娠を伏せた状態で挙式に挑みました。母親と義両親はさすがに妊娠は知っていましたが。

 

式自体は和装でぐるぐる巻きなので、ばれる心配はなし。問題は披露宴でした。

祝辞を読む上司にも、日本酒で酔っ払う同僚や先輩にも、事前にさんざん口止めし、プランナーさんもメイクさんも、準備や着替えの時に私の腹を父や親戚に見せないよう完全ガード。

披露宴で着たぎりぎりお腹が分かるか分からないかのドレスの時も、常に腰を引き気味で両手とブーケで隠す、という危うい作戦(笑)で進め、披露宴の最後で、「孫(長男)から祖父(実父)へ」という手紙で参列者みんなに知らせる、というサプライズになりました。

 

会場の料亭を参列の子ども達が走り回り、その子達に渡したニコちゃんマークの風船があちこちでふわふわしていました。お見送りの際はみんなが妊娠を驚き、喜んでくれて、「これで遺伝していなかったら、本当になんの不安もなく喜べたなぁ」との思いを抱えていなかったと言えば嘘になりますが、そういうことを忘れるくらい暖かな気持ちになれた式でした。