2015年初冬。
結婚が決まり、入籍前に夫と国立がんセンターの遺伝子外来を受診しました。
その時点で、子どもを作るかどうか、という話は保留というか、「欲しいけれど実際どうなんだろう」という漠然とした状態でした。
夫は「別に子どもがいないという選択肢でもいいんじゃない」と言ってみたり、「子ども欲しいなぁ」と言ってみたり。
どっちやねん!と思うところですが、私も、基本的に、根っこのところでは、夫は私の絶対の味方でいてくれるということをなんとなく分かっていたので、表層の風向きはあまり気にしていませんでした。(笑)
結婚となると、義両親の反応も気になるところですが、大変ありがたいことに、夫の両親も、「どんなことでも応援するから、二人で決めたらいいよ」とつかず離れず見守ってくださる人たちで、その穏やかな態度に、私は今でも本当に救われています。
○私(母)の遺伝子検査
※遺伝の仕組みなどについては、別記事で書こう(という意思はある)と思っていますので、すべて省き、その他の経緯のみ書きます。
当時、関西に住んでいた私たち。まず、結納代わりの顔合わせで上京した次の日に眼科を受診し(確か、経過観察の外来を兼ねていたと思います)。その後、1ヶ月先くらいに、遺伝子外来の予約を取りました。
目的は、改めて、子どもを設ける場合の確率などの正しい情報の確認と、私自身の遺伝子検査を行いたい(けどどうやってするのか分からない)という表明のためでした。
まずは、私と夫、双方の家族の病歴など分かる範囲ですべてを聞き取り、確認。その後、網膜芽細胞腫の日本における統計資料(おそらく何かの発表に使われたレジュメから抜粋して)を見せてもらいました。
1992年の学会誌からの抜粋でやや古いものですが、書ける範囲で転載します。
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「網膜芽細胞腫の本邦における統計」
出典:網膜芽細胞腫全国登録(1975-1982/1147名)
●出生16,000~20,000人につき1名の発症
●両眼性:片眼性=1:1.9
●男性:女性=1:1
●家族性に発生した症例の割合:5.8%
内訳 両眼性 72%
片眼性 28%
●1147例中、片眼性66%(757例)、両眼性34%(390例)
→片眼性の55-59%は非遺伝性、6-10%は遺伝性(推定)
→両眼性のすべては遺伝性
●発症月例
両眼性 7.5±10.9カ月(min0、max68、med3)
片眼性 20.7±20.0カ月(min0、max227、med16)
●生命予後 TNM(※がんの進行度)と発病から治療までの期間が有意に相関
両眼性 5年生存率 92%、10年生存率 87%
片眼性 5年生存率 93%、10年生存率 92%
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医学は進化しています。この統計(私が生まれる前なので、私もこの中に入っていません)が今現在の治療の最新とは限りませんが、発症率などは、あまり変わっていないのでは、と推測します。
このほかに、遺伝性疾患が起こる仕組みをDNAのイラストなどを使って説明してもらい、網膜芽細胞腫の場合の説明を簡単に。
そして、遺伝子検査を希望すると伝えると、遺伝性のがんの説明や、遺伝子検査の目的や限界、個人情報保護や研究への協力依頼、諸費用といった諸々の説明文書を順番に説明してもらい、同意書にサインしました。
遺伝子検査って、何するのかなと思いましたが、当日、その場で採血のみ。あっという間でした。
網膜芽細胞腫の患者の遺伝子診断は先進医療です。2009年に厚労省に承認を受け、国がんは同年から実施医療機関として認証されています。先進医療分の遺伝子検査は、保険適応外で全額自己負担となり、小児慢性や高額療養費の対象にはなりません。カウンセリング自体は保険診療になります。
行った検査は2種類です。
①色体検査(FISH法) ・・・保険適応10.720円
②遺伝子検査(次世代シークエンサーを使った検査)・・・保険適応外124,520円
※家族の中で網膜芽細胞腫を発症した本人の検査代です。それに基づいた家族の検査 費用は38,020円だそうです。
染色体検査は、そこまで時間はかからなかったと思います。報告書を見ると、受診の約10日後に、外部機関から結果報告が来ています。
網膜芽細胞腫は特定の遺伝子の部位(13番染色体)にエラーが起こると発症する病気です。染色体検査レベルで分かる場合もあるそうですが、私はそのタイプではなかったようで、②の詳細な遺伝子解析に進みました。
→日経デジタルヘルス「次世代シーケンサー」とは
遺伝子検査は未だ万能ではありません。13番染色体にエラーといっても、どこにどんなエラーが発生しているかは人によって様々で、遺伝性の場合でも、遺伝子検査で発見できるかどうかは約8割~9割程度だそうです。つまり、両眼性(=遺伝性)を発症した患者が遺伝子検査を行っても、「エラーの部位が特定できなかった」、という結果になる人がいるそうです。だからといって、遺伝しないという訳ではないので注意が必要です。
私は、幸運(?)にも、8割の方に入ったようで、原因の遺伝子エラーの部位が分かり、説明を聞くことができました。受診してから約半年後に再受診して説明を聞きましたが、受診の日にちの調整がつかなかっただけで、確かもう少し早く(数ヶ月で)結果は出ていたと思います。