
音読協会公式ブログをお読みいただきありがとうございます
なぜ私が一般社団法人音読協会の設立に至ったかについてお話したいと思います。
●英語教育に不安や焦燥感を抱くママ急増中
グローバル化が進む中、ますます「英語」への関心が高まり、
多くのお母さん、お父さんがお子さんへの英語教育に多くの関心を寄せています。
その関心の高さに伴って、「英語教育」の低年齢化が進んでいます。
子どもの習い事人気ランキングを見ても、「英語」が上位にランクイン。
子ども向けの英語教室も次々に誕生しており、英語で保育を行う幼稚園や保育園も大人気
「うちの子の英語教育が心配!」「我が家も早くスタートしないと!」
「英語で苦労させたくない!」「英語を話せるようになって欲しい!」
と不安の気持ちや願望を胸に秘めている方も多いことでしょう。
このブログに来てくださったみなさんの中には、さっそく英語のセット教材の購入を検討したり、
英語レッスンを早く受けさたいとと、焦っている方も少なくないと思います。
●幼少期から英語漬けにすればバイリンガルは育つのか?
それでは、英語を早くから始めれば、英語は身につくのでしょうか?
幼少期から英語に触れる環境にいれば、英語を自然と理解する「耳」を養うことができるという一面があります。
その耳をそだてるのに役立ちそうで、一般のご家庭でも導入しやすいのが英語のセット教材です。体系立てられたセット教材があれば、効率よく英語のインプットを与えることができるかもしれません。でも、一般的にセット教材は高額であり、かつ使いこなせなければ、残念ながら効果は期待できません。
では、教材ではなく、英語のレッスンを受けるというのはどうでしょうか?
「英語に触れる楽しい時間を与えてあげる」という意味ではとても有意義だと思います。
しかし、英語レッスンを受けるとしても、通常は週1~2回、1~2時間程度。
週3回通っても、1週間に3時間程度の英語にしか触れることになりませんよね。
それでは、「使える英語」どころか、基本的な英語力をつけることはやはり難しいでしょう。
●普通のおうちで日&英のバイリンガルを育てたい
私自身は、子どもを授かる前から英語教育について20年以上研究を重ねてきました。
大学では、英語が世界言語になっていく歴史や英語が世界経済に与える影響について学んだり、
大学院では英語の発音と年齢の関係について1000名以上の子どもたち(幼児~小学生)のデータを収集して
効果的な英語教育を探る研究をしたりしてきました。
さらに、国内外のインターナショナルスクールやイマージョンプログラムを行う学校を何度も視察したり、
英語教育やバイリンガル研究に関する論文も読みあさったりしました。
実際に子どもたちに英語を教えた経験もありますし、
今も5歳~12歳の子どもたちに教えています。
大学院を卒業後は出版社で英語や中国語の学習書籍を作ったり、
語学スクールを調査したり、英語絵本を片っ端から集めるなど、
様々な方向からの言語教育の研究を続けてきました。
そんな私の中にずっとあったテーマは、
「一般的な日本の家庭において、無理なく、しかも効果的なバイリンガル教育をみつける」
ということでした。
妊娠中の時は、親になる期待感から特に熱心に英語絵本の研究に時間を費やしました。
出産後は、乳飲み子を連れてさまざまな英会話スクールを見学して回りました。
(わたし自身が体験したことなので、今、妊娠中の方や乳幼児を抱えているお母さんたちが、
英語教育に対してどんな不安を抱いているのかが手に取るようにわかります。)
私はこれまで英語教育に関するできる限りの情報を得ましたが、残念ながら、これでバイリンガルになれる!というような教材やスク―ルを見つけることはできませんでした。
●私が英語漬けの保育園や幼稚園を選ばなかった理由
研究を重ねる中ではっきりとわかってきたことがありました。
基本的な英語力を養うには、たっぷりと英語に触れることが必要ですが、
一般的な英会話レッスンでは十分なインプット量を確保することはできないということです。
インプット量を確保するには、やっぱり英語漬けの環境が
一番よね!と思われる方も多いことでしょう。
1日のほとんどの時間を英語で過ごすような幼稚園やスクールは魅力的に思えますが、
日本語の基盤ができる幼少期に英語だけで保育や幼児教育を行う環境で、
私自身は、幼少時代を過ごさせることに抵抗を感じました
1日中、英語で過ごすスクールでは、
友達との遊びも、けんかも英語。
歌や絵本も英語、英語、英語。
先生から褒められることも、叱られることもすべて英語。
「ありがとう」も、
「ごめんなさい」も、
「いただきます!」も、
「さようなら」も、
ぜ~んぶ英語。
そんな環境でほんとうに子どもたちを過ごさせてよいのだろうか?
英語漬けのクラスを見学するたびに、強くひっかかるものがあったんです。
もちろん、日本語の育成に配慮し、かつ適切な英語環境が整っているスクールはありますが、
そのような保育園や幼稚園の料金は一般的に高く、一部の限られたご家庭のお子さんしか通うことはできません。
我が家のケースだけに限れば、経済的にも地理的にも通わせることは可能でした。
今でもその気さえあれば通わせることは十分に可能です。
でも、私が探していたのは、
「一般的な日本の家庭における最適で、効果的なバイリンガル教育をみつける」
ことだったのです。
ですので、そのようなスクールにどぷり通わせるという選択はありませんでした。
●日本語は私たちの思考を司る言語
我が家がインターナショナルスクールや英語漬けの幼稚園を選択しなかった理由は、
やはり、「日本語で子育てをしたかったから」という考え方が根本にあります。
1歳前後から保育園に通させるとして、就学までの約5~6年もの間、英語漬けの環境で、
日本語に触れる機会を失うことを懸念したのです。
もちろん、家庭で両親が日本人で、日常的に日本語を話していれば、子どもは難なく日本語を話せるようになるでしょう。
でも、表面的に日本語が話せることと、日本語が豊かに育つことには大きな差があるのです。
(意外とこれをわかっていない方多すぎる…
)
日本語の土台が出来上がる大事な時期を犠牲にしてはいけないと思います。
英語は確かに大事ではあるけれど、日本語は私たちの思考を司る大切な言語。
その根っこの部分をつくる幼少期に、英語漬けするのは抵抗がどうしてもあったのです。
●日本人としてのアイデンティティーを大切にしたい
たとえ、日本語の発達に影響がなかったとしても、幼少期の思い出の大半が「英語」という
子供を育てたいのか?というと、答えは「ノー」でした。
日本語が、私たちの思考の言語であるとともに、私たちの「アイデンティティー」を形成するものだからです。
その日本語が乏しい環境に長い時間、子どもを置くようなことは子ども自身のアイデンティティーにも影響を与えることになる。
実際に、二つの言語を行き来しながら育ってきた私の友人たちの中には、アイデンティティーが定まらず、とても苦悩している方もおられます。これは、他人(特に単一民族、単一言語で生きる日本人)には理解しにくいのですが、本人にとっては一生の間つきまとう深刻な問題なのです。(涙)
(日本人としての「アイデンティティー」なんてどうでもいいじゃん!という方は、どうぞこのブログから離脱してください。)
●日本語を大事に育てることを優先した英語教育を!
「乳幼児期には極端な英語環境を与えるのではなく、
日本語を育てることを最優先にして、その上で英語教育を行っていく。」
これが20数年間、英語教育をいろいろな視点で見てきた私の結論です。
幼少期に豊かな日本語にたっぷり触れる環境が、
子どもたちの情緒の発達を促し、深い思考を養い、
円滑で豊かなコミュニケーション力を育ててくれる。
豊かな日本語を携えた子どもたちは、
それぞれの才能を生かしながら、
様々な考えやバックグランドをもった人たちと、
各分野に散在している未解決の問題を自分で発見し、
皆の知恵を借りながら協働で問題を解決しいく。
協働のツールとして、英語を使っていく。
そんなバイリンガルを育てたいなと、私は思っています。
●おうちでバイリンガルを育てるにはどうしたらいいの?
「それでは、そんなバイリンガルになるためには一体どうしたらいいの?」
「どんな家庭でも豊かなバイリンガルを育てる方法って何?」
その問いを続け、ようやく行きついたのが、
「家庭でお母さんやお父さんが英語絵本を読み聞かせる」
という方法です。
赤ちゃんからお母さんやお父さんができる範囲で英語絵本の読み聞かせをする。
そして、少し大きくなってきたら、一緒に声に出して読む。
最初は親子で、そして最後は子どもは一人で自走していく。
実際に、私自身も普通の保育園に通う2人の子供に、
毎日のように英語絵本を読み聞かせを行ってきました。
少ないときは1冊。多い時には10冊以上。
(読む量は日本語の本の方が多いのですが)
そして、英語力はもちろんのこと、
英語を通して世界が広がっていきました。
日本語の絵本にはないお話の展開パターン。
日本の作家さんには描けない色彩感覚。
製本の質感の違い。
斬新で不思議なイラストのタッチ。
さらに、絵本の中には、
親の私も知らない英単語や表現ばかりか、
未知の外国の文化や思考のパターンがありました。
そんな英語のインプットや異文化体験を家庭ですることができるのです。
これって、やらないともったいないです!
2人の子どもたちは乳幼児期から英語絵本の読み聞かせをはじめ、
現在では、英語本を読むことが当たり前となっています。
本から得たフレーズを口に出すこともあります。
自分でオリジナルの表現を作り出すこともできるようにも
なってきています。
英語本を通して、親子でいろんな異文化体験をしながら、
英語の力をつけてきているのです。
少し大きくなってからは、
英語絵本で培った英語力を土台にして、
オンラインでインド、アメリカ、アフリカの人などと
英語で会話をすることもあります。
自走のサインが鳴り始めていてワクワクしています。
我が家の子どもたちだけでなく、
これまで協会の活動に興味を持ってきてくださった多くの
お母さん、お父さん、子どもたにも効果や体験が起こっています
●まずはおうちでの英語絵本の読み聞かせから始めよう!
20年かけてようやく、一つの結論が見えてきました。
「ご家庭での英語絵本の読み聞かせをしよう」ということです。
特に、脳が完成する10歳頃までに、
たっぷりと読み聞かせや音読を行う習慣づけを行うことが
とても大切であることを多くの研究と実体験を通して確信しています。
その体験から得たノウハウをできるだけ多くの親御さんとも共有したいと
いう想いから、2016年に一般社団法人音読協会を設立することに至りました。
そして、2021年には設立5周年を迎え、
目標に掲げている、
「一般的な日本の家庭における最適で効果的なバイリンガル教育」
を日々改善し、より良いものを提供し続けています。
音読協会が目指しているバイリンガル教育に共感いただける方は、
音読協会の各種講座にご参加してみてはいかがでしょうか?
お会いできることを楽しみにしております。
一般社団法人音読協会 代表理事 本澤愛
(2021年 12月16日 記事一部改定)