トレヴァー・ピノックが指揮する
ヘンリー・パーセルの歌劇
《ディドーとエネアス》を
取り上げた際に
次のように書きました。
YouTube にアップされていた
フィリップ・ピエルロ指揮の動画を観て
主役のディドーより
侍女のベリンダに注目すれば
楽しめるのかも
と思って聴き直したことで
楽しめたのかな
そのピエルロ指揮の動画が
こちらになります。
元の映像は
2006年にオンエアされた
テレビのもののようです。
上掲のものは
冒頭の指揮者の登場や拍手が
カットされていますけど
オープニング・テロップから
冒頭の拍手も含めた映像も
別にアップされているのを
見つけましたので
参考までにアドレスのみ
以下に貼り付けておきます。
合奏はリチェルカール・コンソートで
合唱はコレギウム・ヴォカーレ・ヘント。
演奏自体は
ラ・フォル・ジュルネ2006
《国々のハーモニー》でのもので
公演月日は不詳。
コレギウム・ヴォカーレ・ヘントといえば
フィリップ・ヘレヴェッヘ創設の
ベルギーのグループ。
今回は同じフィリップでも
ピエルロが音楽監督を務める
リチェルカール・コンソートとの共演
というのが珍しい。
これは本演奏が
ラ・フォル・ジュルネという
フランスのナントで開かれている
クラシック音楽祭での公演だから
ではないかと思います。
ソリストは
ディドーがロミーナ・バッソ
エネアスがフリオ・ザナシ
ベリンダがヌリア・リアル
魔法使いの女がダミアン・ギヨン
という多彩な面々。
検索している時に
ヒットした静止画が
上掲のように
ヌリア・リアルらしかったので
気になって観はじめたら
最後まで観通せたのでした。(^^ゞ
エンディング・テロップまで見ても
他の出演者の名前は不明ですが
ディドーに仕える
第2の女を演じているのは
セリーヌ・シェーンです。
それが分かったのは
本公演の一部を収録したCD
《ラ・フォル・ジュルネ音楽祭
20周年記念アルバム》に
ヌリア・リアルと
セリーヌ・ディーンの歌唱が
収録されているからです。
(仏 Mirare: MIR-236、2014.4.26)
リリース年月日は
タワーレコード・オンラインに拠ります。
収録されているのは
第2幕第2場の冒頭
ベリンダのアリアと
それに続く第2の女のアリアで
そこにセリーヌ・ディーンの名前が
クレジットされているのでした。
(知ったかぶって書いてますが
今回の記事を書いている際
いろいろ調べているうちに
CDの存在を知って
慌てて中古で購入したのでしたw)
セリーヌ・ディーンは
第1の魔女とのダブルキャストで
魔女の方はファニー・フェイスと
奇妙な発声で歌っており
第2の魔女役の
カウンターテナー歌手と
楽しそうに演じてます。
ベルギーのソプラノ歌手で
美貌と美声で知られる彼女の
変顔・変声を観せる今回の映像は
ある意味、貴重かも。
セリーヌ・ディーンについては
全く知らないと思ってましたが
ナクソス・ミュージック・ライブラリーで
これまでの録音を調べてみると
今回、女魔法使いを演じた
ダミアン・ギヨン率いる
ル・バンケ・セレストとの共演盤を
しっかり持ってたことが判り。
2枚持ってて
1枚はこれから聴く予定でしたが
1枚はすでに聴いてました。( ̄▽ ̄)
CDで歌声だけを聴くのと
本人の姿を動画で観ながら
歌っているのを聴くのとでは
まったく印象が違います。
今後は、買ったCDの演奏者の中に
セリーヌ・シェーンの名前を見つけたら
今回の衣装と姿をイメージするに違いなく
本来の音楽性とは関係ないところで
楽しんでしまいそうな気が。(^^;
ディドーを演じたメゾ・ソプラノ
ロミーナ・バッソについても
調べてみたら
ナイーヴ盤のヴィヴァルディに
特にオペラ作品に多数参加しており
オペラ全曲盤ではない1枚を
自分もすでに聴いてたことが
判明しまして。(^^ゞ
そのバッソが演じる
今回のディドーは
終始、しかめっ面で
ヌリア・リアルが
脇を固めていなければ
観通せなかったかもしれず。( ̄▽ ̄)
バリトンのザナシも
これまでに聴いてきた
あるいは
まだ聴いてないけど持ってる
CDの何枚かに
参加しているようで。
たとえば
すでに聴いたものだと、こちら。
見た目が故・団次朗に見えなくもない
ザナシ演じるエネアスですが
トロイの王子というには
やや老けている感じですけど
(深みがあるというべきだったでしょうかw)
それを除けば違和感はありません。
第2の魔女役のカウンターテナーと
第1の水夫役のテノール
あと、エネアスに
イタリアに向かうようにと告げる
魔女が化けた精霊を演じるカウンターテナー
都合、3キャストについては
名前は分かりませんが
もしかしたら、それぞれ
コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの
メンバーかもしれません。
魔女が化けた精霊を歌う
カウンターテナーは
今回の舞台ではエコーとして
姿を見せずに歌っていますが
第2の魔女と同じ人かと思います。
第2の魔女と第1の水夫
この2人の男性の衣装が
コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの
男声パート(A、T、B)の人たちと
同じように見えるのですね。
少なくとも
カウンターテナーと
テノールの衣装は
まったく同じですね。
あと、第1の水夫が歌っている時
コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの
女声パート(S)の人に
ウケていたように見えますので
これは仲間内だからかな
と思ったのも根拠のひとつです。
セリーヌ・ディーン・クラスの奏者が
ダブル・キャストなので
コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの
男性メンバーから徴用しても
不自然ではなかろう、と。
……と思い
その後、何回か観ているうちに
第2の魔女が出ている時
アルト・パートの1人が
いないことに気づきましたので
まず間違いないでしょう。
器楽演奏は
リチェルカール・コンソートですから
悪いわけがなく。
今回の演奏の編成は
極めて正統的なものかと思いますけど
ギターとテオルボ奏者がいるのに
さらにハープ奏者が加わっているのが
目を惹きます。
第2幕の精霊のレチタティーヴォ
それに続くエアネスのアリオーソ
第3幕のディドーのアリアの伴奏は
本来ならテオルボかギターで
演奏されるものだと思いますが
それをハープに変えています。
その理由が気になってたんですけど
下掲《ラ・フォル・ジュルネ音楽祭
20周年記念アルバム》ライナー小冊子の
曲目リストを見ていたら
ヘンデルのハープ協奏曲が
同じくピエルロの指揮によって
同じ年の同じテーマの公演で
演奏されていることに気づきました。
おそらくは
同日の同メンバーによる公演
という都合も与って
《ディドーとエネアス》に
ハープが加わったのではないか
と想像する次第です。
リチェルカール・コンソートの名は
昔から存じあげていますが
自分が知っているのは
弦楽アンサンブルのころで
フィリップ・ピエルロは当初
ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として
アンサンブル演奏に参加してました。
いつのまに指揮者に転向したのか
あいにくと知っておりません。
今回の指揮では
指揮棒の代わりに
ボールペンか何かを
持ってるように見えますけど
いつもそういうスタイルなのかしら。( ̄▽ ̄)
ヌリア・リアルが歌っている
ペルゴレージ《スターバト・マーテル》は
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソートの演奏でしたし
(こちらは聴きました)
ピエルロは最近
マリア・ケオハネと
バッハやベートーヴェンを録ってますから
(こちらはまだ聴けてません)
指揮者になってからの録音も
何枚か持ってたり
聴いてたりしているわけで。
こうやって
別々に興味関心を持った演奏者が
買ってあったCDで
つながっていくのは
愉しいものですね。
というわけで
また長くなっちゃいました。
ご海容いただければ幸いです。m(_ _)m