キングズ・コンソートは
当ブログでも以前
ヴィヴァルディの宗教音楽全集
取り上げたことがあります。
ヴィヴァルディの宗教声楽曲に
ハマっていた頃なので
あっという間に聴き通しましたが
キングズ・コンソートによる全集ものは
実はそれ以前に、パーセルの
頌歌と歓迎歌全集・全8枚組ボックス
というのを買っておりました。
The Complete Odes and Welcome Songs
of Henry Purcell (1659-1695)
(英 Hyperion: CDS-44031/8、1992)
リリース年は第8巻が出た年ですが
ボックスの裏側に
マルCとマルPの年代として
MCMXCII とありますから
8巻と同じ年で大丈夫かと思います。
MCMXCII というのは
最初のMが1000
次のCMが900
次のXCが90
最後のIIが2なので
1992年というわけ。
それはともかく
第1巻が出たのは1988年ですから
4年かけて完結したわけですね。
こちらは中古で買いましたが
いつどこで見つけて買ったのか
まったく記憶にありません。
シュリンクを全部
はがさないようにして
ボックスの裏に
買った時の商品票(値段票)が
挟んでありました。
それを見ると
HMV record shop で
買ったようですけど
消費税10%とありますから
2019年以降であることは確かですが
ほんとまったく
記憶にございません。
そもそもなぜ
パーセルのボックスを
買おうと思ったのかも
よく覚えていませんし(おいおい)
それでも、今ここに
パーセルのマイブームが到来して
聴きたいと思ったらボックスがある
というのは我ながら
先見の明があった
といえるかもしれません。
なんでも買っておくものですね〜 ( ̄▽ ̄)
以前
についての記事を書いた際に
NHK FM《古楽の楽しみ》でかかった
キングズ・コンソートの演奏を
旧録盤で持っていると書いたのは
本ボックスのことです。
先に書いたような体たらくなので
おそらくどの盤もただの一度も
通して聴いてないのではないか
と思われますけど
いい機会ですから
当ブログで連続して取り上げている
《来たれ、汝ら芸術の子よ》を
聴いてみることにしました。
《来たれ、汝ら芸術の子よ》は
第8巻に収録されています。
(英Hyperion: CDA-66598、1992)
本ボックスの各盤は
バラ売りもされていたので
各盤にCD番号が付いています。
演奏は
ロバート・キング指揮
キングズ・コンソート、および
オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団
(合唱指揮:エドワード・ヒギンボトム)。
キングは指揮だけでなく
ソロ・パートのチェンバロ伴奏
ないしオルガン伴奏も
担当しています。
《来たれ、汝ら芸術の子よ》のソリストは
ジリアン・フィッシャー(S)
ジェイムズ・ボウマン(CT)
マイケル・チャンス(CT)
マイケル・ジョージ(B)といった面々。
録音は
1992年1月9〜11日ですが
特にどの日かは不詳。
演奏は全体的に
ややゆっくりめで
おっとりしている印象です。
特に
マラン・マレの
《“聖ジュヌヴィエーヴの丘”教会の鐘の音》
を思わせなくもない第4曲目は
今まで聴いてきた演奏と比べると
非常にゆっくりと演奏されるので
キングズ・コンソート盤で聴いていたら
マレの曲を連想しなかったかも
と思ってしまうくらいでした。
ソプラノ・ソロは
やや揺らぎを感じさせるものの
特に違和感は覚えません。
ソプラノの声が揺らぐのは
作曲当時の女性のイメージを
体現しているのかも
とか思ったほどでした。
オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団は
ソプラノ16人、カウンターテナー5人
テノール5人、バス6人の総勢32人で
アルトではなくカウンターテナー
と書いたことから想像される通り
女性は一人もいません。
ソプラノ・パートは
少年合唱なわけですが
そういわれれば
なるほどという感じの
迫力? があります。
トランペットは
クリスピアン・スティール=パーキンス
およびマーク・ベネット。
1988年にリリースされた
第1巻のライナーには
ナチュラル・トランペット
とありましたが
1992年リリースの
本盤のライナーでは
トランペットとあるだけ。
本当に指孔なしの
トランペットなのかどうかは
不詳です。
通奏低音には
アーチリュートが加わっており
ジャン・テュベリー指揮
アンサンブル・ラ・フェニーチェの
2012年の演奏の動画を紹介した際
リュートが加わってるのは最近の傾向
というようなことを書きましたが
1990年代初頭にすでに
リュートが加わっていることを
本盤で知らされ、びっくり。
1988年に出た第1巻の
ライナーを見てみると
やはりテオルボとありまして
うーん、と唸らされた次第です。
こうなってくると
最近の傾向というより
古楽第2世代ならでは
ということになるんでしょうかね。
第8巻には他に
チャールズ2世のための歓迎歌
《いざ、全能の王の代理人を迎えん》Z.340
ジェイムズ2世のための歓迎歌
《なぜにすべてのミューズは黙する》Z.343
の2曲が収録されています。
歓迎歌(ウェルカム・ソング)
というのは
『古楽CD100ガイド』
(国書刊行会、1996)によれば
「避暑先のウィンザーなどから
ロンドンに帰国する国王チャールズ2世を
歓迎するための音楽」(那須輝彦執筆)
だそうです。
1680年から84年まで
チャールズ2世のために5曲、
1685年から87年までは
ジェイムズ2世のために3曲書かれ
その後はメアリー2世の
誕生日のための頌歌(オード)が
書かれるようになったのだとか。
第8巻に収録された
上記2つの歓迎歌のうちでは
《なぜにすべてのミューズは黙する》の
第5曲のバスのソロが
めちゃくちゃ低音なので
びっくり。
マイケル・ジョージが
かろうじて響かせる低音の魅力を
味わうことができますけど
これは静かな環境でないと
聴き取れないかなあ
とも思ったり。
なにはともあれ
いい機会ですので
残りの盤も
聴いていきたいと思いますが
しばらくは楽しめそうです。
他の盤を聴いての感想は
いずれまた、そのうちに。