モダン楽器による演奏であるため
古楽器によるものはないのか知らん
と思って検索してみたところ
見つけたのが、こちら。
Antonio Vivaldi:
The Complete Sacred Music.
(英 hyperion: CDS 44171/81、2005)
ロバート・キング指揮
キングズ・コンソートと
その合唱団の演奏で
曲によって
外部からソリストが加わります。
こちら、最初は
タワーレコード・オンラインで見つけて
注文したのですが
取り寄せ期間内に
神保町のディスクユニオンで遭遇し
そちらの方が明らかに安かったので
タワレコの方はキャンセルしたという
自分的には曰くつきの商品だったりします。
紙ジャケの表がトラック名で
裏には演奏者や録音データなどが
印刷されており
実に合理的なデザインが好み。
歌詞は
ハコと同じデザインの
ライナー冊子に載っています。
(最初の写真、上段左)
枚数はネグリ版より1枚多い11枚組。
ネグリ版では収録されていても
今日、偽作と見なされているもの
(RV586、592)や
不完全稿(RV615)は
キングズ・コンソート版には未収録。
その一方で
ネグリ版以降に発見された RV803 や
ネグリ版には未収録だったモテット6曲
(RV625、627、629、632〜634)と
導入歌4曲(RV637、638、641、642)が
収録されている他
グローリアの終曲フーガの原曲を含む
ジョヴァンニ・マリア・ルッジーリ作曲の
グローリアをまるごと収録しています。
唯ひとつ気になるのは
導入歌 RV636 が
なぜか未収録なこと。
(ネグリ版には収録)
導入歌は、後に続く
グローリアやマニフィカトなどの
前奏に当たりますので
対応する曲(RV635 なら
ディクシット・ドミヌス)がなければ
収録できないのは
それなりに分かりますけど
付録として単独で入れてほしかったです。
そういう心残りはありますが
散失曲や異稿、不完全作を除けば
リリース時点での
ほぼ完璧な全集になっており
complete の文字に偽りなしです。
(例外的に RV597 の異稿 RV795 も収録。
なぜなのかは分かりません【^^ゞ)
ルッジーリのグローリアを
参考作品として収めているのが
実にマニアックながら
バロック音楽ファンにとっては
見逃せないところでしょう。
演奏はネグリ盤同様
実に「エモい」だけでなく
曲によっては珍しい楽器を使って
珍しい響きを再現しているのが
古楽器演奏らしくて好み。
例えば
ボックス版リリースの2年前
2003年に発見されたばかりの
《ニシ・ドミヌス》RV803 では
トロンバ・マリーナ風ヴァイオリンが
使われています。
また
オラトリオ《勝利のユディータ》では
ヴィオラ・アッリングレーゼ
viola all'inglese(イギリス風のヴィオラ)
という楽器が使われていたり。
もっとも
前者は独特な音色なので
すぐ分かりますけど
後者はよく分からない…… (^^;ゞ
合唱王国ともいわれる
イギリスならではの全曲版として
超おススメ。
これを聴き通すと
ここに入っていない声楽曲が
聴きたくなってくるのは自然の流れ。
(自分だけでしょうか? w)
というわけで
キングズ・コンソート版に未収録の
モテット2曲を収めたCDや
キングズ・コンソート版リリース以降に
発見された楽曲を収めたCD、
さらには宗教曲ではない
カンタータを収めたCDなどを
買いあさることになるのですが
それはまた別の話。
機会を見て
そちらについても
追々紹介していければと思います。