今日も今日とて

冬季講習で横浜へ。

 

15:00開始で

終わったのが18:45ごろ。

 

後者を出たその足で

ディスクユニオンへ向かったのは

いうまでもありません(苦笑)

 

おとといにも行ったのに

まだ買うものがあるのか

と言われそうですが

やっぱり見逃してたものがあり

また4枚ほど買い込んできました。

 

今回の話題は

その4枚のことではなく

おととい買った1枚の

ご紹介です。

 

 

おとといの記事

「長年探していたものを

 見つけたんですけど」

と書いたのは

こちら↓の盤のことです。

 

ヤーコプス&ユングヘーネル《イン・コンサート》

(ANFコーポレイション ANF-202、1989)

 

原盤レーベルは

ハルモニア・ムンディ・フランスで

録音は1985年6月。

 

こちらは

皆川達夫の

『ルネサンス・バロック名曲名盤100』

(音楽之友社、1992)で

バロック時代の劈頭を飾る

ジュリオ・カッチーニ作曲

〈アマリリうるわし〉を

収録したディスクの推奨盤として

あげられている1枚です。

 

カッチーニの

〈アマリリうるわし〉のことを

以前、当ブログで書いた時

皆川が第1の推薦盤として

あげているけれど

未だ入手できていない

と買いたディスクが本盤です。

 

そもそも

皆川の本で紹介された時点で

すでに「廃盤」と書かれてて

これは入手が難しい

と思っていた1枚なのでした。

 

皆川の本を買ってから32年目

当ブログで言及してから4年目にして

初めて見て、入手できたわけで

感無量の思いとは

まさにこのことですね。

 

 

皆川の本で

「アマリリうるわし」の

推薦盤として

あげられていることもあり

何となくカッチーニの曲集かと

思い込んでいましたが

本盤に収録されたカッチーニは

それ1曲のみ。

 

コンラート・ユングヘーネルが演奏する

リュート独奏曲が2曲

(ピエトロ・パオロ・メッリの

 〈半音階的カプリッチョ〉と

 ヴァイスの〈前奏曲とフーガ〉ニ短調)

の他、様々な作曲家による歌曲が

17曲収録されています。

 

モーツァルトは別格として

パーセルやモンテヴェルディ

ステッファーニ、シャイン

ハンマーシュミット

といったあたりの名前は

聞き覚えがありますが

ボットガーリ、フェッラーリ

ジョンソン、クリーガー、グレーフェ

という名前は初見です。

 

ですから

皆川の本を買った当時

仮に入手していたとしても

まったく楽しめなかった気が

しなくもなく。( ̄▽ ̄)

 

というわけで

見つけるまでに

時間はかかりましたが

タイミング的には

良かったのかも。

 

 

グレーフェの名前は

バッハと並記されていて

美山良夫の解説によれば

ドイツの詩人・作曲家で、自作や他の作曲家の歌曲を集めて出版した。もっとも、その多くは既存の器楽曲に歌詞をあてはめたものであった。この曲もそのひとつである。

とのことです。

 

この解説文を読むと

ここに収録された曲が

バッハの器楽曲に

歌詞をあてはめたもの

だと思ってしまいますけど

さにあらず(苦笑)

 

原盤のケース裏には

トラック名が以下のように

記されています。

 

 Johann Friedrich Gräfe /

 Johann Sebastian Bach :

 Aria di Giovanini

 «Willst du dein Herz mir schenken»

 

これではバッハの何なのか

知識がないと分かりませんけど

原曲名で検索してみたら

《アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳》

第2巻の第37曲〈君われに心を送りなば〉

だと判りました。

 

ちなみに『バッハ事典』

(東京書籍、1996)によれば

ジョヴァンニーニはバッハの愛称

という説もあるのだとか。

 

いずれにせよ

もともとは歌曲であって

美山がいうところの

「他の作曲家の歌曲を

集めて出版した」ものに

収録されているものと思われます。

 

 

こういうことは

原盤のライナーに

書いてあるかと思いきや

原盤ライナーは全8ページ、

見開き2ページの解説が

仏語、英語、独語で

載っているだけ。

 

各歌曲の歌詞も一切

載ってないのでした。

 

日本語ライナーにも

歌詞の大意が載っているだけで

対訳は載っていません。

 

それはともかく

今でこそインターネットで

比較的簡単に調べられますけど

仮に30年以上前に

本盤を買っていたとしても

簡単に調べられたとは思えず

困惑し失望していたでしょうね。

 

本盤はのちに

キングレコードから

ジャケット(小冊子表紙)の

デザインを変えて

再発されているので

皆川本の第4刷には

 そちらのジャケ写に変わってます)

そちらの解説は充実しているかも

しれませんけど。

 

 

それにしても

ジャケ写(小冊子表紙)の

ルネ・ヤーコプスは、若い。

 

1946年生まれですから

本盤録音当時は

39歳のはずですけど

フィンガー5の晃を彷彿させる

少年のような佇まいなので

凄いというか、びっくり。

 

 

ジャケ写に写っている

ユングヘーネルのリュートは

アーチリュートと呼ばれるもの

だろうと思います。

 

糸巻きが二つあって

ネックのない方(番外弦)は

1コースに弦が1本で6コース

ネックのある方は8コースで

第1コースと第2コースを除き複弦

つまり1コースに弦が2本張られている

ように見えますから14弦になり

全部で20弦ということになりますか。

 

かなり大ぶりですが

モーツァルトやグレーフェの曲を

伴奏するためには

これくらいのものが必要

ということなんでしょうかね。

 

 

そういう

楽器情報については

原盤解説はもとより

日本語解説にも

書かれていません。

 

まあ、そういう

好事家向けの情報には

乏しいですけど

演奏はなかなか宜しい。

 

リュート伴奏のみなので

深夜に聴くと

哀切感ましましです。

 

モーツァルトとグレーフェを

例外とするなら

バロック時代のモノディ様式

すなわち単旋律歌曲の

アンソロジーとして

楽しめる1枚かと思います。