(音楽之友社 ON BOOKS、
右:1992.2.10. 第1刷
左:1995.5.20. 第4刷)
皆川達夫の
名曲名盤100』については
当ブログを始めて
かなり最初の頃に
紹介しました。
同じ ON BOOKS の
『バロック名曲名盤100』(1977)から
バッハとヘンデルを除き
専門である中世ルネサンス音楽を
大幅に増補したのが
『ルネサンス・バロック名曲名盤100』
だったことについては
その時に書きました。
『バロック名曲名盤100』は
手元には初版本と
1988年10月20日発行の
第14刷があります。
第1刷と第14刷を比べると
分かるんですけど
刊行時、入手できる盤を
紹介するようにしており
再版された際に
推奨盤が変わってくる場合も
あったのでした。
したがって
のちの刷になると
推薦盤が差し替えられることも
しばしば見受けられます。
刷が変わるたびに
内容を改めていたわけですけど
曲によっては
コメントの文章が
手直しされている場合もありました。
そこから類推するに
『ルネサンス・バロック
名曲名盤100』の場合も同じく
第1刷の時点では
推奨盤なしだとしても
後の刷で追加されていることが
予想されるわけです。
というわけで
後の刷も欲しいと
ずっと思っていて
最近になってようやく
第4刷を入手したのでした。
最終的に
第何刷まで出たのか
分かりません。
第4刷だったかどうか
記憶は曖昧ですが
以前、新刊書店で
再版されたものを見かけて
買い損ねています。
その当時
刷によって推薦盤が
変わっているとは
思いもよらず
それを知って以来ようやく
再版されたものを
贖うことができたのでした。
両書の違いは
カバー裏を見れば一目瞭然。
初版には
フラウト・トラヴェルソ奏者
有田正弘の推薦文が
付いていましたけど
再版本になると
バーコードを載せる必要からか
推薦文は取り去られています。
第何刷からバーコードがついたのか
については、はっきりしません。
運用されたのは
1991年からのようなんですけど
本書の第1刷は1992年なので
全ての本に一斉に付いた
というわけではなさそうなことが
うかがえます。
価格も
初版は税込850円でしたが
再版になると
903円+税となっています。
初版の頃も第4刷の頃も
消費税はまだ3%の時代なので
第4刷は税込930円
ということになりますかね。
たとえば
フランチェスコ・ランディーヌの
〈春は来たりぬ〉は
初版では推奨盤なしでしたけど
第4刷だと
デイヴィッド・マンロウ指揮
古楽コンソート盤が
あがっています。
ハンス・レオ・ハスラーの
〈わが心みだれさわぎ〉は
LPレコードでしたけど
第4刷になると
ペーター・シュライヤー歌唱
《古いドイツの歌》が
あがっているという具合。
(2枚目はクノーテ盤のまま)
ペルゴレージの
《奥様になった女中》は
BMGビクターから出ていた
コレギウム・アウレウム盤が
推薦盤のトップになっています。
(そちらはまだ未入手)
同じくペルゴレージの
《スターバト・マーテル》は
初版とまったく同じですが
コメントで
アーノンクール盤について
「メリハリにみちて多少アクが強く、
この作品には必ずしも
合致していると言えないようです」
と追記されていました。
初版では最後の1枚
皆川自身の企画作製による
第4刷では廃盤になっているのが
切ないですねえ。
逆に
初版では廃盤だったのが
第4刷で現役盤になっているのも
ありますけどね。
というふうに
同じ本ですけど
読み比べてみると
いろいろ発見があって
なかなか楽めるのでした。
まあ、
これでまた
中古盤を渉猟して
懐が寂しくなるわけですけど。( ̄▽ ̄)