『新しいドイツ歌曲の喜びの園(抜萃)』

(アルヒーフ レコード 2533 041、1963?)

 

販売は日本グラモフォン(当時)です。

 

録音年については

1963年の3月18〜22日と

記載されているのですけど

レコードのリリース年が

どこにも書かれていません。

 

それで録音年をリリース年として

念のため「?」を付けておきました。

 

 

あと、日本盤のタイトルは

『《新しいドイツ歌曲の喜びの園》より

 ——ガレット、バイヤルド、イントラーダ』

と長いものですが

ここでは原盤の表記に合わせています。

 

原盤にも副題が付いてますが

長くなるので取りました。

 

 

演奏は

アデーレ・シュトルテ、

クリステル・クルーク(以上ソプラノ)

ロスヴィータ・トゥレクラー(メゾソプラノ)

マリー=ルイーゼ・クノーテ(アルト)

ハンス=ヨアヒム・ロッチュ

ヴォルフ・ラインホルト(以上テノール)

フリードリヒ・クラウゼフェルト(バリトン)

ヘルマン=クリスチャン・ポルスター(バス)

それに、ライプツィヒ合奏団

指揮はディートリッヒ・クノーテ。

 

アルトのマリー=ルイーゼさんは

指揮者の奥さんか

娘さんかもしれませんね。

 

 

こちらのレコードは、皆川達夫の

『ルネサンス・バロック名曲名盤100』

(1992)に紹介されている1枚で

自分の知る限り

まだCD化されていません。

 

かなり前から探していたのですが

『NO EARLY MUSIC, NO LIFE?』を聴き

気持ちが高まった(?)ので

検索してみたら

わりと簡単に見つかったという。

 

しかもタスキ(オビ)付き。\(^_^)/

 

即買いでした。(^^ゞ

 

 

ハンス・レオ・ハスラーは

ドイツのバロック時代の音楽家です。


『新しいドイツ歌曲の喜びの園』は

1601年に出版されました。

 

日本語のライナーによれば

(執筆は皆川達夫!)

世俗歌曲39曲と器楽曲11曲が

収められているそうで

本盤にはその中から

声楽・器楽取り混ぜて19曲が抜萃され

録音されています。

 

 

『喜びの園』と訳されていますけど

日本語ライナーにあるように

『快楽の園』と訳した方が

曲集の内実に合っている気もします。

 

というのも、歌曲が

恋の喜びを歌ったり

酒や音楽の愉しみを歌ったりと

現世の快楽・愉楽を

テーマとするものばかりだからで

その内の1曲は

結婚初夜の経緯を歌った

艶笑歌だったりします。

 

「花嫁が寝室に行きたがらなかった」

という歌詞で始まる連作で

これにはびっくり。

 

おそらく当時は

酒場のみんなで歌って

哄笑していたのではないかしらん。

 

それを真面目に歌っているので

笑っていいのやら悪いのやら

反応に困りますね。

 

 

そんな収録曲のうち

「私の心は思い悩んでいる」

という歌曲が

「わが心みだれさわぎ」という題で

皆川の前掲書に紹介されています。

 

この「わが心みだれさわぎ」の旋律は

後に歌詞を変えられて

ルター派のコラール(讃美歌)に流用され

さらにそのコラールが

バッハの『マタイ受難曲』に

使われています。

 

だから旋律自体は

バロック好きにとって

超お馴染みのものです。

 

そのためでもあるのか

本盤の演奏はかなりゆっくりめで

『マタイ受難曲』のコラール風に

情感豊かに歌われています。

 

でも、先にも書いたように

結婚初夜を歌う艶笑歌まで入っている

曲集ですからね

コラール風に歌うのは

いかがなものかとも思ったり。

 

 

『新しいドイツ歌曲の喜びの園』の

全曲新録音なんてCDが

出ないもんですかねえ。

(もう出てるかもしれませんけど)

 

その場合は

演奏のバランスが

難しいかもしれませんけど

陽気で軽快なものを

お願いしたいところです。

 

 

ちなみに

ジャケットは3ツ折り仕様で

 

『新しいドイツ歌曲の喜びの園(抜萃)』ジャケ内側(その1)

 

最終ページの裏が

レコードを収めるための

スリーブになっています。

 

さらに

歌曲の歌詞を付ける必要が

あってでしょう

ペラ1枚が貼付されて

 

『新しいドイツ歌曲の喜びの園(抜萃)』ジャケ内側(その2)

 

全5ページとなっています。

 

こういう仕様を見るのは初めて。

 

ビニール・コーティング

されていないこともあり

素朴で質実な味わいが感じられ

さすがドイツのレコードだけのことはある

と思っちゃいました。

 

 

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