皆川達夫の講談社現代新書2冊は、
中世・ルネサンスからバロックにかけての
音楽史を勉強するには、最適でしたけど、
推奨CDガイドが付いているわけではありませんでした。

そこで、ルネサンス・バロック音楽のCDを買う際に
導きの糸となったのが、この本です。

圏外の日乘-皆川達夫オン・ブックス(新)
(音楽之友社 ON BOOKS、1992年2月10日初版発行)

当初は、ここで紹介されている作曲家のCDを探して、
買っていたものです。

この本を読んで、同じ曲でも演奏者が違うと
違う印象を与えるから、
なるべくいろんな演奏のCDを買うべきだという
クラシック・マニアの作法
(というより、地獄の愉しみw)も教えられました。

おかげさまで同じ曲の違う演奏を何枚も買うという、
普通のポップスならあり得ないようなことを
(ジャズやロックならありそうですが……)
やるはめになってしまいました。
まあ、古本では似たようなことをやっていたので、
すんなりと入っていけましたが(苦笑)

後に、この本の基になった
『バロック名曲名盤100』を古本屋で見つけました。

圏外の日乘-皆川達夫オン・ブックス(旧)
(音楽之友社 ON BOOKS、1977年11月10日初版発行)

『ルネサンス・バロック名曲名盤100』には
バッハとヘンデルは、そのCDが多すぎるのと、
皆川の専門である中世・ルネサンス音楽を多く紹介したい
いう理由で、割愛されていたんですね。
そのバッハとヘンデルが、
『バロック名曲名盤100』には、2人合わせて33曲、
紹介されています。

もちろん、紹介されているのもLPレコードばかりで、
演奏としても録音としても古いものが多いわけですが、
古い演奏や録音だからといって、ダメというわけではありませんし
(そこが、クラシックに限らず、音楽の不思議なところです)、
あとでCDになったものも多いわけですから、
まったく役に立たないものでもない。

『バロック名曲名盤100』の方は、
後に2刷と14刷を古本屋で見つけて買っています
(最終的には15刷まで出たようです)。
紹介されている推薦盤を比べると、なかなか面白い。
レオンハルトなどの古楽演奏が
受け入れられていく様子が、よく分かります。

日本では、どんなに名盤と評価されようとも、
一部の例外を除き、すぐに廃盤になります。
これはレコード、CDに限りません。
油断していると、すぐ店頭からなくなってしまい、
見たとき買わないと、二度と出会えないことすらあります。
ただレコードの場合は、後にCD化されることもあり、
むかしの名盤ガイドも役に立たないことはないわけですね。

でも、メロディー・ラインを知るだけなら、
同曲異奏盤を買う必要は、まったくないです。
ただ古楽器演奏の場合は、使う楽器によって、
また研究が現在進行形ですから、演奏する時代によって、
音がまったく違って聴こえる場合がある。

だからまあ、愛聴盤に出会うためには、
やっぱり何枚も買う必要があるわけです
(単なるいいわけ、という説も……【^^; )