昨日、日本近代文学館から
下北沢まで歩いたことは
前回の記事にも
書いた通りです。
下北沢まで歩く時は
旧前田家本邸前の道を
通った先にある東門を出て
井の頭線の
駒場東大前駅方面に向かって歩き
最初にぶつかった踏切を渡り
駒場野公園に沿って進み
井の頭線と付かず離れず
途中、住宅街の中を抜けながら
池ノ上駅まで向かいます。
池ノ上駅に着いてから
線路を渡り
下北沢に向かう途上で
前回の三角葉アカシアを
見かけたわけですが
それも含め
池ノ上駅周辺と
そこから下北沢に行く間では
不思議と黄色い花に
縁がありました。
写真は撮りませんでしたけど
井の頭線の電車が
池ノ上駅へ入るあたりの
線路脇の土手に
丈の高い菜の花が群生してました。
そこから、改築中の
世田谷区立池之上小学校を
左手に見ながら細い道を進むと
右手のビルの
撮った写真をよくよく見れば
特に花壇とも思えない
ニッチなスペースに
不思議な形の黄色い花が
咲いてるのが目にとまりました。
ハナノナで調べてみたところ
「イエローベル」とか
「キケマン属」とかいうふうに
かわるがわる表示されて
はっきりしません。
(ハナノナあるあるw)
そこで帰宅後
検索してみたんですが
明らかに違います。
続いてキケマン属を調べ始め
試行錯誤の末
「キケマン 園芸」
という検索語を試してみたら
ぴったりの写真がヒットして
黄華鬘[キケマン]だと
当たりがついた次第です。
筒状花の先に
茶褐色の斑[ふ]があるのが
決め手となりました。
「キケマン」とカタカナで書くと
何のことやら意味が分かりませんが
(漢字で書かれても分からないけどw)
華鬘というのは仏具の名前で
千葉県立中央博物館の
「教室博日記」の記事によれば
その仏具に似ている華鬘草に似ていて
黄色いことから名付けられた
とのことです。
ただし
華鬘草の花の形と
黄華鬘の花の形は
前者を Wikipedia で確認したところ
ほとんど似ておりません。( ̄▽ ̄)
黄華鬘の花は
仏具の華鬘とも似ていないし
どうしてこう名付けられたものやら。
茎が赤い点や
葉っぱの形などは
あるいは似ていると
いえなくもなく
もしかしたら
花の形ではなくて
茎や葉の特徴に基づき
名付けられたものかもしれません。
黄華鬘は日本在来種で
どうやら英名はないらしく
学名 Corydalis heterocarpa
の後に var. Japonica とつきます。
Corydalis はキケマン属を意味し
「季節の花300」
というサイトによれば
雲雀[ひばり]が語源なのだとか。
ラテン語の属名を
そのままカタカナ読みして
「コリダリス」の名前でも
流通しているようで
もしかしたらこれが
英名でもあるかもしれません。
種小名の heterocarpa は
様々なサイトの説明をまとめると
「異なる果実(種子)の」
という意味だと思われます。
ですから
Corydalis heterocarpa は
「果実の形が異なるキケマン属」
という意味になるんでしょうかね。
var. は
変種名を示す言葉なので
「日本の変種」
ということになりましょうか。
こんな珍しい花は
園芸種だろうと思って
「キケマン 園芸」
という検索語で調べたんですが
上にも書いた通り
写真をよくよく見ると
どうも庭とか植栽スペースとかに
見えない感じがします。
黄華鬘の種には
エライオソームがついており
これを嗜好する蟻を使って
種を運ばせる性質を持つので
あるいはどこかから
蟻が種を運んできたのかも。
以前、当ブログで
有明菫を紹介した際
コンクリートの割れ目から
咲いていたのも
菫の種についている
エライオソームによって
運ばれた結果ではないか
と推察してみましたが
それと同じ類ですね。
上にリンクを張った
「教室博日記」に
まるで天使の羽のような
エライオソームの写真が
載ってますけど
確かに自然の造形の妙を
感じさせるくらい美しく
必見です。
そんな美しいエライオソームを
種につけるにも関わらず
黄華鬘は
葉っぱや茎を傷つけると
悪臭を放つ毒草だそうです。
「山菜図鑑」
というサイトによれば
誤食した場合
嘔吐や体温低下、呼吸困難を
引き起こすのだとか。
そんな有毒植物が
小学校前に植えられてていいのか
と思っちゃいますね。
まあ、今時の小学生は
誤食することもないでしょうし
団地の垣根代わりに
夾竹桃が植えられている場合も
あるくらいですから
構わないのかしらん。( ̄▽ ̄)