前回の記事

ボニー&ショルの演奏が

耽美的であると書きましたけど

曲(楽章)によっては

古楽演奏らしい

シャキシャキしたところはあり

一概に耽美的と

いえないかもしれません。

 

また

物足りないとも書きましたが

それはあくまでも

《スターバト・マーテル》に

限っての話であることは

いっておかなくてはと思い

続いてカップリング曲について

書くことにします。

 

ルセ指揮《スターバト・マーテル》旧盤

 

ルセの旧盤には

バーバラ・ボニーがソロで歌う

《サルヴェ・レジナ》イ短調と

アンドレアス・ショルのソロ

《サルヴェ・レジナ》ヘ短調が

併録されています。

 

どちらもペルゴレージ作曲で

つまり

ペルゴレージ尽くしの1枚

というわけですけど

ボニーもショルも

世界的な名声を

築いているだけあって

いずれも聴き応えは

充分にあります。

 

 

ショルが歌う方は

もともとソプラノ用ですが

当時はアルト用も

普及していたそうで

その意味では珍しい録音

といえるかもしれません。

 

自分はソプラノ用の歌唱を

聴いたことがありますけど

あまりピンときてなくて

実をいえば

ショルのソロで聴いても

その印象は変わりませんでした。

 

一方、ボニーの歌う

《サルヴェ・レジナ》は

録音される機会が少ない

珍しい曲のようですけど

ボニーの声も与っているのか

曲としてはこちらの方が

好みかもしれません。

 

 

ボニーの歌う方は

ロバート・キングが準備した版を

使用していると

ライナーに書いてあります。

(執筆は関根敏子)

 

当のロバート・キングが誰なのか

どこにも説明されていないので

検索して調べちゃいましたが

イギリスの古楽演奏団体

キングズ・コンソート

指揮者でしょうね。

 

当ブログでは以前

彼らが演奏している

ヴィヴァルディ宗教声楽曲集

紹介したことがあります。

 

それもあって

キングズ・コンソートで

ペルゴレージ宗教声楽曲集を

計画していたのなら

ちょっと聴いてみたいかも

とか思ったり。( ̄▽ ̄)

 

ルセ指揮《スターバト・マーテル》新盤

 

ついでながら

ピオー&ロウリーが演奏する

新盤の方のカップリングは

ニコラ・ポルポラ作曲

《サルヴェ・レジーナ》

(ピオーの独唱)と

レオナルド・レーオ作曲の

《ベアトゥス・ヴィル》

(ロウリーの独唱)でした。

 

ポルポラもレーオも

ナポリ楽派と目されていて

つまり新盤の方は

ナポリ楽派の音楽世界を

伝えようとしているわけです。

 

 

以前、聴いた時は

どちらもピンとこなくて

今回、聴き直してみても

ポルポラの方はオペラ味が強く

いかにピオーの独唱とはいえ

今ひとつ乗れませんでした。

 

一方のレーオの曲は

今回、聴き直してみると

ペルゴレージの

《奥様になった女中》を

連想させるような曲想を

感じさせるようなところがあって

ちょっと驚いた次第です。

 

新盤を聴いた頃は

《奥様になった女中》を

聴いていなかったため

似ていることに気づいて

面白がれるはずもなく

これは聴き直して

ちょっと得した感じです。

 

 

レオナルド・レーオ

(レオとも)は

以前、当ブログで

ロリン・マゼール指揮の

《スターバト・マーテル》を紹介した際

ちょっと名前が出てきました。

 

同盤のライナーに

ペルゴレージは

《スターバト・マーテル》の

第12曲を書き上げられず

ペルゴレージの死後

レオナルド・レーオによって

書き上げられたと

記されていたのでした。

 

この記述については

いまだに他の資料によって

確認できていないので

真偽のほどは不詳です。

 

 

なお、レーオに関しては

ペルゴレージは彼の弟子だった

という記述も見受けられます。

(たとえばHMVオンライン掲載の

 ソニーBMGによるCD紹介文

 

ところが

ルセ新盤のライナーに文章を寄せた

ディンコ・ファブリスによれば

ペルゴレージは

レオナルド・ヴィンチ門下

とのことでして

記述に齟齬があります。

 

この場合は

イタリア人でもあり

音楽学の専門家である

ファブリスの記述に

信をおくべきでしょうか。

 

 

ちなみに

手元にある旧盤は

どこで買ったのか

記憶が曖昧なんですけど

なんとライナーと

CDのレーベル面に

サインが入っています。

 

ルセ指揮《スターバト・マーテル》旧盤のサイン

 

ライナーに書かれた方は

字面の感じから

バーバラ・ボニーの可能性も

あるかと思いますけど

レーベル面の方が

ちょっと判別するのが難しい。

 

常識的に考えて

本盤の演奏者の

誰かなんでしょうけど

どうも字面からは

判断しかねます。

 

汚レコードならぬ

汚CDというわけですが

うーん。