少し前に
クリストファー・ホグウッド指揮で
エンシェント室内管弦楽団が演奏し
エマ・カークビーが
ソプラノ・パートを歌う
取り上げました。
その記事を書いているうちに
思い出したんですが
そのCDを購入したのは
カークビーがソプラノ・パートを歌う
ヨハン・セバスティアン・バッハの
詩篇 第51番に基づくモテット
《消し去りたまえ、いと高きものよ、
わが罪を》BWV1083 を収めた盤を
購入したことがきっかけでした。
バッハの同曲は
ペルゴレージの《スターバト・マーテル》を
バッハが晩年に編曲したもので
バッハの編曲を聴くのなら
その前に原曲を聴くのが筋だろうと思い
どうせ聴くなら同じカークビーでと
考えたわけです。
《消し去りたまえ、いと高きものよ、わが罪を》は
1998年にBWVが付けられたばかり。
その後、何枚か
録音が出たようですが
カークビーが参加したのは
カナダ出身のカウンターテナー
ダニエル・テイラーとの共演盤です。
(瑞 BIS Records: BIS-SACD-1546、2009)
SACD は Super Audio CD の略。
ケースの右下に貼られている
☆印のシールは
中古で買ったお店の方で
管理用に(?)付けたものです。
録音は2006年2月で
他のカップリング曲(後述)は
2005年2月。
器楽演奏は
シアター・オブ・アーリー・ミュージック。
本盤は基本的にテイラーがメインで
バッハのモテットの他に
ヴィヴァルディの
《スターバト・マーテル》RV621と
ペルゴレージの《サルヴェ・レジナ》へ短調
(ソプラノのためのハ短調と同曲)を
テイラーのソロで収録。
さらにヴィヴァルディの
弦楽と通奏低音のための協奏曲 変ホ長調
〈聖なる墓にて〉RV130 を
冒頭に置いています。
最初は
ペルゴレージの《スターバト・マーテル》と
バッハの編曲をカップリングした盤
というふうに誤解していて
届いてから
そうでないことに
気づいたという。(^^;ゞ
そういうこともあって
ペルゴレージの《スターバト・マーテル》を
カークビーが歌っているのも
あったことを思い出し
それを手に入れると
カークビーがメインの
擬似カップリング盤が作れちゃう
とか思って購入したのが
ホグウッド盤なのでした。
そのカークビー&ボウマン盤を聴いて
《スターバト・マーテル》に
開眼したわけですから
結果オーライということで。( ̄▽ ̄)
モテット《消し去りたまえ、
いと高きものよ、わが罪を》の
本盤における編成は
ヴァイオリン2、ヴィオラ1
チェロ1、コントラバス1
リュート1、オルガン1で
ヴァイオリンがさらに2挺少なく
これこそ極小編成ということに
なりそうです。
ちなみに
ヴィヴァルディとペルゴレージの
声楽曲の方も同じ編成で
ヴィヴァルディの協奏曲は
もう少し多いのかもしれませんが
聴いた限りでは同じかと。
極小編成に加え
録音のロケーションが良かったり
サウンド・エンジニアの
腕が良かったりするからなのか
カウンターテナーの声が
細部まで綺麗に聴こえますし
響きも美しいですね。
夜、イヤホンで聴くと
しみじみとした気分に浸れます。
もちろん
カークビーの歌声も
たいへん美しい。
バッハの編曲は
歌詞がドイツ語ですけど
(ペルゴレージの原曲はラテン語)
確かに曲はペルゴレージでありながら
旋律が微妙に異なるところがあって
興味は尽きません。
第6曲(原曲の第5曲の後半)は
ペルゴレージだと
テンポがいいんですけど
バッハは優美に処理していたり。
第14曲(原曲の第12曲の後半)は
アーメンだけなんですが
バッハはダ・カーポにしており
(同じ旋律を2回繰り返してます)
これがいちばんの驚きでした。
音楽的構造の詳しい解説は
参照してください。
歌詞の対訳と
ペルゴレージの構成との
対照表もついていて
たいへん便利かつ
勉強になります。
ところで
テイラーにはもう1枚
バッハの詩篇 第51番を
録ったCDがあります。
長くなりましたので
そちらについては次回にでも。