(キングインターナショナル
KKCC-9060、1995.12.6)
カウンターテナーの
ルネ・ヤーコプスが
指揮と歌唱も務める1枚。
古楽系の演奏による
《スターバト・マーテル》として
かつては決定盤と目されていました。
(今でもそうかもしれません)
器楽演奏は
コンチェルト・ヴォカーレで
録音は1983年4月です。
以前ご案内した
同じ楽器編成で
ボーイ・ソプラノの
セバスティアン・ヘニッヒが
ソプラノ・パートを歌っています。
ボーイ・ソプラノということもあって
天上的な響きの再現だと
絶賛されているわけです。
磯山 雅は
『バロック音楽名曲鑑賞事典』(2007)で
「演奏は、小ぶりでも、作品の純粋さを
大切にしたものを採りたい」といい
「それにぴったり」だとして
本盤をあげています。
ただ、個人的には
ボーイ・ソプラノが
確かに達者とはいえ
無理をしているような印象を
受けなくもありません。
それにテンポが
ややゆっくりめで
楽器の響きが薄いようなあたりも
ヴォイセズ・オブ・ミュージックや
シュトゥッツマン指揮
オルフェオ55の演奏などを
聴いたあとだと
ちょっと物足りない。
なんだか田舎の小さな教会での
素朴かつ訥々とした演奏を
聴いているような感じ
とでもいいますか。
オペラティックさが抑制されてて
その点はいいと思いますけど
本盤を聴いただけだと
最近の自分のようには
《スターバト・マーテル》に
ハマっていなかったかもしれない
というのが正直な感想です。
ちなみに
ボーイ・ソプラノのヘニッヒは
アーノンクールとレオンハルトの
バッハ教会カンタータ全集にも参加している
ハノーヴァー(ハノーファーとも)
少年合唱団のメンバーだそうです。
今回検索してみて知ったんですが
ハノーヴァー少年合唱団として
ヒリヤード・アンサンブルや
トン・コープマンとも共演しており
少し前の古楽系のCDでは
お馴染みの存在だったようですね。
ヤーコプスによって起用されたのも
そこらへんのつながりから
かもしれません。