先に取り上げた

ペーター・コップ盤以外に

ロベルタ・インヴェルニッツィ
サラ・ミンガルド
両人が参加しているヴィヴァルディ盤が
手許にもう1枚(2枚1組)あります。

ヴィヴァルディ:聖母被昇天祭のための晩課
(仏 Naïve: OP-30383、2003)

 

全部同じデザインですが

写真左がボックス(紙ケース)

写真右が本体のプラケースで

写真下がライナー(ブックレット)です。

ヴィヴァルディの協奏曲や声楽曲を集めて

先唱句としてのイントナティオや

アンティフォナを配し
聖母被昇天の祝日のための晩課を

再構成したもの。

再構成者は
フレデリック・ドゥラメアと
リナルド・アレッサンドリーニ。

演奏は
アレッサンドリーニが指揮する
合唱と器楽のアンサンブル
コンチェルト・イタリアーノで
それにインヴェルニッツィや
ミンガルドなどのゲスト奏者が
ソロで加わっています。


こちらでも
《ディクシット・ドミヌス》が
演奏されていますけど
これまで紹介してきたのとは別の
残りの1曲、RV.594です。

オルガンのイントロが印象的なこの曲は
合唱と合奏をそれぞれ2群用いて
演奏されます。

今まで紹介してきたディスクで
演奏されていなかったのは
そのように規模が大きいため
カップリング曲とのバランスを
考えてのことでしょう。

ここでのアレッサンドリーニの演奏は
速い楽章とゆっくりな楽章との
メリハリをくっきり付けている感じで
緩徐楽章になると
海の波がたゆたうような
鷹揚で雄渾な印象を受けます。

個人的には
もうちょっと
エッジを効かせた演奏の方が
好みですけど
これはこれでありかも。


《ディクシット・ドミヌス》の導入歌として
《喜ばしき聖母よ、昇天したまえ》RV635 も
インヴェルニッツィのソロで
収められています。

ライナーには
「アンティフォナの代わりに」
In loco Antifona とありますけど
晩課では本来、導入歌は歌われない
ということなのかどうか
式次第に詳しくないので
よく分かりません。


その他の声楽曲は
《主よ、私をお助けください》RV593
《主の僕たちよ、誉めたたえよ》RV600
《私は喜んだ》RV607
《主が家を建てられるのでなければ》RV608
《エルサレムよ、主をほめたたえよ》RV609
《マニフィカト》RV610a
《サルヴェ・レジナ》RV616 です。

ミンガルドのソロで収められている
《主が家を建てられるのでなければ》は
当ブログで紹介したコルボ盤のように
最近では《ニシ・ドミヌス》と
ラテン語読みのまま表記されることが
多いかもしれませんね。

ミンガルドは緩徐楽章では
嫋々と歌い上げており
好き嫌いが分かれそうですが
自分はどちらかといえば
好みではないかもなー。( ̄▽ ̄)


そうはいうものの
声楽曲はどれも聴きごたえがあり
中でも《マニフィカト》が絶品でした。

《マニフィカト》RV610 は今日
3バージョン残ってますが
ここで演奏されている
番号の後に「a」と付くものは
合唱群と合奏群がふたつのバージョン。


他には
《ラウダ・イェルサレム》RV609 が
合唱群と合奏群がそれぞれ2群、
さらにソリスト(ソプラノ)も2人立てて
演奏されています。

これは疾走感があって好み。

ソロ(コントラルト)と
ふたつの合唱群による
《サルヴェ・レジナ》RV616 は
ミンガルドのソロが
上にも書いたような理由で
今イチ好みではないかなあ。


器楽曲で収録されているのは
二重協奏曲 ヘ長調 RV584 と
二重協奏曲 ハ長調
〈聖母被昇天の祝日のために〉RV581
という2曲。

ここでは
二重協奏曲と表記しましたが
それぞれ、独奏楽器と
二群のオーケストラによって
演奏される曲です。

RV584は
独奏楽器である
ヴァイオリンとオルガンも
ふたつずつ使用する作りですけど
独奏パートが不完全だそうで
アレッサンドリーニによって
補筆されたものが
演奏されているという点では

貴重といえましょうか。


なお、本盤も
《スターバト・マーテル》ミンガルト盤同様
ティツィアーノ・スカルパの小説
『スターバト・マーテル』(2008)の
「著者ノート」であげられている
「自分の好みのヴィヴァルディの録音リスト」に
リスト・アップされていることを
付け加えておきます。
 

 

 

●追記(翌日19:10ごろの)

 

記事タイトルが

「ヴィヴァルディ:聖母被昇天の…」

となっていた後半部分を

カギカッコで括る形に変更しました。

 

次にアップする記事と

揃えるためです。