先日、原稿仕事その他が一段落ついて

久しぶりにヴィヴァルディの

宗教音楽を聴きました。

 

以前、こちらでも

何枚か取り上げたことのありますが

現在は Naïve からリリースされている

ヴィヴァルディ・エディションは

もともとは Opus111 というレーベルから

リリースされていました。

 

CDの整理番号がOPから始まるのが

その名残りなわけです。

 

そのヴィヴァルディ・エディションの

OPUS111 版のシリーズ名は

Collezione Vivaldi といい

その内の宗教音楽シリーズ最初の1枚

Musica Sacra vol.1 が

以下の盤になります。

 

ミンガルト『スターバト・マーテル』旧盤(外箱)

(仏 Opus111: OPS 30-261、2000)

 

録音は1999年4月。

 

演奏は

リナルド・アレッサンドリーニ指揮

コンチェルト・イタリアーノで

声楽曲はコントラルトの

サラ・ミンガルトが歌っています。

 

 

上掲の写真は外箱(ケース)ですが

本盤はその後、Naïve から

おそらくは同じく外箱に

女性の上半身をあしらった

オシャレなデザインに替えて

2002年に再リリースされています。

 

Naïve 盤は

コレクター心をくすぐる

統一されたデザインでもあるので

探していたんですけど

なかなか見つからない。

 

Amazon で見つけても高額で

とても手が出ないでいたところ

あるとき池袋の

ディスクユニオンで見つけたのが

Opus111 盤(旧盤)でした。

 

最初、何だろうと思ったんですけど

探していた Naïve 盤に

スターバト・マーテル RV.621 が

入っていたことを思い出して

もしかしたらと思い

購入したのでした。

 

そしたらまさに

探していた Naïve 盤と

同じものだったわけです。

 

 

収録されているのは

上のスターバト・マーテル ヘ短調 RV.621 と

モテット《明るい星々》RV.625 という

アルトのための声楽曲がふたつ。

 

そして

協奏曲 ハ長調

《聖ロレンツォの祝日のために》RV.556

協奏曲 ハ長調 RV.554a

協奏曲 変ロ長調《葬送》RV.579

4声のソナタ 変ホ長調

《聖なる墓にて》RV.130

といった4つの器楽曲が

同時収録されています。

 

なお、最後の4声のソナタ

《聖なる墓にて》は

盤によっては協奏曲と

表記されている場合もあります。

(ピノックの盤がそうだったかな)

 

 

スターバト・マーテルは

グローリア RV.589 と並んで録音の多い

ヴィヴァルディ宗教声楽曲の代表作で

アルト(コントラルト)ないし

カウンターテナーの

重要なレパートリーのひとつとなってます。

 

グローリアに比べると地味な曲なので

個人的には今イチと思っていたんですけど

ミンガルドの歌は

嫋々とした雰囲気があって

初めて「いいなあ」と思いました。

 

コンチェルト・イタリアーノの

サポートも、いいんでしょう。

 

 

器楽曲は

実に最近のヴィヴァルディらしい

颯爽とした演奏です。

 

面白いのは

協奏曲 ハ長調 RV.554a で

チェンバロが加わる通奏低音の他に

オブリガート(必須)のオルガン・パートが

演奏に加わっていること。

 

ヴァイオリンとチェロ、オルガンの

三重協奏曲のようにも聴こえて

ちょっと新鮮でした。

 

 

指揮のアレッサンドリーニは鍵盤奏者で

チェンバロやオルガンを弾きながら

指揮棒を振ってるようですけど

RV.554 とモテットでは

サルヴァトーレ・カルキオーロという人が

オルガンを演奏しているようです。

 

そう、モテットでは

オルガンも加わっているわけで

レチタティーヴォはオルガンと

チェロのみの伴奏なのが

聴いててよく分かります。

 

モテットでは

チェンバロも聴こえるようなので

楽章によって使い分けているか

併用しているのかもしれません。

 

音の固まりになると

どうも聴き分けるのが難しくて

こうやって説明しようとするとき

難儀なのが困りものですね。

 

そんなことは無視して楽しめばいい

というのは分かってるんですが。(^^ゞ

 

 

変ロ長調の協奏曲では

シャリュモーと

ヴィオール・アッリングレーゼ

(英国風のヴィオール)

という楽器が使用されています。

 

シャリュモーは

クラリネットの前身にあたる楽器で

ヴィオール・アッリングレーゼ

というのは、最近の研究だと

ヴィオラ・ダ・ガンバ

(=バス・ヴィオール)らしい。

 

わざわざ「英国風の」と付けたのは

イギリスがヴィオール・コンソートの

本場だったからでしょうか。

 

今年、邦訳された

イーアン・ベアーズの歴史ミステリ

『指差す標識の事例』(1997)は

チャールズ2世統治下の

17世紀のイギリスを舞台としていて

登場人物がヴィオール合奏をたしなむ

というシーンが出てきており

「おおっ」と驚いたことが思い出されます。

 

 

なお、本盤には

Opus111 レーベルが展開していた

Tesori del Piemonte(ピエモンテの宝)

というシリーズが

10年で50種類

リリースしたことを記念して

同シリーズについての

解説小冊子が添付されています。

 

ミンガルト『スターバト・マーテル』旧盤+小冊子

(上掲写真右が解説小冊子、

 左が本体プラケース)

 

ヴィヴァルディ・エディションは

〈ピエモンテの宝〉シリーズの

一環でもあったわけで

そのシリーズもおそらくそのまま

Naïve が引き継いだものと思われます。

 

思われます、と書いたのは

ヴィヴァルディ・エディションしか

購入していないので

〈ピエモンテの宝〉シリーズの

他のCDについては、よく

分からないのでした。(^^ゞ

 

でも、こういう小冊子があると

シリーズを始めたころの

空気がうかがえて

ありがたいし

資料としても貴重で

後追いの人間には助かります。

 

 

ところで

本盤があれば

Naïve 盤はいらないか

といえば、そうでもなく

そういうところが

コレクター心をそそる商品の

困ったところでして。

 

いつか納得できる値段で

見つけることを期待している

今日この頃なのでした。( ̄▽ ̄)