(キングインターナショナル
AMOE-10014、2009.12.10)
Anthonello MODE という
レーベルの1枚で
製造は KOSSACK
発売はオフィスENZO
キングインターナショナルは
販売元になります。
アントネッロ・モードというのは
西山もメンバーの一人である
古楽アンサンブル、アントネッロの
自主レーベルです。
西山まりえはチェンバロと
バロック・ハープの奏者として知られ
アントネッロとしてはもちろん
ソロCDも、すでに何枚も出していますが
こちらのスカルラッティのソナタ集は
ソロの2枚目ぐらいにあたる
かなり初期の盤ではなかったかと思います。
水永牧子のスカルラッティを聴いて
さて、一般的な演奏といえば何かな
と思っていたことでもあり
とりあえず聴いてみたところ
これはこれでかなり個性的な盤でした。
というのもトラック1の
ソナタ ホ長調 K.380 が
かなりゆっくりめのスピードで
演奏されていたからです。
指定されているテンポは
アンダンテ・コモド Andante Comodo
意味は「快適に歩くような速さで」
となるかと思いますが
どうしてどうして
ゆっくりと妖しげに歩いている感じ。( ̄▽ ̄)
本曲を皮切りに
おおむね、ゆっくりめに
演奏されている感じがしますけど
これはもちろん意図的なのでしょう。
西山自身の執筆になる解説は
「『間』は『魔』」というタイトルで
ルセロ・テナという
「カスタネットの女王」の演奏にふれながら
次のように書いています。
叩く音(または撥弦)の間合いこそ、霊気の高まる瞬間のようです。音と音の間にマジックがあり、だからこそまるで歌えるカスタネットなのです。彼女のようにしびれるようなイカすリズム感とはどうやらこの音と音の間合いの魔術のようです。
というわけで曲によっては
独特の間合いが取られ
ささやかな数ではありますが
それまで自分が聴いてきた演奏と
違う印象を受けるのでしょう。
K.264 なんかがそうだし
K.208 の間合いも
独特のような気がします。
速い曲、例えば K. 239 なんかは
こちらのイメージ通り
速いんですけどね。
上で、イメージ通りとかいってますけど
これに拠って鑑みるに
古楽の演奏は速い
という認識のバイアスが
当方にかかっているのかも知れません。
そういうことも念のため
頭に入れておかないと。
ちなみに使用楽器は
先日の深大寺コンサートで
水永牧子が弾いていたのと同じ
タスカンのコピーです。
タスカンのチェンバロについては
こちら↓の記述が詳しかったですけど
http://www.wa.commufa.jp/cembalo/production/french02.html
フォルテピアノの利点を
取り入れようとした楽器
という説明が興味深く
製造時期や構造的特徴からして
スカルラッティにぴったりなのかも
とか思ったりしたことでした。
ちなみに説明の中にある
「ブロンシェ工房」は
「ブランシェ」と同じかと思います。
なお、こちらのCDは
先日、渋谷のレコファンで
見つけたのですが
帰宅してから気になって
おそるおそるCDの棚を見てみたら
う〜ん、やっぱり持ってました。Orz
本盤は後にジャケ写を変えて(?)
OMFから再リリースされているみたいで
そちらとダブったんなら
まだしもだったんですけど。
上掲写真でも分かる通り
変わったジャケットデザインなんだから
覚えてても良さそうなもんなのに。(´・ω・`)