調布国際音楽祭2019のコンサート

深大寺に響くオーボエとチェンバロ」の

物販コーナーにあった水永牧子のCD、

持ってるからと思って買わなかった

もう1枚がこちら↓です。

 

水永牧子『D・スカルラッティ・ソナタ集』

(アントレ編集部 EBM-201007、2002.3.25)

 

同じコンサートの会場で購入した

三宮正満の『ヴィルトゥオーソ・オーボエ』と同じ

「アントレ古楽コレクションズ」の1枚で

こちらは第6巻にあたると同時に

水永さんのソロ・デビュー盤になります。

 

アントレ編集部というのは

古楽専門誌『アントレ』を出してるところで

以前はよく、タワレコなんかで見かけて

買ったものですけど

最近は初心を忘れてしまい

とんとご無沙汰している始末。(^^ゞ

 

 

こちらは今回が初聴ではなく

一度、通しで聴いています。

 

でもドメニコ・スカルラッティに

あまり思い入れがないため

一度、聴いて、そのままだったんですけど

今回のコンサートで弾いた曲が

収録されていることでもあり

改めて聴き直してみました。

 

 

水永さんは本盤の録音に先がけて

555曲あるソナタを弾き通してから

14曲をセレクトしたものだそうで

水永さんにとってはそれくらい

スカルラッティは

お気に入りの作曲家のようです。

 

だから先日のコンサートでも

スカルラッティを2曲

加えたわけでしょうか。

 

 

スカルラッティは

バッハやヘンデルと同年生まれですけど

古楽好きを除けば

3人の中では一般的知名度が

最も低いかもしれませんね。

 

ライナーに解説を寄せている藤原一弘は

スカルラッティの音楽を聴くことが好きだと

公言する人が少ないといい

その理由のひとつとして

「技巧的な音楽に対する軽視、蔑視」が

あるからではないかと書いています。

 

 

それもあるんでしょうけど、自分が思うに

チェンバロ・ソナタだけでも

555曲もあるとなれば

全部聴き通すのはしんどいし

選集で聴く場合

誰の演奏で聴けばいいのか迷ってしまう

というのも理由のひとつではないでしょうかね。

 

バッハの場合でいえば

200曲以上あるカンタータを

すべて聴くのはしんどい

というような感じと同じかもしれません。

 

よく知られているのは

スコット・ロスの全曲録音盤で

自分もそれを通しで聴いて以来

もういいか、という気がして

他の録音にはあまり手が伸びない

というのが正直なところです。

 

だから水永さんの本盤も

一度、聴いたきりで

放っといたわけで。(^^ゞ

 

 

深大寺のコンサートのあとに聴くと

また感慨も格別なものですが

演奏は正統的というか

先にご紹介のゴルトベルク変奏曲ほど

攻めの姿勢ではないと思います。

 

もっともスカルラッティの曲自体

上にも書いたことから察せられる通り

あまり聴かないので

正統的であるかないか

判断がつけられるはずもないというのが

正直なところですけれど。

 

もっとも今、書いている最中に

たまたまかかっている

K. 330 の演奏に聴かれる間の取り方なんかは

ゴルトベルク変奏曲の演奏に共通するものを

感じたりもしたんですけど

これはスカルラッティの演奏だと

正統的なのかもしれないし。

 

 

ちなみに作品番号の頭に付いているKは

チェンバロ奏者で

スカルラッティの研究者でもある

ラルフ・カークパトリックの

ハウスネームの頭文字に由来します。

 

カークパトリックは

大部のスカルラッティ伝を書いており

長らく品切状態が続いてましたが

最近、新訳が出て

びっくりしたことでした。

 

 

本盤の使用楽器は

マルティン・スコブロネック制作の

イタリアンに基づくコピーです。

 

タスカンのような

はなやかな響きではありませんが

いわゆるチェンバロの響きとしては

自分がイメージするものに

近いかもしれません。

 

スコブロネックの制作した楽器は

グスタフ・レオンハルトも使ってましたから

レオンハルトの演奏で古楽にめざめた人間の耳に

馴染んでるだけかもしれませんけど。

 

 

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