昨日は
東京カテドラル
聖マリア大聖堂で開かれた
ハインリッヒ・シュッツ合唱団・東京
創立50周年記念演奏会 その2
「受難曲の夕べ」に
行ってきました。
河合塾の採点業務で
ご一緒している方から
会議の席で上のフライヤーをもらい
合唱団のメンバーとして
歌われると知り
その場でチケットを
お願いしたのでした。
なんといっても
バロック音楽ファンなら
知らぬ者はない(はずの)
シュッツですからね。
シュッツの演奏を
生で聴くのは初めてだったので
わくわくものでした。
当日は
地下鉄の江戸川橋駅から
まずは場所を確認しようと
会場に向かいました。
下の写真が
聖マリア大聖堂の
正面からの外観です。
入口は右脇にありました。
18:30開場
19:00開演。
少し早めに着いたので
近所にあると案内板で知った
佐藤春夫旧邸をチラ見して
どこか食事をするところはないかなあ
と思って歩いていたら
古本屋を発見。
知らない古本屋を見つけたら
入ってみずにはいられない
質[たち]ゆえに
結局、食事はあきらめて
開演時間近くまで
古本屋の棚を見てました。(^^ゞ
古本屋から戻ったら
やっぱり河合塾で
ご一緒している方と遭遇。
その方の座っていた
舞台向って下手側の
真ん中の列のあたりに着席。
当日のセット・リストは以下の通り。
H・シュッツ《カンツィオーネス・サクレ》より
受難モテット
聖アウグスティヌスの瞑想 第一〜三部(指揮:淡野弓子)
01.ご覧下さい、御父よ、敬虔の極みなる御子を SWV 73
02.わが主よ、その方は罪もなく苦しみを SWV 74
03.わが主なる神代、向けてください、御眼差しを SWV 75
*
J・S・バッハ《オルガン小曲集》より
受難節のオルガン・コラール(コラール唱付)
04.おお、罪なき神の仔羊よ BWV 618
05.キリスト、なんじ神の仔羊よ BWV 619
06.キリスト、我らを祝福したもう方 BWV 620
07.イエスは十字架につけられ BWV 621
08.おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆くべし BWV 622
09.我ら汝に感謝す、主イエス・キリストよ BWV 623
10.神よ、我を助け、成し遂げさせたまえ BWV 624
*
11.H・シュッツ《マタイ受難曲》SWV 479
上の写真は上手側から。
説教壇に上る階段に
合唱団の方々が位置します。
オルガンは信徒席の背後にあります。
こちらの写真は下手側から。
19:00から19:40まで
カンツィオーネス・サクレ
(「聖歌集」という意味です)と
オルガン・コラールを
続けて演奏。
そのあと15分の休憩をはさんで
マタイ受難曲の演奏があり
終了したのは21:00ごろでした。
シュッツの演奏は無伴奏
すなわちアカペラで
バッハのときには
オルガンの演奏がありました。
《オルガン小曲集》というのは
ドイツ語による讃美歌である
コラールの旋律を基にした
オルガン曲集です。
コラールの旋律を
ソプラノの声部が担い
それに残りの3声部が加わって
1曲が作られています。
1曲が2〜3分くらいなのと
コラールに親しみがなければ
親近感がわかない
ということもあってか
よく知られていないと思いますが
人によっては
バッハのオルガン音楽の真髄である
というくらいの曲集なのでした。
今回は、基本的に
まずコラールが
独唱ないし合唱で歌われ
その後でそのコラールに基づく
オルガン小曲が演奏される
というスタイルで進みました。
曲によっては
オルガン伴奏付きで
コラールが合唱されましたし
最後の1曲のみ
オルガン曲が先だったかと
記憶します。
オルガン演奏は椎名雄一郎。
帰宅してから検索してみたところ
こちらのオルガンは
イタリアのマショーニが
2004年に製造・復活させたもので
検索してて思い出したんですけど
その復活までを描いたドキュメンタリー
以前こちらでも紹介してました。
行く前に気づけよ、自分
という感じで。f^_^;
気づいてたら
それなりに感慨にも
ふけることができたでしょうに( ´(ェ)`)
で、シュッツの演奏ですが
自分がシュッツの名前を知ったのは
例によって皆川達夫の
読んでからのことです。
そこで薦められていた
マルティン・フレーミヒ指揮
ドレスデン聖十字架[クロイツ]教会合唱団の
『ヨハネ受難曲』は
本が出た当時
CD化されてなかったんですけど
その後、CDが出たので
さっそく聴いてみたところ
これが大感動。
それで一時期
皆川達夫の、他のおススメ曲も含め
シュッツのCDを
買いあさったことがあるんですが
フレーミヒの『ヨハネ受難曲』以上に
感動する盤に出会うことは
なかったように記憶しています。
そのフレーミヒと
ドレスデン聖十字架合唱団は
シュッツの『マタイ受難曲』も
録音しています。
ウチにあるのは下のもの。
(徳間ジャパン コミュニケーションズ
TKCC-70029、1993.5.25)
こちらのCDはつい最近
立川のディスクユニオンで
手に入れたばかりでして
今回、予習代わりに
前日の夜、聴き直しました。
ところが上のCD
廉価版だからなのか
声楽曲なのに原詞もその訳も
いっさい封入されておらず
今回の開場でもらった
下掲のプログラム(総28ページ)で
初めて歌詞の内容を知った次第です。(^^ゞ
今回の演奏を視聴してびっくりしたのは
福音史家(淡野太郎)が
レチタティーヴォを唱するだけでなく
合唱パートの指揮も務めていたこと。
四重唱では
指揮をしながら
自分もテノールのパートを
歌っていました。
それがオーセンティックな
シュッツの演奏法なのか
メンバーが足りないから
兼任せざるを得ないのか
詳しいことは分かりません。
ただ、福音史家ですから
1時間近くの曲を
ほぼ通しで語り続けるわけで
それでも(当り前ですが)
最後まで声が乱れず
その八面六臂の活躍には
とにかく感心させられました。
イエスを演じた
浦野智行(バス)も
実に良かったです。
帰ってからパンフを見たら
バッハ・コレギウム・ジャパンの
メンバーだそうですね。
さもありなん。( ̄ー ̄)
そのイエスが弟子たちに
この中に裏切者がいると言ったとき
弟子たちが「私ですか」と聞く合唱の際
ユダを演じる奏者だけが
合唱に加わらず
信徒席に背中を向けて立っているという
CDでは分からない演出なども
興味深かったです。
他に印象的だった演出だと
十字架にかけられたイエスに向かって
奇蹟を起こすか見ていてやろう
と言うユダヤ人たちの合唱では
他の時とは違い、立たずに
座ったままで歌っていたのも
イエスへの侮蔑を示したものでしょうか、
なるほどなあ、という感じでした。
ユダが背を向けたり
座って合唱したりというのは
オーセンティックな演出なのか
オリジナルな演出なのか
気になるところです。
それにしても
聖マリア大聖堂の響きは最高で
合唱の歌い終わりの余韻は
実に美しかったです。
日本人演奏家のみだっただけに
恐縮ながら僭越ながら
いささか不安ではありましたが
その響きの良さとも相俟って
やっぱり感動しました。
あらためて
人間の声の素晴しさと
それを活かすシュッツの見事さに
感銘を受けた次第です。
ちなみに
アンコールはありませんでした。
また、教会での催し物だからなのか
物販などはありませんでした。
もちろんサイン会もなし。( ̄▽ ̄)
河合塾の採点で
ご一緒している方に
ご挨拶して
帰途につきました。
それにしても
着いたときには曇り空で
今にも降りそうでしたが
終わった頃には
割としっかり降っていたのは
参りました。
先日の
チェンバロ・リサイタルの時のように
極寒でなかったのが
不幸中の幸い
というところでしょうか。