前回
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン演奏
ヘンリー・パーセル作曲
歌劇《ディドーとエネアス》の
YouTube にアップされている
Mezzo TV の映像を
紹介しました。
その際
クリスティと
レザール・フロリサンの演奏は
以前ご紹介したCDの他に
確認できただけても2つある
と書きました。
そのひとつが
Mezzo TV 版だったわけですが
もうひとつは
こちら↓のDVD版となります。

(香 Naxos: 2.110709、2022.1.27)
収録は
2008年12月7、9日
パリ・オペラ=コミック座です。
以下、演出の内容に
やや詳しく、ふれてますので
未見の方は、ご注意ください。
ディドー役は
マレーナ・エルンマンで
メゾ・ソプラノ。
ベリンダ役はソプラノの
ユディト・ファン・ワンロイで
エネアス役
クリストファー・モルトマンは
バリトンです。
魔法使いの女は
メゾ・ソプラノの
ヒラリー・サマーズが務め
精霊と水夫は共に
バリトン歌手が務めています。
精霊の場合
その役として登場するのではなく
エネアスかディドーに仕える
男性従者? に憑依する
という登場の仕方でした。
器楽構成は
ヴァイオリン7
ヴィオラ2、チェロ2
ヴィオラ・ダ・ガンバ1
フルート(縦笛)2、オーボエ2
バスーン1、テオルボ1
クラヴサンないしオルガン各1と
オペラ座の演奏だけあって
弦の厚みが増しています。
第1ヴァイオリンはヒロ・クロサキで
木村美穂子も参加しています。
エンディング・テロップに
クラヴサンとオルガン
と出てましたけど
オルガンが使われている場面が
あったかどうか
観ている時は
気づきませんでした。
前回の Mezzo TV 版のように
バロック・ギターは
使用されていないようで
ちょっと残念。
本演奏の特徴は
筆写譜が失われた
プロローグの代わりに
テッド・ヒューズの
「エコーとナルキッソス」
T・S・エリオットの「荒地」
イェイツの「彼は天の衣を願う」
という3つの詩から
抜粋して組み合わせ
新しいプロローグを再構成し
付け足していること。
本編第2幕第2場の冒頭
ベリンダが歌うアリアの旋律を
フルート(縦笛)演奏をバックに
女優が舞台上で
一人芝居しながら朗読する
というだけですけど
なぜその組み合わせなのかは
観てみてもよく分かりません。
もうひとつ
本歌劇が最初
寄宿生の舞踊・音楽女学校で
初演されたという説に基づき
学齢前から中学生くらいまでの
50数名に及ぶ女の子たちが
冒頭の序曲(シンフォニー)や
踊りのシーンなどに
登場しているのも異色。
別に演技をするわけでもなく
群舞というほどのものでもなくて
舞台上を走り回っているだけ
という印象なんですけど(笑)
DVDの冒頭で楽屋風景が映され
はしゃいでいる子どもたちの映像は
さすがに可愛らしいものでした。
でも、魔法使いの女が
舞台上で煙草を
吸ったりする場面もあるので
子どもを出すのは
ちょっと引っかかるかなあ。
また
第2幕第1場で
魔女が嵐を起こそうと話すと
舞台上方に3人くらいの男性が
嵐雲のように、もつれてたり
第3幕の冒頭の
水夫たちが船の帆をあげる場面で
ロープを上り下りしてたりするなど
アクロバット演技者が活躍します。
嵐雲のようにもつれているのには
ウケたというか
苦笑を誘われました。( ̄▽ ̄)
こうした、いかにもな
スペクタクル的な演出には
ちょっと鼻白むところも
なくはありません。
あと
ディドーが死ぬ場面では
どうやって死ぬのか
具体的に見せているのも
鼻白みました。
合理的な演出かもしれませんが
そこは、パーセルの時代よりは
少し前になりますけど
シェイクスピア劇のように
観客の想像に任せても
良かったのではないか
と思いますね。
舞台監督・演出は
デボラ・ワーナーという人です。
英語版 Wikipedia を見てみると
シェイクスピアの演出も
多く手がけていますけど
今回の舞台のように
今風? な感じなんですかね。
英語版 Wikipedia のリストには
2008年の今回の公演も
載っていますが
それに先立って
2006年にウィーンで
《ディドーとエネアス》の演出を
手がけているようです。
2012年にも
パリのオペラ=コミック座で
再演してますから
ワーナー盤のパーセルは
当時は割と
人気があったのかもしれず。
なお
2006年のウィーン
そして2012年のパリでの再演でも
器楽演奏が
クリスティおよび
レザール・フロリサン
だったのかどうか
Wikipedia のリストからは
分からないのでした。
輸入盤DVDですが
日本語の字幕を
表示させることができます。
ですから
台詞(レチタティーヴォ)と
アリアの歌詞の意味が
いちいちパンフを繙かずとも
よく分かります。
(まあ、ライナーには
歌詞などは載ってませんけどw)
その意味では
ありがたいんですけど
器楽奏者たちが
オーケストラ・ピットの中におり
演奏自体を目で楽しめず
ステージ方式の演奏に
慣れていることもあって
ちょっと物足りない気も
しないではなく。
寄宿生女学校の演奏を
再現したものとばっかり
思いこんでいたこともあって
スペクタクル風かつ今風の演出に
やや期待はずれの感は否めない
というのが正直なところです。
なお
Blu-ray 盤の方は
国内流通盤仕様で
封入のライナーも
日本語訳が
付いているものだと
思います。
うちには Blu-ray の
プレイヤーがないので
DVDを買うしか
なかったんですが
DVDでも国内流通盤を
出してくれてもいいのに
とか思ったりしたのは
まあ、ここだけの話。( ̄▽ ̄)