前回、2025.9 猫の配膳ロボット修理(DCモータードライブICの交換)で一台目の報告をしました。今回、仲間ドクターから同じおもちゃの修理依頼があり 当初、依頼が一,二台目共に 仲間ドクターからの下請けで お客様とお会いしていませんでしたので
前回一台目品の再修理と勘違いしましたが 新たな別のお客さまとの事。(再修理では対応内容が全く異なりますので)
前回はこのICを中国より取り寄せたため約一か月を要しましたが 今回は手持ちICの交換で済みます。

今回はICの交換時の注意や壊れているIC内部の調査について触れました。
写真は前回写真も使用しました。前回2025.9のブログもお読みください。

今回の壊れていたICは前回と同じくモーター駆動2のICでした。
前回IC交換時 両方を同時に交換しないとモーターの動きに異常がありましたので 今回も壊れていない側も交換します。
写真では基板もかなり広く余裕がありそうに見えますが交換ICが一辺5mm程なので余裕がありません。
ICを二個交換するには8ピンのIC脚の半田を除去しなければなりませんが かなり注意をしないと基板パターンを不良にしてしまいます。良く失敗するのは半田鏝の鏝先の半田が酸化していたり 容量の小さい半田鏝で熱が伝わらず、長く当てすぎて銅箔が剥げてしまうことです。
これを防ぐには容量の大きな半田鏝と鏝先が半田で濡れている事が大切で出来るだけ短時間に作業する事です。
私は払い下げの古い電動半田吸い取り機を使用し 片側4ピンづつ しっかりと短時間で はんだを吸い取ります。ICの脚4ピンの片側を同時に加熱し縫い針の先等で軽くIC片側を浮かす力を加え基板面から4ピンを剥がします。 次に反対側の4ピンを同様に剥がしてICを外します。
外した後に半田吸い取り機で基板パターンの半田面を平らに均します。
ICを外したところを さらに残半田の盛り上がりの無いよう平らにするのはICの裏面が基板に密着させないとICの性能が発揮できない場合があるからです。多くのICはIC裏面からも基板に伝熱して放熱していますが これが出来ないとICの性能低下となります。ICの種類の中には裏に金属面が出ていて放熱させる物もありますので。

上の写真は新しくICを取り付ける方法です。
今回は基板全体を治具で水平に固定し 逆ピンセットでICを仮固定します。(逆ピンセットは握りを手でつまむと先が開き 離すと閉じるピンセットです)
逆ピンセットで仮固定していて各ICピンがピンラウンドの中央にくるように普通の先細ピンセットで調節し 角の1ピンのみ半田付け仮固定します。各パターンが合っているときは残りのピンも半田付けし仕上げをします。
回路の検討

今回使用したDCブラシモータードライブICは約5mm角の8ピンICで内部を略図で示すと上記のようになります。
Vdd max7.6v Iop2.5Aと比較的小容量の小型ICです。同サイズの8ピン形状でもドライブなしのMOS-FETのみや同じDCモータードライブICでも電流、電圧が全く違う物やほぼ同容量でもピンの位置が違う物等が多く、今回 同じピン位置のほぼ同容量のTC118Sであり中国取り寄せとなりました。
日本でもドライブICは多々ありますし ほぼ同定格のICも見られますがピンの位置が違い この違いを吸収して使用するには一度別基板にICを設置し その基板と現在の基板間を電線で接続させる必要があり基板代や配線代、手間が必要となります。
このICは内部で四個のMOSを使用し回路構成的にはHブリッジと呼ばれモーターは下図のように接続されています。

ここでモーターを廻すには対角線上のQ1,Q4 ないしはQ3,Q2のMOSをオンさせてモーターへの電流方向を変えて前進、後退、停止を行います。ICの入力端子2あるいは3に
2~5v程のパルス電圧を加えると自動的に対角線上のMOSがオンします。間違っても上下のMOSを同時にオンさせてはいけません。それは電源を短絡することになりますので。しかも内部の信号発生部では必ず両方の信号を停止させる期間をもうた信号を加え同時オンを防ぎます。今回壊れたICは原因は不明ですが Q4の抵抗値(入力オープンでの実測で約60Ω。正常は無限大)と異常で壊れていることが確認できました。
この状態で使用すると電流は前進回転時Q1➡モーター➡Q4となりモーターには左から右向きの電流が流れ前進方向に動きます。しかし、後退時はQ3➡モーター➡Q2と流れモーターには先と逆方向で後退回転となりますがQ3がオンした事で壊れているQ4のICを通り異常電流が流れ 電源を60Ωの抵抗で短絡した事となり大電流が流れICを短時間で発熱させモーターは正常回転できません。
基板から取り外したICをデジタルテスターで導通を測りますと約60Ωの抵抗値を示しました。
正常時は無限大を示します。
注意
- 動作中に手等 外力でロボットを停止しないでください。 ICに無理がかかり壊れる恐れがあります。
- 駆動用単四乾電池は寿命近くでは電圧が低くなりモーターの駆動にも無理がかかりますので動作が緩慢時は早く交換してください。
- 荷物が多かったり絨毯上などではモーターに無理がかかりドライバーICにも無理がかかりますので畳やフローリングなど良く動ける所で使用ください。
以上