(平塚くるりんおもちゃ病院)

Fおもちゃドクターからの依頼。卓上型扇風機の表示がおかしいとの事。
解体された現物を確認し 確かに一部のLEDが不点灯の様子(下図のA,H,Iか?)
最終の原因究明と修理まで到達できず 途中調査で終了となってしまいました。
卓上型扇風機で操作パネルは基板の大きさが40mm x 60mm程のタッチパネル方式。基板は絶縁されたプラスチック枠にセットされLEDは 8文字のスリット穴から光が出る方式です。

下記略図で説明します。
パネルの左右に アとイ 1カ所づつコイル状のタッチ金属コイルがあり、これはプラスチックを介して間接的に指の誘導で動作するタッチパネル極。 その上に数字の8をかたどったプラスチック枠内に0.6mmX0.3mm SMD LEDがセットされています。

LED本体は極めて小さい面実装型で基板パターンに半田付けされていて表からテスターのダイオードチェックモードで確認は出来そうです。それらの配置は下の図示のように 数字の8になっていて その各LEDと近接導体のコイル状金属を仮に青の長四角と赤い角で下記略図に示しました。
LEDの8表示が二つのブロックに分かれていて各々A-GとH-Nの二個所あり その右上にO,P,Qの三個のLEDが設けられています。Pは充電中に点灯する赤色LED。


         

 

扇風機の取説より

  • アの長押しで扇風機をオンオフします。扇風機をオンにした後 0.5秒毎のタッチで扇風機のオンオフと風量を四段階に切り替えます。ダブルタッチで扇風機をオンオフにします。 電源投入後 5秒間タッチしないと温度に切り替わり表示されます。
  • イを長押し 周囲のLED照明をオンオフします。LED照明をオンした後にもう一度タッチしLEDの明るさは四段階に調整。ダブルタッチで光色を四段階に調整。クールホワイト、ウォームおよびコールドホワイト、呼吸ライト(ゆっくりしたスローアップ、スローダウン)

預かったFドクターより どうもA,H,IのLEDが点灯していない様子との事。
アの近接導体電極で試してみると
    1. 第一ステップで"J"が点灯
    2. 第二     " N,J,K"
    3. 第三     " E,D,G,N,J,K,M,O,Q "
    4. 第四     " M,N,J"
    5. 全停止
照明では新たに"F"が点灯されています。
これらの調査中に自動で温度の表示に切り替わり なかなか読みにくいです。
不点等の表示不良を治すべきですが どうも点灯パターンの規則性が解らず(上記点灯LEDパターン) LED素子の確認と表示パターンの調査になってしまいました。

簡単なデジタルメーターのダイオードチェックモードでの確認(本来は基板からLEDを外してチェックをしますが本体が小さいので抵抗値の差で確認。単体では電圧が出ないところで今回は実装したままなので回路が入り電圧が出ます)ですがLED素子は問題なさそうでドライバー(TM1650等)を含む基板裏の回路確認が必要の様子。

しかし、ハード面で扇風機と照明の制御は出来ている様子。表示パターンと各動作の関連(上記1~3の表示の意味が解らず。でもパターンは繰り返しても同じ表示)が理解できずで返却。(基板裏を含む回路調査を行うと現在、正常動作している本体にも影響しそうで調査をストップしました)                    

                   

下記写真は基板の大きさが40mm x 60mm程で下の三枚の写真は問題と思われるLEDの顕微鏡写真。

 

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LEDの良否確認をデジタルマルチメーターで行いました。当初はメーターのダイオードチェックレンジで見れると思ったのですが デジタルメーターによる固有の特性があり、測定できるデジタルメーターと出来ないデジタルメーターが有ことを確認しました。一般的なダイオードチェックの方法です。




 

        
  上図のようにダイオード測定レンジでデジタルメーターの場合は赤リードにプラスが出ています(アナログテスターは赤リードがマイナスが出る)
ところが同じダイオードレンジでもデジタルメーターによってはLEDのアノードにプラスを当てカソードにマイナスを当ててもLEDが測定できないものがありました。
後から判りましたがテスター内部の測定電圧が1.5vの物や5.3vの物がありますのでLEDのVF(順方向電圧)が高いLEDでは測定出来ない場合があったのでした。
 VF(順方向電圧)がLEDの赤、黄、緑等は1.8~2.2v・白、青等は3.2vp前後なので 

メーターからのリード間電圧は それ以上ないと測定できません。しかし整流ダイオードは0.5v~0.6v・ショットキーバリアダイオードは0.3v前後なので低いデジタルメーター内電圧でも測定できます。

当然ですがデジタルメーターのダイオードレンジマークは間違いでなく問題ありません。

ダイオードのデジタルメーター・テスターでの正常かどうかの簡単な見分け方は上の接続でVF(順方向電圧)が測定でき逆接続で無限大となれば良好で どちらの方向でも無限大はダイオードの内部で断線していたり 又どちらも少ない電圧を示せば短絡に近い状態の不良です(一般のデジタルメーターでLEDを測定すると順電圧測定時は正常なLEDは薄く発光が見えます)

 



横河の7544-02は同じダイオード測定レンジでも二種類あり、自動で切り替わり

リードに架かる電圧が赤プラス、黒マイナスとその逆の発生時 いわゆる交流モードと赤に固定したプラスの直流モードが有り 何れも 5Vが印加していますよの表示が液晶画面に出ます。

Kaiso KU-1133は名刺型の小型で本体が60gで軽いですから 測定値の確度も悪いとは思いますがおもちゃの修理では眼鏡を外しての近眼の私でも目前の空中にテスターが有ることは大変便利で今でも使用しています。(以前ブログで紹介しました空中テスターの記事参照)

デジタルメーターのダイオードレンジで発生してLEDに加わる電圧の差で測定の出来る出来ないに分かれていました。
それは当然でLEDに加わる電圧がLEDのVF(順方向電圧)を超えていないと測定できない為でした。

                             以上