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ヒト・モノ・アソビ... 人生を楽しく快適にしてくれる素敵なものたち

サイクルと山遊びのオキドキライフスタイルから発信

「すみません 他店で買った(知人から譲ってもらった)自転車ですが調子が悪いので見てもらうことはできますか?」

こうしたお申し出は最近特に多く、もちろん歓迎、そしてできる限りの手を尽くしたいと考えています。

しかしながら中には、「どうしてここまでになるまで放っておいたのですか?」あるいは「よくこれで今まで無事でしたよね」という、いよいよダメ、もしくはダメになる直前の状態でご依頼されるケースもあります。

「他所で手に入れた」という気まずさ?からなるべくなら、と避けてこられたのか、「何ともない範囲」というご判断だったのかはわかりかねますが、修理する側としては「もうちょっと早い段階で調整、交換、修理しておけば費用もダメージも最小限だったのに」」と残念に感じるケ-スが多いように感じています。

「そうはいってもフツーに走ってるし、問題なんかないと思っていた」ということのようです。ならば、と第三者でもあり、専門であるショップが点検して、今お使いいただいている状態が問題ないか(安全か)どうかを「無料」でお調しますよ、というのが以前から実施しています「あんぜん点検サービス」(無料)です。 

残念なことに(いや、幸運ですから)「不具合」が見つかれば調整や修理などの作業に費用は発生しますが、その段階で「直さなければならない」というわけではありませんし、安全のためにどうすればよいかの選択はユーザー様のご判断で決めていただけばよいと思います。幸運にして「全く異常なし」であれば安心を「無料」で手に入れることができるのですからこれまた幸運、というわけです。

これまでの実績、実情から、オキドキライフスタイルでご購入いただいた物よりも、はるかに多くの「他所で入手されたもの」に深刻な不具合、安全でないケースが見られたように感じています。 そうした実情を考えますと「よそで買ったものだからこそ、オキドキライフスタイルで点検を受けてください!」と思うわけです。
どうぞ、他で買ったものだからこそ! 「あんしん点検サービス」を受けていただきたい、と思います。

点検の項目は以下の通りです。時間は10~20分程度、その場でお待ちいただいて完了です。
「あんぜん点検(R)」チェック項目

□ハンドル、ステムの緩み
□ヘッドベアリングのガタ、調整具合
□前輪、後輪ハブのガタ クイックの締め具合
□タイヤ空気圧 タイヤ表面の劣化や摩耗
□ホイールの振れ
□ブレーキの効き、取り付け不具合
□ペダル、クランクのガタ、取り付け不具合
□変速機の取り付け、作動状態
□サドルの緩み、ガタ
□フレームの亀裂や損傷


ただし、対象はスポーツバイク、ツーリング車などに限らせていただきます。


 

ダントツに多いのがハンドル、ステム周りです。安全面でも重要な個所です
 


ホイールの取り付け状態、ハブ(ベアリング)のガタ、タイヤ(空気圧、損傷)


安全には大きく作用しませんが、変速や駆動系にトラブルが発生すれば走行不能、となることがあります

チェーンの状態、汚れ、摩耗、給油・・・ 

 


ブレーキ、は安全に関わる重要な個所です!


 

【児童書の販売】

Patagoniaから児童書(絵本)が発売されます。

タイトルは「しんぴんよりもずっといい:リサイクルのおはなし」 (40頁 日本語/スペイン語)

内容は海に親しむ姉弟がはたらきかけて、海のいきものの生命を脅かす「海のゴミ(廃棄魚網)」が集められて生地や衣類に生まれ変わる様子がカラフルな絵と共に描かれています。「洋服って何から作られているんだろう」という中にリサイクル素材もあるんだよということを判りやすく伝えてくれています。

パタゴニア直営店での販売のほか、オキドキライフスタイルでも販売を行っています。(@1500)

暖かい季節のバイクライドの際にお勧めご提案してきました「サーフトランクス」などの製品にもこうしたリサイクルナイロンが採用されています。本と併せてよろしくお願いします。

工具不要でラチェット機構のメインテナンス(洗浄、給脂)を手軽に行うことができ、常にベストコンディションで使用できることで定評のあるDT SWISS製ホイール(ハブ)。ラチェット機構についてはその通りですが、では回転の性能を左右するハブベアリング(ホイールベアリング)についてはどうでしょうか。コンポーネントメーカーのホイール(ハブ)については調整式のベアリングを採用しているため、定期的なベアリングの洗浄、や給油、そして厄介な「調整」の必要がありますが、DT WISSやその他のメーカーに関しては「シール付きカートリッジベアリング(ラジアルボールベアリング)」を採用しています。このカートリッジベアリングはシール構造がしっかりしていることに加え、ラジアル荷重に対して許容強度、耐摩耗性に優れているため、長期にわたって給油や調整の必要がありません。高強度、高速度なオートバイなどにも採用されているようにメインテナンスに神経を使うことなく高性能を維持できる構造を採用しています。

しかしながらそんなカートリッジベアリングも「永久」の性能ではありません。ある程度の距離や年数を使用すれば摩耗は生じますし、経年によるシールの劣化によって封入グリスが徐々に流出し、そこに水分が入ることによる錆の発生、あるいは砂塵の侵入による摩耗増進などでやがてベアリングを交換する必要があります。その際にも摩耗劣化したカートリッジベアリングをユニット単位で簡単に交換できる、ということがまた長所となっています。「簡単に」とは書きましたが、調整式のベアリングに比べて、というただし書きは必要です。圧入されているベアリングを抜き去り、圧入するためにはいくつかの専用の工具類は必要となりますし、組み込まれているハブの中心部にアクセス、分解作業をするための工具と作業手順が必要となっています。

DT SWISS製品の場合、これらの作業に必要な工具類、そして方法をネットの動画で紹介しており、環境や技術能力が許せば、ユーザー自身でこれらの作業を行うことができる準備が整っています。実際にできるできない、はともかく必要な準備はされているというわけです。

そこでここではそれらの作業を示した動画の紹介をするとともに、実は補足したほうが良い点をご紹介したいと思います。 
DT SWISS メインテナンス動画
「ハブベアリングの交換方法」

はこのリンクの通りです。動画を見る限り「道具さえあれば」基本的なことを手順通りに辿れば簡単な作業にも見えます。しかし、実際にはショップでもない個人でそれほど頻繁に発生するでもないこれらの作業のために工具類を買いそろえるのか、というところですがw。
動画が英語ということもあって説明が不十分ではないか、という点は「リングナットを緩める」です。動画の中でもさらっと説明がありますが、「実際に使用されてきたリングナットはペダルを踏む力でとてつもない強い力で締め付けられていて簡単には緩みませんが」というところです。実際にこの点は経験豊富な?ショップでも大変苦労する点で、作業環境や作業経験が十分ではないユーザーの作業では諦めざるを得ない可能性も十分にあるのです。
それでも「やるぜ」という屈強なユーザーさんのためにアドバイスをするとすれば・・・ 『必ずマニュアル動画の通りの道具、手順を守ってください』。大切なことなので太字でもう一を書きます。必ずマニュアル動画の通りの道具、手順を守ってください」。リングナットツールを「バイス(万力)に取り付けてください」という説明がありますが、これをスパナやモンキーレンチ(調整式スパナ)で回そうとした場合、最悪スパナが口を開いてしまったり、リングナットツールが破損したりする場合があります。高トルクのボルト/ナットを2面スパナで回そうとしてはいけないというのが常識であるように、スパナやモンキーでは2面間を広げようとする力が大きく発生します。「せん断力」という正方形の物をひし形に変形させようとする大きな応力がかかるためです。また「リングナットをバイスで固定してホイール側を回すようにして緩める」と指示されています。スパナやモンキーレンチをリングナットツールにかけてテコの様にして回そうとする場合、回転力(トルク)だけでなく回転軸に対して「曲げる」方向の力も作用してしまいます。リングナットから斜めに外れてしまう方向への力が発生するのです。工具に大きな力が掛った状態で斜めにズレてしまうとリングナットツールが外れてしまったり、あるいはその際にハブアクスルが曲がったりダメージを与えてしまうことになります。そうならないためにはホイールを両手で持って回すような、これを「偶力」と呼びますが、この場合は回転力は与えても曲げる力は作用しません。さらに良い方法としてはリム単体ではなくなるべく太いタイヤを装着して手で保持しやすくすると同時に外径を大きくしてより大きな回転力で回すことです。それでもさらに大きな力が必要な場合に長いレバー(テコ)で延長するのであれば回転中心を対象にした2本を延長してやはり「偶力」で回すようにしなければなりません。その他、はめ合い結合であれば穴側を熱して膨張させて外す、もアイデアですがネジ結合の場合は熱膨張で雄ネジと雌ネジのピッチが変わってしまえばますます緩まないことになりかねませんからやはりマニュアル動画に無いことはすべきではありません。そして組立時の説明にあるように次回以降のことを考えて組時にネジ部に焼付や電食を防ぐための十分な油脂を付け、ロックタイトなどを使用しないことです。

以上のことを正しく守って作業をすれば、ユーザー自身でも「簡単に」ホイール(ハブ)のメインテナンスが可能だということです。現実的には工具を揃えるにしても、作業環境を整えるにしても、頻度(と作業精度)を考えれば専門のショップにご依頼されることを強くお勧めしますw(我田引水) まさか専門ショップで上記のような「NG作業」が行われるようなことはない「ハズ」ですので安心してお任せしてよいと 思います。

オキドキライフスタイルではDT SWISSを始め、カンパニョーロ、MAVIC、その他のOEM製品(ホログラムノット、ボントレガー、ロバルなど)などのメのインテナンス作業も行っております。消耗によるベアリング交換はもちろん、今後のメインテナンスや機能低下の不安をゼロに近づける「ベアリングのステンレス化」作業も積極的にお勧めしています。どこで求めたどんな製品でもお気軽にご相談ください。製品をお送りいただいて作業をする「技術の通販」も行っています♪





物欲に委ねて、新しい機材を求めて増車していった結果、あるいは「必要」だと思って(当時は)手に入れていった結果、手元には「今は乗らなくなってしまた」バイクがただ置いてある、なんてことはないでしょうか。特に古典的な価値のある古いバイクでもなくても、取得時の購入価格を考えるとまあ簡単には処分できない、という状態でしょうか。何か不具合や不満があって「いつかその内に」ととほんど乗らなくなって年月が経ってしまっていたりすると、「いつか」はあっという間に過ぎ去り、なぜ先伸ばしにしてしまっていたかの理由も忘れてしまって何から手を付けたらよいのかも不明になり、という悪循環でますます放置年数が上積みになりかねません。そうなると取得した当時の金額が幾らであったにせよ少しでも金額が付く内に処分したほうがよいかも、というのが一般論でしょうか。いや、家族からはそう言われたりするものです。
それでも、手放してしまってしまおうと思えない「何か」の思い入れがあるのであれば、「いつか」というのは「できる限り早く」行動したほうが良いはずです。素材や規格の変化、商品の供給を考えれば、どうにもなら使えるない状態になってしまうまで粘って何もしない理由はなく、それが可能なうちに「乗れる」「使える」状態にした方が「安上がり」ですし、「手遅れ」も回避できるはずですから。

店主のこのロードバイクは、競技に使うことは無いけどより広い用途に使えるベーシックなロードバイクとして、2004年頃に組み上げたもので、日常からロングライドイベントやツーリングに広範囲に稼働していたものです。どうせならと長く使うつもりで憧れのライトスピードのラインナップの中でも最も保守的なモデルを選んで、やはり普遍的な(と当時は考えた)カンパニョーロを中心に組んだものでした。それが後年になり、ディスクロードの出現でさらに広範囲の領域をカバーするロードバイクが出来上がってしまうと実質的な出番が減り、いえ出番がなくなってしまいました。無線電動変速eTAPで太めのタイヤを装着したディスクロードで不満を感じることが無く、これを節目に徹底的に整備しようとバラしたまま「いつか」という状態で放置されてしまっていたのでした。しかし、乗らなくなったからとはいえ自身の好みや想いを持って組み上げたバイクですから手放してしまうことなど到底頭になく、上述のように「乗れない状態でただ手元に置いてあるだけ」という全く非生産的な状態になっていました。身体は一つしか、これは変えようがありませんが「乗りたくなるようなバイクが出来上がったら乗るんじゃないか?」そんな思いがあって重い?腰を上げるに至りました。実は「あまり乗らなくなった」にはディスクロードの出現以外にも理由があったのです。その一つは別のスチールロードを「Wレバー仕様」にしてみたところ思った以上に楽しく走れることが判り、どうしてもWレバー化したいという気持ちになったこと。ホイールは完組を使う気はさらさらないまでも(フロント用に)気に入ったハブが無くホイールに満足していなかったこと。フレームのカラーリングはチタン素地の上にデカールが貼ってあるものでしたが、経年でデカールがみすぼらしくヒビ割れて外観的人前で使いたくない状態だったことに加え、自店でのライトスピードの取り扱いを終了してしまったために販売に影響しないブランドを乗ることも控えるような気持ちがあったこと、です。フロントハブはDT SWISS製のハブは大径のベアリングを採用していて耐久性、御云うシンプルな転がり生が良さそうでしたが黒しかありません。そこで表面の塗装?を全て剥がしてポリッシュ仕上げにすることで機能と外観を満たすものになりました。フレームの外観は、幸いなことに純正デカールの持ち合わせがあったため、フレームを塗装して再仕上することにしました。取り扱いが無いことについては現時点ではそうであっても当時自身が憧れて、そしてお勧めしていたことは事実ですからそれを否定するようなことは却って裏切り行為ではないかと考え、そして「乗りたいものを乗る」というシンプルな衝動に素直に行動することにしました。そして残る「Wレバー化」ですが、カンパニョーロを10速のダブルレバーで操作するための部材は密かに?したためていたものの、一番の問題はフレームダウンチューブに「Wレバー用の台座」が必要なことです。ここは諦めるしかないか、とあれこれ思いながら懇意にしているビルダー氏に無理を承知でお願いを乞うてみたところ「部品があったらできるで」との回答。何とかカントカしてチタン製のシフト台座を入手して指定の位置に取り付けていただいたという次第。元にフレームにあったシフトアウター受けは切除。できあがったフレームを少し磨いて塗装。2001年のカタログモデルの「パールホワイト」への憧れもあり、アイボリー以上純白未満、の「牛乳色」をて調色して腕の良い方に塗って仕上げていただきました。それとWレバー化に伴ってノーマルブレーキレバーが必要でしたが、カンパニョーロの場合はこれがカンタンで通常のエルゴレバーから変速機構を取り除くだけでこれが実現できますのでアルミレバーの「VELOCE」を準備して解決。

準備が揃ってしまえば「なぜこれが何年も実行されずに放ってあったのか」というほどで、ホイールを組んで、各パーツを分解整備してフレームに組みつけていけば完成。あっけなく出来上がってしまいました。

あっけなく、とはいえフレームにしても構成部品にしても「理想」を全てつぎ込んだ仕様といってよく、すでに最新=最上ではないアタマにとっては「これこそ」というロードバイクの完成です。2001年のカタログで見て憧れたものの実物が、さらに願っていたWレバー仕様で、そして思っていた通りの「牛乳色」で現実の形になってできあがった、というわけです。「棄てられない想い」を諦めずに良かったです。


今回は店主の「私物バイク」のケースについてにお話でしたが、同様に「いつかは」というようなケースを抱えてる方もいるのではないでしょうか。乗って使うのが一番でなのはもちろんです。もう乗ることはないのであれば、見合わない金額だとしても手放してしまう方法もあるでしょう。しかし、「乗らずにいつまでもおいているだけ」の状態は全く何も産まない一番の「もったいない」ことだと思います。それでも「いつか」復帰できればよいですが、時間とともにかかる費用も含めて困難さが増し、最悪どうにもならない時がくることだってあります。その状態で売って手放そうにもさらに金銭的な価値は無くなっている事でしょう。「想い」があるのであればぜひ行動に移すことを強くお勧めします!「レストア」というとオリジナルの状態にまで完璧に復元すべきのような、お金もかかりそうな敷居の高さを感じますが、最小限の「動く」状態から、ご自身の納得いくレベルまでの好きなところまでを手を入れる、でも構わないはずです。「ここは自分でやりたいから、ココだけお願いしますね」という部分的なご依頼でも歓迎です。部品の手配が困難なケースや代替え案が必要なケースまで何なりとお気軽にお問合せいただければ可能な限りの協力はさせていただきたいと思います。


frame: Litespeed Classic 
fork: Time millenium stiff +  →Easton EC90へ変更済み
ftont hub: DT SWISS 350
rear hub: Campagnolo RECORD 
sporkes: DT SWISS Competition
rims: Mavic CXP33
crank: Stronglite 130PCD 165mm 
chainrings: Stronglite 52x38T
cassete sprockets: Campagnolo CHORUS 13-26T 10S
front derailleur: Campagnolo CENTAUR
rear derailleur: Campagnolo CENTAUR
chain: Campagnolo REDORD
front brake: Campagnolo CHORUS
rear brake: Campagnolo CHORUS
brake levers: Campagnolo VELOCE
handlle bar: ITM the bar 410mm 
handlle stem: ITM millenium 100mm 
head bearing: Tange Technoglide stainless→CANECREEK 110 SILへ変更
seat post: Campagnolo CHORUS(Titanium)
saddle: SellaItalia Flite TLD
tire: cntinental Classic 700x25C
pedals: Time ATAC





 

なんとなく、のお客様の気持ちが「決心」に変わって「じゃあ、バイクの製作をお願いします」とGoサインを頂いたのが、12月19日の年の瀬の頃の気持ちよくライドを終えた余韻に浸っていた時。ありがたい、嬉しいお話の反面、「さて、どうしたものか・・・」と頭を抱え込んでしまいそうになりました。昨今の「自転車商材不足」の折、完成車で今頼んで今(シーズン)すぐに手に入る、という状況は絶望的です。世界中で商品が不足していて、完成車を手にするためには「予約」をしておいて、半年以上待たされる、なんてことは普通、「いつになるか約束できない」という状況だからです。「欲しい」というお客様は「今」欲しいのであってそれがいつになるかわからない、では欲しい気持ちも減退しかねないわけです。かといって「ちょっと違いますけど、これなら手に入りますよ」というには安くはない耐久消費財であるジテンシャにあってはなかなかそうはいかない、そうしたくはない、のです。車種(カテゴリー)が違っても、サイズが合っていなくても、もちろんダメなのは当然です。

我々のマウンテンバイクの用途は、決して競技、レースで使用するものでもなく、パークや常設コースでの使用を主としたものでもなく、里山をマイペースで気持ちよく走る、という極めてオーソドックスなマウンテンバイクの原点ともいえる楽しみ方ですが、却ってこうした用途を狙った製品は市場では多くは無いのです。高性能=高級、高額、そして用途が専門的で幅広く使いづらい、となりがちで、逆に用途の広そうな汎用モデルは概して「入門用」に区分されるものが多く、価格は馴染みやすくも製品の質には妥協するものが多いのです。いや、そうした完成車自体がそもそも入手し辛いのですから、この状況になってもならなくても、なのかもしれませんが、我々が
所望する「シンプルで汎用性が高く、基本的な品質を保っているもの」はやはりフレーム選びからしていくことになりそうです。ただ、そうした「フレーム」もそう多くの種類が今現時点で入手可能なのか、なのですが。そして完成車よりも入手価格は上がってしまいがちなのです。

走るレベルやスキルは違えども、我々の楽しみ方の等身大に近い、と感じているカナダの「クロマグ Chromag」。クロマグジャパンさんがしっかりと本国のコンセプトをy正しく伝えて国内で展開しています。店主は2009年にカナダに向かい、実際にその使われている環境、開発者でもある社長のイアンさんとも直接がお話ができて以来のお付き合いになります。そんなクロマグ社のフレームが理想的なのですが・・・
ジャパンのホームページには在庫の概数が表示されていますのでチェックしてみると、2つあるサイズの選択肢の「どちらかというと」の方は完売。 あ”ーやっぱり半年待ちか他で妥協か?と思って、ダメモトでジャパンへ連絡したところ、表示していないイレギュラーがありますよ、と。それっ!それお願い
します!とお客様にも了解を取って急遽フレームが、しかも理想的なものが短時間で手に入ることになってしまいました。

フレームが手に入ると、フォーク、ホイール、駆動系、ブレーキ・・・と必要な部品が揃えば完成できるわけで、そうなるとちょっと「欲」も出てきて何とか早く仕上げてこの冬シーズンから乗り出しできないだろうか、との画策が始まりました。フォークは・・・ こちらもダメ元でしたが注意深くROCKSHOX輸入元のストックリストを眺めていますと、あった♪ しかもリーズナブルながら上位機種と遜色のない、仕様もカラーも妥協や我慢の無いモデルが入手できました。ホイールは・・・ 選択肢が少なく、用途の合わない完組は最初から考えていませんが、将来の展開性、強度の選択、汎用性を考えて「手組」のつもりでリム、ハブ、スポークの選定。ぎりぎりの納期をクリアしそうだということで「DT SWISS」で構成。主要な要素はこれで決まりましたが次に操作や推進を司るブレーキや駆動/変速は? 実は完成車メーカーの商品供給でひっ掛かっているのはこれらの「コンポーネント」と呼ばれる部品群が供給されないことで起こっているのですから、これらのパーツ類の入手は絶望的です。やはり夏以降でしょうか? カナダではクロマグの彼らは主に「SRAM」で構成しているのですが、試しに部品を挙げていくと・・・ なんとか早い納期で構成できそうなのです。「部品が手に入らない」のはどうやら一部の部品メーカーだけのことで供給するという企業責任を努力しているところはちゃんとできているようなのです。ただし、足りていない分の影響も大きく受けてしまってるのは事実です。 なんとか・・・ 妥協することなく、全てが揃いそうです。
残るサドルやハンドルバー、ステム、グリップなどといったこまごましたものも入手がラクではない情況にはちがいないのですが、クロマグジャパンさんの融通もあって、ナントカなっていきそうです。 
当初の予定と変わってしまうたびに金額も伴って変わることになりますのでのお客様にはその都度確認、返答を頂くことでお手間をかけてしまうことになるのですが、それでも根気よく、そして柔軟に、「今実現できるベスト」に賛同いただけたおかげで何とかすべての必要部品、資材の確保ができることになりました・・・  フウ

フレーム、はもちろんフォークも高い物は要らないまでも妥協したものを選ぶわけにはいきません。走りを決めてしまうホイールもとくにハブは変な妥協で選ぶことも出来ませんし、ましてや「カラー優先」で選ぶ個所ではありません。

結果的に、お客様のご希望に沿う形のマウンテンンバイクを完成することができました♪ そのためにご協力いただいた「助け」が多数。特にクロマグジャパンさんとDT SWISSの日本代理店デある㈱マルイさんには深く感謝するばかりです。 すべての組立調整が終わってのお引き渡しが1月29日。実に1か月と10日の日数を要することになりましたが、これほどまでに商品供給が思うように進まない状況の中、仕様や機能はもちろん、外観の大きな要素を締める「色」の面を含めた全体像としてもほとんど「妥協」のないマウンテンバイクが仕上がりました。むしろたった?これだけの日数でできあがったことに改めて協力企業さんと柔軟にお待ちいただいたご依頼者様に深い感謝を感じます。 ありがたいです。

 



 

オキドキライフスタイルでは開業時よりPatagonia製品を取り扱ってきています。 必ずしも「サイクルスポーツ専用商品」が充実している、というわけではない同社の製品を長らくオキドキライフスタイルがお勧め、提案してきてるのは理由があります。



サイクルスポーツが全ての情況において予測な可能な環境でのみ行われる、例えば街中での短距離移動や、閉ざされたコースでの競技走行だけであったのなら同社の製品の必要とされる場面はそれこそ稀少な物でしょう。 しかしオキドキライフスタイルが提案するサイクルスポーツが自然環境の中で行われるものであり、それが例え舗装路を繋いだロードバイクライドであったとしても、予測不能な自然環境の中で行われる以上は、その際に必要とされる装備や衣類はそうした予測不能な場合にも対応でき、そして快適に運動できる製品、を必要としていると考えています。
例えば「道」さえあれば生身の人力で標高2000ⅿを越える高さまで到達できてしまうこおおあるスポーツサイクルで、そうした自然環境を想定していない衣類で臨んだ結果・・・ 運悪く、というか様々に変化するのが自然ですが、悪い方へ転んだ際にどういう結果になるか、は考慮して然るべきことです。大切なことは「速く走る」ことだけなのか、それとも「安全に行程をこなす」 「快適に運動を続ける」ことなのかを考えた際に、自然環境での使用を前提として作られた製品を選ぶことが重要になってきます。そしてそれらを選ぶことで、穏やかな街中でのこれらを使用することの「快適性」はあっても犠牲になるものは全くないのです。


そうした視点から、毎シーズンの同社の新製品発表の際には「ジテンシャ目線」を主に製品のチェックを行ってきており、それらの中から「これだ!」と思う製品を「バイク用」というカテゴリーに囚われずに柔軟に選らんで提案させてきていただいています。中には「フライフィッシング」のカテゴリーから見つけられた優れた製品もあれば、ボードショーツのように「サーフィン」カテゴリーから端を発して結果的に「バイク」カテゴリーの製品にまでなった例もあります。冬山を対象とした「アルパイン」カテゴリーの製品に求めれる防風性はバイクライドのそれと必要とされるものですし、保温性や運動による体温調整の必要性はカテゴリーを問わずに求められるべきものです。 そしてパタゴニアの製品にはそうした要求を高次元で満たすことのできる製品が存在するからです。
 

 

ただし「存在する」は重要なことなのですが、数多くの製品群の中で、我々が必要とする機能の「本当に欲しかった」製品は、全世界での「需要」の中で占める割合は限定的なものである場合が非常に多いことが問題です。 くだけた

表現をするとすれば「ニッチでマニアックな奴らの欲する機能、製品は大多数の世界の需要からすればほんの些細な数量でしかない」つまり「ビジネス的に美味しくない」のです。 その結果がどうなるかというと、運よく製品化され販売がされたにも関わらず、わずかな短期間で「販売終了」となり、入手できる期間が非常に短く、「買い替え続けてでも長く使おう」という期待に反して泣く泣く新製品の中から類似の製品をまたイチから探さなければならない/二度と入手できない、を経験してきているのです。



そうした「欲しい、必要な製品が次々と廃版となっていく」という状況の中、「正規販売店」は製品に関する情報をほぼ1年前に入手することができます。つまり、そのシーズンに入ったころには、すでに翌シーズンに発売される製品のサンプルを含んだ製品情報がメーカーから発表されて知っていることになるのです。 モデルチェンジが行われる?、新色はどんな色?そして、継続されない廃盤となるのはどの製品?といった情報を消費者よりも1年早い段階で得ています。 そして「何が廃盤になり」「何が、どの色が、継続されるのか」を知っている、というわけなのです。


 

今回残念な「廃盤」のお知らせをしなければならない一つに「ライナーバイクショーツ」があります。ライナー、ですから下着として着用するパッドの機能をもったショーツなのですが、従来の他社でもあった「ただパッド?が縫い付けられた頼りないショーツ」でもなく、かといって、単体で履くことを前提とした「派手で大げさで息苦しいレーパン」でもない、お気に入りのボトム(短パン、長パン)に組み合わせて自由に快適に使える調子のいいライナーでしたが、すでに「廃盤」が決まってしまったようです。バイク(サイクル)用としてだけでなく、モーターサイクルのライナーショーツとしても機能的で長時間の座り姿勢でも疲れにくかったものです。 あぁ~
・・・ですので、緊急追加補充いたしました。(画像はメーカーHPから)

*こちらは「裏返した」様子です



さらに、こちらは「廃盤」ではありませんが、早くも「廃盤フラグ」が見え隠れするお勧め製品です。カテゴリーは「ハイキング」ですが、もう少しテクニカルな登山用として一定の防風、耐久性、そして強度の高い運動に適した伸縮性を備えています。ひざからの下前面と尻部に補強地が当てられ、ウエスト、スソ部の処理も自転車に最適な作りです。冷涼な時期のロードバイクライドにも十分適したシルエット、機能と言えそうです。カラーはこのほかにブラックが用意されています・・・ ただし、「継続」はアナウンスされているものの、来シーズンの積極的な生産は期待できるようには・・・
(*あくまで験に基づく個人的な推測です)

こうしたベルクロ止めなら歓迎です♪

というような状況であり、上記の重要な製品2点の「今」のうちの入手をお勧め提案いたします♪

現品店頭在庫あります。現品チェックもどうぞ。 




 

ジテンシャをカスタマイズする、ことは一般的に良く知られ、実践されていまよいより高機能、高性能を求めるために高機能/高性能パーツに組み替える、などがそうでしょうか。そのほかには「他人と違ったものにしたい」「見た目を向上させたい」などの目的もあるのでしょうか。あるいは、市販の状態では自身の使用目的や用途に合わない、使い手の体格や能力に合わせるための「お誂え(あつらえ)」指す言葉ですが、CUSTOMER(カスタマ)ーの要望に沿って作ることを意味する言葉です。
よく「カスタムする」「カスタムされた」などの動詞的に使われることがありますが、 customを英語において動詞とし使うことは「間違い」です。 カスタマイズ(~する、~した)が正解なのです。

ところで、ジテンシャ本体だけでなく、使い手の体や、目的に沿ってカスタマイズすることも、機能を高める、最大限に生かす、ために有効な手法です。例えばコレはPatagonaの防風撥水ストレレッチ生地をしたパンツですが、ジテンシャ用途に使用するためにはほんのわずかですがスソ幅が広いのです。「スソバンドを使用する」という恐ろしくダサい方法もありますが・・・ かといって裾にあありに不格好な「マジックテープ」が縫い付けられている様なものも、街や山で歩く場合にはこれまたダサい・・・ 足首サイズまで細く絞った裾ではこれまたちょっと違うし、ハイカットの登山靴やスキーブーツに組み合わせて使えない・・・ そこで「カスタマイズ」です♪ チェンリングに干渉しにくい範囲で、細く絞り込みすぎないスソ幅に・・・ 縫部を一旦ほどいて希望するサイズへと縫い直して出来上がり。膝部の立体裁断も犠牲にならずに用途にぴったりと合った製品に生まれ変わることができます。 

これらはメーカーでは行ってくれません(元のオリジナル通りに修理するリペア作業は依頼できますが)ので、こちらの希望や要望通りを生地や製品の特性に合せてカスタマイズしてくれるところへ依頼する必要があります。 「取次」になりますが、オキドキライフスタイルでも承りますので、お気軽にご相談ください。もちろん、修理も可能です。

 

 

毎年、冬がか必ずやってきます。寒い年もあればそうでもない年、雪が早い年、遅い年、多い年、少ない年・・・ この日本に四季が有るように、そして冬の情況もその年によって様々です。季節の移ろいと共に衣類で対応するのと同様に、冬の寒さやその用途に応じても使用する防寒アイテムはさまざまです。

 

オキドキライフススタイルでも商品数の(種類の)多いものとして「グローブ」があります。 (春)夏用、冬用と大きくわけられるのと共に、秋と冬、積雪の有無、運動量に応じて、となると多種多様な種類が必要になり、なるべく多くのケースに対応すべく、となると必然的に「種類」が増えてしまうのです。 特に冬の時期のグローブはその辛さ、裏を返せば「快適性」を左右する大きな要素です。快適なグローブがなければ冬のスポーツはしたくない、できない、辛い、などマイナスの元凶としかなりあえません。逆に指先の冷たささえクリアすれば多少の体の寒さは運動によってクリアでき、快適に冬のスポーツを楽しむことができる、というわけです。

様々な気温、条件、用途によって幾種類もある、とはいえできれば最小限の種類で済ませたいところ。冬に行う、どれとどれがうまく「兼用」できるか、なども良く考慮して最小限で最大限の快適性を得たいところです。そういう狙いもあってオキドキライフスタイルでは「ジテンシャ専用」というグローブの取り揃えは却って少ないかもしれません。しかし広い視野で見てみると、必ずしもジテンシャ用だけがすぐれてるわけではなさそうです。例えばここでご紹介するグローブは登山、クライミング用品などを主とする「ブラック・ダイヤモンド」。アイスクライミングやツアースキーなど過酷な垂直活動を伴うアウトドアに対応したu力製品群を揃えています。そうした寒さや自然環境を熟知したブランドの「低高度」「高出力スポーツ」向けの製品が、実はジテンシャの用途にも非常に良い結果をもたらすことがあります。地表ではまず遭遇することのない秒速20mの強風。しかし、これを「時速」で表すと72㎞/h、オートバイやジテンシャで決して無縁の情況ではありません。標高に伴う過酷な寒さはソコまででもないとはいえ、十分に厳しい自然環境の中でジテンシャやモーターサイクルを乗っているということです。同時に身体を支えるハンドルを握り、指先を使った操作までも要求されますが、スキーやアイスクライミングなどでも、いえむしろ体重の大半を預けてストックやアイスピックを握って操作する、細かいアイスツールやロープなどを使うこともあり、掌側はむしろ操作性を優先した作りの物もあります。時には生命を左右する強度や耐久性となるとジテンシャ専用の物とはケタ違いのレベルが要求されます・・・
そうして考えると、ジテンシャ専用のものだけが適していると考える必要はなく、そして様々なスポーツを冬にする、という方にとっては「使いまわしができる」非常に便利なものだったりするのです。

今回ご紹介する2種は、一つは「ツアースキー用-7~4℃」と「ウインターアウトドアスポーツ用ソフトシェル0~7℃」。前者はBDDRY(R)という100%防水防風透湿層を内部に持ち、シンサレートの保温層を指先と甲に廃して高い耐寒性を実現しながら、掌側には天然革と薄い裏地(マイクロフリース)のみ、という恐ろしく「操作性」を強く優先した製品です。そのため、本来の高強度のツアースキーはもちろん、オートバイやロードバイクライドにも適した製品となっています。 一方、ソフトシェルの方は防風/撥水の伸縮性を持った表生地、やはり天然革の操作性の高い掌(なのにタッチスクリーン対応)、必要最小限のプリマロフトによる保温性で寒冷な条件下での高強度なマウンテンバイクやシティライドなどに向いています。いずれもこんなに「ジテンシャライドに最適!」なのに、ほとんど(皆無?)のジテンシャ屋さんで取り扱っていない、という事実。ruようです
あまりに寒いとオートバイやジテンシャに「ハンドルカバー付けようかな」というケースもあるようですが、我々がそれをお勧めしない、決して実践しないのは、ハンドルポジションを含め、その日ごと、時間ごと、そして登りや下りでの状況変化に対応するための大切な「自由」を奪われてしまうからです。それよりも正しいグローブを選びたいのです。

スマートウール「ネックゲイター」 こちらももう説明する必要もないくらいのオキドキライフスタイルではすっかり「定番」となった製品です。寒い時期の顔、首周りの寒さを抑えることではるかに快適になりますし、ニンゲンにとって唯一の「吸気/排気口」である口鼻の快適性を保つことは有酸素運動時には極めて重要です。 ネックゲイター(首巻)、としてはポリエステル/フリース、アクリルなどでいくらでも製品を見つけることができると思います。しかし、これを「メリノウール」で作ることに実は大きなメリットがあります。昨今ではマスクを付ける機会が多いため容易に想像がつくとは思いますが、大量の水蒸気を含んだ呼気は外気温が低ければ低いほど、マスクやネックゲイタを通過する際に結露して水、冷たい水になります。さらに条件が厳しければこれらが凍結して皮膚と擦れた結果、皮膚が荒れてしまったという経験もあるかもしれません。スキーをする方ならフリースのネックゲイターやジャケットの口元のファスナー裏地が凍り付いたという経験も味わっているかもです。
ウールはよく「濡れても冷たく感じない」などといわれます。繊維内の空気層が高い断熱性をもち、毛繊維自体の表面のスケールなどが機能しているらしいのですが、とにかくガビガビに凍結してしまわない、息の掛かるところでも安心して使うことができる、という点で他のどの素材よりも口周りの防寒/保温に適しています。「ウール!?」と抵抗を感じる方はもういないほどメリノウールのすべすべした快適性はもう説明不要だと思います。 ティーローズ(ピンクオレンジ)色は顔周りの化粧品を気にする方にも適しています。

 


思いがけず「レストア」となってしまった放置ミキストロードの例

レストア(restore)はクルマやオートバイでは聞かれる「(旧くなってしまった個体を)再生する、復活させる」を意味する言葉です。昔に作られ古くなってしまったもの、特に使われずに長い年月が放置されてきたものほど、素材の劣化などが進み、再生が困難になります。併せて修復に必要な部材や部品が年月と共に入手できない、困難な状態になります。しかし、何かの目的や想いがあって「元の状態に再生したい」となった場合には、それらの障壁を覆して再生、復活させる手間(と費用)を掛けて行われることがあります。

今回はあるお客様からのご依頼からでした。「娘が使っていて、その後長い間放置していたジテンシャがある。『また乗りたい』というのでどうにかなるものなのか見てほしい」というもの。ジテンシャはどなたかから譲り受けたもので、特にそれがどういうジテンシャであるかということはなく、一人暮らしで交通手段が必要になったから使用再開したいのだそうです。「とりあえず、現状見てから手を考えましょう」そうして運び込んで頂いたジテンシャ。クロモリスチールのミキストタイプのロードバイクです。オールラウンダーハンドルが取り付けられているのでクロスバイクのように一見されますが、構成はロードバイク的なものです。一般的に市販されてるようなものではないのでフレームから組んだ「オーダー車」なのでしょう。
しかし、その状態は「酷い」ものでした。譲り受けた物を街の足に使用した後に長期間屋外で保管(放置?)されていたということですが、ケーブルやチェンは錆びて言わずもがな、サドルは破れて中身が出ています。タイヤはぺしゃんこになったママの形です。変速機やブレーキが作用するかは厳密にはわかりません。シートピンが無いにも関わらず、シートポストは下がりも、回りもしない状態でさび付いているようです。ハンドルのベアリングもまともに乗れる動きをしていませんし、BB(ボトムブラケット)ベアリングも同様かそれ以上に酷いのかもしれません。フレームは・・・塗装が広く剥げてしまった箇所もあってそこは錆で覆われてしまっています。泥除けがついていない状態で雨の中を走ったことがあればフレーム内部の錆も心配です。悪くなっている部分、部品は交換すれば元のように機能するでしょう。しかし問題はそれらを上手くフレームから取り外せる状態かどうかです。フレーム外観の錆状態からも、可動部の隙間やその内部の錆付は懸念されます。

お客様には、大きく「2つ」の選択肢が考えられることをお伝えしました。ひとつは「何もしない」。タイヤ、チェーン、ケーブル、サドルなどのジテンシャの本質には触れずにそーっと交換できる部分だけを新しく刷新し、可動部には外側から注油などで最低限の動きを復元する方法。何とか「乗れる」状態にはなりそうです。うまく資材や部品を選べば1マン円台で可能かもしれません。もう一つは「上手くいけば」という前提で、部品を全て取り外し、使える部品は再使用、摩耗や損傷が酷いものは交換して再度組み直し。使える部品の状態や交換すべき部品の箇所によって費用は特定は難しいですが、少なくとも安心して乗り続けられる状態になります。「上手くいけば」の部品取り外しや再生の手間手数料がかかりますが、フレーム内部の確認もできますし、場合によっては長く使えるものになるかも知れません。フレームの価値を考えるとこちらの選択をお勧めしたいところですが、お客様が「それほどのこだわりはない」ということであれば安くできる前者がよいのかもしれません。しかもパーツの脱去作業が必ずしも「上手くいく」保証はありません。固着の度合いが絶望的で下手に分解しようとすることで決定的なダメージ、使用不可能になる可能性や、使用できない状態を発見してしまう可能性だってあるのです。これらをお客様に説明し、さらに少しでも費用を抑えるために(&愛着を持つことができるためにも)、フレームの再塗装は「ご自身で」されてはどうか、とご提案してみることにします。正しい価値判断を狂わせないために「このハンドメイドフレームは」という説明はしないようにしました。少し考えられてから、お客様から「娘と一緒にフレームを塗って再使用してみようと思う」の回答を頂くことができました。それが良いと思います。早速フレームの錆部分を擦って落し、生地の状態をチェック。どうやら表面錆はフレームの強度に影響するところまでの物ではなく、十分に再塗装、再使用に耐えられそうです。「では、できる限りの手を尽くしてみます」そうお伝えしてジテンシャをお預かり、作業に掛かることになりました。


早速、作業に掛かります。これまでにも「固着して取れない」系の作業依頼はいくつもありました。シートポストを切断して全てアジャスタブルリーマで削り抜く、という作業もありました。それでも何とかできてきましたが、固着したBBカップをどうしても取り外すことができなかったこともあります。カニ目ではしっかりと保持できない上に「完全に一体化?」の状態でした。火で焙って、も一つの手段ですがオリジナルの塗装を優先のため見送ったケースです。今回も同様のケースが発生すれば再塗装が前提ですので可能ですが、溶接とは違ってラグの「ろう抜け」を懸念するとやはり諦める必要が出るかも知れません。まずはホイールを含めて全ての駆動系、ブレーキ部品を取り除きます。古くはなっていますが、競技用の最上級グレードではないながら、最初の持ち主様の拘ったパーツ選びを感じます。おかげでアヤシイ部品が使われておらず比較的作業はスムーズに進みます。ミキスト特有のケーブル取り回しに改造された箇所も何とか再利用可能な状態に取り外すことができました。では、フレームに取り掛かります。3か所(+1カ所)。BB(ボトムブラケット)、ヘッド(フォーク)ベアリング、シートポスト、そしてロードエンドのアジャストボルト・・・ シートポストの作業を考えて、まずはBBから。BBはそれなり、ながら大きな問題ではなくセオリー通りの慎重な作業で何とか取り外すことができました。しかしBBベアリング、スピンドルは交換が必要です。シートポストは大掛かりな作業になると見込んで、フレームを身軽にするためフォーク(+ステム)を先に進めます。まず、フォークコラムに差し込まれたステムが全く動きません。斜ウスを使った固定となっているはずですが、ボルトを緩めても、ウス(ウエッジ)が完全にフリーになってもビクともしません。できればハンドルもステムも再利用したい考えですが、最悪はステムの首を落としての「削り抜き」を考えておかなければなりません。数日間、オイルを浸ませ、様子を見ながら動くかどうかの観察が続きました。一定期間を待ってステムやフォークの犠牲もやむを得ない?ほどの力を掛けて、ようやく「動き」が出ました♪ あとは「根気」です。毎日、少しずつ動く範囲を増やしていき・・・ とうとう「最後に抜くことができました。ところがフォークを、と思ってヘッドベアリングを緩めようとしたところ、ロックナットは何とかなった物のアジャストナットがビクとも回りません。このナット、特殊な「8角」ナットのため、六面、もしくは六角の保持ができません。自転車用の2面保持の「ヘッドスパナ」では全く歯が立たないまでも、クルマのクランクプーリー用の厚歯のスパナでも全く緩む気配がありません。またしても「オイル生活」です。「ナット割り」も考えましたが最終的にはバイス固定の力ずくで何とか脱去♪ ふう。フォーク(コラム)自体には全く問題はなく、ただしヘッドベアリングは文句なく要交換です。 さて、シートポスト。すでにステムと同時進行で「オイル生活」を続けてきていましたが、こちらもビクともしません。最終手段に「火炙り」「削り抜き」が控えていますが、できればダメージを最小限にしたいところです。サドルを叩いたくらいでは微動すら見られないため、サドルは取り除きます。別件でクロモリフレームにサスペンションシートポストを付けて固着しているという手の出しようもないケースもありましたが、今回は通常のシートポストでバイスへの固定が可能です。毎日、毎日、少しずつ・・・ 少しずつ・・・ 最終的には何とか抜き取ることができました。シートポストも再使用できそうです。
これでフレームは懸念箇所がなくなりました・・・ おっと!ロードエンドのアジャストボルト!つまみがなくなり、曲がってさび付いてしまっています。どうにもならなければそのままなにもせずとも乗車はできるものです。アジャストボルトの頭はプラス頭。錆びついたネジを極力まっすぐに伸ばし、頭を舐めないように超、超々慎重に緩めていきます・・・ 途中で止まって回せなくなる、というのが最悪のシナリオで、それなら何もしない方が500倍いいのです。ふう。 なんとか取り除き。ところが「ロードエンドアジャストボルト」が容易に手に入る状況ではない、というのです。しかし、これもなんとかクリア。

フレームの懸念が全て完了したので、パーツの再生に掛かります。やはりそれなりに選択された、そしてその当時の製品は少し手を入れるだけで十分に機能する状態になりました。錆や酸化皮膜は丁寧に根気よく磨いてやると、おーなかなかの!というほどに外観も復活させることができました。主だった部品はそのまま再使用です。だし、プーリー(10㎜幅)が・・・


ところが、恐ろしいご縁というか、ほんとうに「縁」としか言いようのない不思議なことが起こってしまいました。 これらの作業をSNSに投稿したところ、ある「大先輩」である老舗サイクルショップの方からとんでもない申し出があったのです。実はこの前の月(9月)、ショップの「閉店」を宣言され、貴重な資料など一式を「送るよ」、とありがたいお話を頂いていたのですが・・ なんとSNSを観ていられて「MEBIUSのフレームデカール、うちにあるよ」「一緒に送るよ」と。ええーっ! すでにビルダー氏が他界されてしまってもうこの世には出てこないモノです。いや、それはありがたいですが、とても滅相もない!これは大変なことになりました。すぐに作業依頼者へ連絡をとり、早口に説明をしました。まさかのタイミングでオリジナルのデカールが入手でき、フレームが本来の状態に戻ることができる機会であること。いえ、むしろ戻すべきめぐり合わせなのかも、と。そのためには「自家塗装で」としていたフレーム塗装をデカールを貼って仕上げることができる専門の業者に塗装を依頼する必要があること、そしてそのために費用が上積みとなってしまうこと・・・ しかし、フレームビルダー氏のこと、オーダーフレームのこと、デカールが手に入ることになったいきさつなどを説明申し上げたところ、娘さんと相談して「オリジナルの状態に塗装依頼をすること」への決断をしていただくことができました。 残念なことに、この状況で「いや~自家塗装でいいんです」」とは選択しがたい巡りになってしまっていたのです。

フレームの色は「前から考えていた」というグリーン系に決めたそうです。指定通りの色見本を準備して、いつもお世話になっている大阪の塗装業者さんへ持ち込みます。デカールを渡し、細かいことの指示は必要なくあとは専門家に任せるだけです。幸いなことにこちらからあれこれ注文を付ける必要がなく、お任せできる先です。
その間に、ホイールをはじめとした構成パーツを整備を進めていきます。交換すべきベアリング類の部品などの手配を進め、フレームの仕上がりを待つと、いつもと同様に2週間ほどで仕上がってきました。受け取りは宅配便ですが、箱を開けて包装紙を取ると・・・ 指定していた以上の出来上がりです!すぐにご依頼者へ画像を送ります。さあ、ここからが再び当方の役割の作業です。


当然ながら、なんら問題なく防錆処理を済ませたフレームにパーツを組付けていき、完成です。タイヤはまだ使えそうな、交換して不要になったものを譲り受けて装着しました。サドルは換える必要がありますし、街中での使用にはスタンドも必要ですので、適当なサドルと使わなくなって置いておいたセンター式のスタンドを、小店からのサービスとして装着しました。



まさか、1マン円台程度で乗れるるように、と思っていたものがいろいろな方のご縁とご協力のおかげで、、まさかのオリジナルに近い状態へ再生する(=レストア)ということになってしまいました。当初からご依頼者がそう望んでいたわけでもなく、ショップが強く押し付けたものでもなく、まるで導かれるように、とタイミングと縁によって必然のようになった結果です。ご依頼者と使用される娘さんもこのことで改めてこのジテンシャ(フレーム)の価値を知ることになり、さらに愛着を持って今後も使用していただけることになったようですし、ジテンシャにとって、そして他界されてしまったビルダー氏にとって最善の結果に向かったのではないかと思わずにはいられません。不思議な、そしてジテンシャ整備に携わる者として価値ある「繋がり」の中に関わることができた素晴らしい体験となりました。感謝いたします。

参考費用
・フレーム塗装(フォーク含 剥離有) \30000~
・パーツ脱着組立調整 \25000~
*個別に状態により費用が変動します。お気軽にご相談ください。
 

少し前の世代の人にとってアイウエアのOAKLEYといえば代表的ない製品は「Mフレーム」だったと思います。「だった(過去形)」というのは製品自体は廃番になり、その消耗品である「交換レンズ」の供給も終了してしまいました。やはり少し前の人にとっては「それでもMフレームがよかったのに」と惜しむ方も多いでしょうが、仕方がありません。現行のさらに優れた?製品を使うしかありません。

一方、少し古い方だけでなく「Mフレームでなければ」という一部の需要があります。「工業用」といわれる使用用途につかう方々です。OAKLEYは優れたスポーツサングラスとしての評価が高いことでよくしられていますが、同時に米国では「ANSI(アメリカ工業規格)」に適合する「保護眼鏡」としての基準をクリアしています。そのことも含めてスポーツサングラスでも評価を得ているのですが、銘柄や流行としてではなく純粋に「機能」だけを評価する工業界でも高い評価を得ているのです。危険を伴う様々な職業の方の「保護具」としてのMフレームはそうした方々にとってはこれからもなくてはならないものです。医療、消防、警察、そして軍隊などでもそれは必要とされている重要な「道具」なのです。

(スポーツ用としては)廃盤となった「Mフレーム」ですが、実は「工業用」として製品は「存続」されています。しかし、多くの場合にファッション性を求められる眼鏡店、スポーツショップでこれらの製品が店頭に並べられることはありません。カラーの選択肢も(ほとんど)なく、レンズカラーも当然ながら限られています 。販売時には「化粧箱」すら付属してきません。

スポーツサイクルで、あるいはキャンプ、クラフト、スキーや自然の中で活動するスポーツをする際の保護機能の高いアイウエアをqtu費用とするオキドキライフスタイルではむしろこうした「工業用」製品の方が安心して使用できるケースも多いです。時速40㎞でロードバイクで走行中にクルマから飛んできた飛び石から目を護る方法は他にあるでしょうか、マウンテンバイクで、泥、埃、風邪、雨を避け得つつ、鋭い尖った木の枝から目を護る必要はあり、叩きつけられた顔面を岩角から護る機能は必要です。死が視線、ヴィルスの飛沫から目を護るためにはなにが必要でしょうか。草刈り、チェンソウ作業、薪割・・・ 常に目は危険にさらされています。
OAKLEY製品のスポーツ用途製品やライフスタイル製品の扱いは変わらず行っていますが、オキドキライフスタイルはこれまで保護具としてMフレームやRADARをお勧めしてきたのと同様に、この「工業規格(SI)シリーズ」のMフレームを強くお勧めしていきたいと思います。

Mフレームとの相違点
・レンズの厚みが増強されていて高強度
・ノーズピースの形状が変わり紛失しにくい構造
・フレームxレンズの装着方法が強固に改変された
以上にとり、レンズ、ノーズピース、フレームのMフレームとの互換性は「基本的には」ありません ケースバイケースの点もありますので個別にお問合せください。
・ヒンジ部の厚み、幅が増し、タイ衝撃強度が増強された
・イヤーステム(テンプル)の形状が「ヘルメット対応」となってヘルメットとの併用にフィットが
・イヤーソック(耳当て)ラバーが廃止され単独でのスポーツ用途でのフィットはMフレームに譲る
・レンズ内側に「アンチフォグ」が施され曇りにくい
・ANSI(米国、EN(欧州)、MIL(米軍)規格に準拠
など


多くの国内需要が見込まれるとは考えにくい製品ですので、この先いつまで入手が可能かは推測が難しいですが、できる限り製品を確保してご提供していきたいと考えています。今回の入荷数も少量ですが、ご興味のある方は、お早めにお申し出ください。「取り置き」「予約」も対応いたします。