こんにちは。

アレテーを求めて~

今日もトコトコ( ・ω・)

弁護士の岡本卓大です。

 

絶賛連載中の

神武征討記

今回は、外伝です( ・ω・)

 

 

※この外伝は、2024年2月17日に公開されたものです。

 

神武征討記外伝

月のように~近衛兵長カグヤツキヒメの物語

 

 

ストーリーテラーのアメノウズメでございます。

「一人ひとりが主人公」の『神武征討記』。

今回の外伝の主人公は、カグヤツキヒメです。

カグヤツキヒメ(統率84、武勇69、知力87、政治89、魅力90)は、

山城(京都府)出身。

出雲大社学宮(イズモタイシャマナビノミヤ)武将クラスの総合成績では

エツノケンシンに次ぐ次席。学業成績では主席で卒業しています。

現在は、オンガエシオツルとともに神武近衛兵団を近衛兵長としてまとめています。

 

 

カグヤツキヒメの両親は、早くに他界してしまい、カグヤツキヒメは祖父母に育てられます。

その祖父母もカグヤツキヒメが12歳になる頃には他界しており、カグヤツキヒメは天涯孤独の身となりました。

彼女が出雲大社学宮に入学することになる年の春から物語は始まります。

山城(京都府)現在の京都市にあった京都王宮前の広場に、高札が建てられておりました。

 

 

町民A「立札じゃのう。なんて書いてあるんだ?」

 

町民B「誰か読めるヤツおらんかのう。」

 

カグヤツキヒメ「『山城王子であるヤサカギオン様のお供をして、

天孫4世神武様のご学友となるべき者を市井の者からも募集する。

希望する者は、京都王宮にて試験を行う。』

と書いてあります。」

 

町民A「お嬢さん、すげえな!字が読めるのかい!?」

 

カグヤツキヒメ「はい。死んだ祖父母が学問だけはしておけと

勉強させてくれましたので。」

 

町民B「うひゃぁ!べっぴんさんなだけじゃなくて、

学問までしておるとはなぁ。」

 

カグヤツキヒメ「天孫4世神武様…そのご学友か…」

 

 

貧しいながらも学問だけはさせてもらえていたカグヤツキヒメは、

京都王宮で出雲大社学宮への入学希望者に対する試験を受験します。

そして、14人の合格者が発表され、カグヤツキヒメはトップの成績でした。

 

 

カグヤツキヒメ「合格できた…

でも、出雲(島根県)で各地の王族や神様の子孫と一緒に学ぶなんて、

私じゃ生活が持たないわね…

合格したけど、やっぱり無理かしらね。」

 

オンガエシオツル「ねえねえ!あなたトップ合格の

カグヤツキヒメさん?」

 

カグヤツキヒメ「はい。あなたは?」

 

オンガエシオツル「私は、オンガエシオツル。

他の13人の合格者は、みんな有力な豪族の子だけど、

あなた家族は?」

 

カグヤツキヒメ「家族はいません。祖父母に育てられましたが、

その祖父母も昨年相次いで亡くなりました。

合格はできたけど、学費や生活費が用意できそうにないので、

出雲大社学宮への入学はあきらめます…」

 

オンガエシオツル「そうなんだ…もったいないわね。

ねえ、知ってる?山城王子のヤサカギオン様も、一緒に試験を受けていたんだけど、

合格者の14人のうち、あなただけがヤサカギオン様より点数良かったみたいよ。」

 

カグヤツキヒメ「まあ、そうなの?」

 

オンガエシオツル「ヤサカギオン王子様は自分の引き立て役をたくさん用意したくて、

試験をやったみたいだけど、あなたにぼろ負けしちゃったってことね。ぷぷっ。」

 

ヤサカギオン「おい。俺は、そんなダサい男じゃないぜ。」

 

オンガエシオツル「げっ!ヤサカギオン王子様!

…おほほ。ごきげんうるわしゅう…」

 

ヤサカギオン「オツル。聞こえてたよ…

なあ、君。カグヤツキヒメと言ったよね?」

 

カグヤツキヒメ「は、はい!王子様!」

 

ヤサカギオン「君は成績トップ。家族もおらず経済的に苦しいのは聞いていた。

我が山城王家から返還不要の奨学金を出そう。

君も、一緒に出雲大社学宮へ行って、天孫4世様のご学友になろう。」

 

カグヤツキヒメ「えっ!奨学金を!?

よろしいのですか、王子様?」

 

ヤサカギオン「王子様でなく、ヤサカギオンでいい。

優秀な人が家庭の事情で進学できないなんて、イヤだからね。」

 

カグヤツキヒメ「ありがとうございます!ヤサカギオンさん!」

 

 

家族もいない天涯孤独のカグヤツキヒメでしたが、山城(京都府)王子であったヤサカギオンの好意により、

返還不要の奨学金を受け、ヤサカギオン、オンガエシオツルらとともに出雲大社学宮に入学しました。

出雲大社学宮入学式翌日のオモイカネの試験による成績発表が行われます。

 

 

オンガエシオツル「ねえ。ツキヒメ。どうだった?」

 

カグヤツキヒメ「4科目合計348点だったわ。」

 

オンガエシオツル「すごいわねぇ!私は312点。

また負けたわね。」

 

 

オモイカネにより成績上位者5名が発表されていく。

5位・オワリノブヒメ380点、4位・サルメノウズメ384点、

3位・トサノリョウマ392点。

 

 

オンガエシオツル「な、なに、この人たち!

どんな頭してるのよ!?」

 

カグヤツキヒメ「すごいわね…」

 

 

そして、オモイカネが同率2名の1位を発表しようとしたとき…

 

 

オモイカネ「では、あとは2位と1位だが・・・」

 

神武「オモイカネ先生!この発表やめようぜ!成績の悪かった人は、

イヤな思いするし、成績の良かった人は余計なやっかみうけることになる。

成績上位者発表なんて、良くねえと思う!」

 

オモイカネ「ほう。神武は、成績優秀者を発表するべきでないと?」

 

神武「テストの点数で事実上、上下関係ができちまう。それは良くないと思う。」

 

オモイカネ「なるほど。だが、発表しようがしまいが、どうせ誰が成績が良いかなど、

わかるぞ。自慢する者もおれば、できなかったとグチをこぼす者もいるだろうからな。」

 

神武「だからって、学校側が、わざわざみんなの前で発表するのはどうかと思う。

やめようぜ!」

 

 

神武様とオモイカネのやり取りを聞く生徒たち。

結局、神武様とチチブカネビメが満点の400点で1位だったことが発表される。

寮に戻ったカグヤツキヒメとオンガエシオツル。

 

 

オンガエシオツル「満点かぁ…神武様とチチブカネビメさんって、

頭いいってレベルじゃないわねぇ。

私たちとは、次元が違うわぁ…」

 

カグヤツキヒメ「すごいわね。でも、オモイカネ先生に向かって

堂々と意見した神武様。やっぱりすごい方ね。」

 

クルシマエヒメ「ああ~!リョウマ様~!

素敵すぎるわぁ~!」

 

カグヤツキヒメ「神武様とチチブカネビメさんが別格なだけで、

トサノリョウマさんも、すごい頭いいわね。」

 

クルシマエヒメ「でしょ!でしょ!

ああ~!リョウマ様~!」

 

オンガエシオツル「エヒメさんは、トサノリョウマさんのことしか

見えてないみたいね…」

 

カグヤツキヒメ「入学したばかりだけど、なんか見えちゃったわね。

チチブカネビメさん、サルメノウズメさん、オワリノブヒメさん、

それにトサノリョウマさん…

あの人達は、まるで太陽のように輝いている。

きっと、神武様をお支えするのはあの人達ね。」

 

オンガエシオツル「…でも、オオクニヌシ校長は、

一人ひとりが主人公なんだって、おっしゃられてたわ。

私たちだって、主人公になれるのよ。」

 

カグヤツキヒメ「一人ひとりが主人公…か。

まあ、私は、太陽に照らされて輝く月のように生きるのかな…?」

 

 

そして、それぞれの生徒たちに様々な青春ドラマを生みながら3年の月日が流れる。

出雲大社学宮武闘大会、スサノオチャレンジを経て、カグヤツキヒメ達は卒業の日を迎えます。

 

 

 

 

 

卒業式後、校舎の裏に呼び出されたカグヤツキヒメ…

 

 

カグヤツキヒメ「ヤサカギオンさん。どうしたの?

話があるって…」

 

ヤサカギオン「ツキヒメ。お前は俺のことをどう思う?」

 

カグヤツキヒメ「どう思うって?山城(京都府)の立派な王様に

なれる方だと思いますよ。」

 

ヤサカギオン「い、いや、そうじゃなくて…

その、つまり…男としてどう思う?」

 

カグヤツキヒメ「?」

 

ヤサカギオン「ツキヒメ!お前が好きだ!

俺と付き合ってくれ!」

 

カグヤツキヒメ「えっ!?」

 

ヤサカギオン「ダメか…?」

 

カグヤツキヒメ「えっ…あ、あの…

そんな…考えてもみなかったわ…」

 

ヤサカギオン「答えは急がない!

考えてみてくれ!じゃあ!」

 

 

カグヤツキヒメとヤサカギオンは、同じ山城(京都府)へ帰ります。

多くの家臣に迎えられ帰っていく王族のヤサカギオン。

カグヤツキヒメはオンガエシオツルらと徒歩で出雲(島根県)から山城(京都府)に向かいます。

その旅の途中。

 

 

オンガエシオツル「ツキヒメ?なんかあった?

いつもと感じちがうよ。」

 

カグヤツキヒメ「えっ!?…そうかしら?」

 

オンガエシオツル「なんか悩んでるね?

親友の私に相談してみなよ。」

 

カグヤツキヒメ「実は…ヤサカギオンさんに

付き合ってほしいって、言われたの。」

 

オンガエシオツル「へぇ。ヤサカギオンさんは、

山城(京都府)の王子様。次期王様よ。

玉の輿じゃない。

で?あんたは、ヤサカギオンのこと好きなの?」

 

カグヤツキヒメ「良い人だとは思ってるの…

でも、男女として付き合うとか…

私、考えたことなくて…」

 

オンガエシオツル「ああ~、でも、どうかしら?

ヤサカギオンさんって、天津神の子孫なのよね。

山城王家って、血筋にすごくうるさいらしいから、

ヤサカギオンさんが好きだって言ってくれても、

山城王家は嫁として迎えてくれないかも。」

 

カグヤツキヒメ「私は、親もいない何の後ろ盾も無い身。

山城王家の王妃なんて、とてもなれないわ…」

 

オンガエシオツル「一人ひとりが主人公。

人間は誰もが平等で尊い。

オオクニヌシ校長はそう教えてくださったし、

それが正しいと思うんだけど、

世の中の人って、必ずしもそう考えてる人ばかりじゃないものねぇ。

特に、王族とか、いわゆるお偉い方たちはさぁ。」

 

カグヤツキヒメ「私は月…自分で光を放つことは無く、

太陽の光に照らされる存在…

私の意思ではなく、流れに身を任せてみるかな…」

 

 

山城(京都府)に戻ったカグヤツキヒメはヤサカギオンと交際を始めます。

しかし、血筋、家柄にうるさい山城王家では、天涯孤独で何の後ろ盾も無い

カグヤツキヒメが王子であるヤサカギオンと交際することに猛反対します。

それでも、人知れず愛をはぐくむ若い二人…

二人が18歳の年、カグヤツキヒメはヤサカギオンの子を産みます。

後に、新制・出雲大社学宮一期生として神武軍参謀本部に入ることになる

ギオンマツリです。

ヤサカギオンは、子が生まれたことを機に山城王家の一族を説得。

カグヤツキヒメは、いったんは妃として山城王家に迎えられます。

しかし…

 

 

ヤサカギオン「離婚したい?どうしてだ!?

ツキヒメ!」

 

カグヤツキヒメ「ギオンさん。山城王家の方たちと暮らすことは、

親もいない平民の私には、あまりにも辛いものでした。

どうか、私を山城王家から自由にしてください…」

 

ヤサカギオン「母上や、妹達がお前をいじめたのか?

俺が怒鳴り込んでやる!」

 

カグヤツキヒメ「ダメよ!あなたはこの山城(京都府)の王になる人!

有力豪族たちに支持された山城王家の一族の方たちと争ってはいけない!」

 

ヤサカギオン「ギオンマツリは、俺たちの息子はどうする!?」

 

カグヤツキヒメ「私と一緒に王家を出ても、まともに生活していけるかどうかも

わかりません。

どうか、ギオンマツリのことは、山城王家のみなさまで育ててあげてください…

うっ…うう…」

 

 

我が子ギオンマツリと別れ、夫ヤサカギオンと離婚するカグヤツキヒメ。

やがて、月日は流れ、ヤサカギオンは山城(京都府)の王になります。

しかし、カグヤツキヒメが28歳の年。

山城(京都府)は、大和十二神将クロウノウシワカの侵攻を受けます。

 

 

ヤサカギオン「あ、ありえない・・・

こ、こんな・・・ありえない・・・」

 

カグヤツキヒメ「ヤサカギオンさん!逃げましょう!

神武様の下へ逃れて、再起を図ります!

王であるあなたが死んではダメよ!」

 

オンガエシオツル「兵のみな!すまぬ!

ヤサカギオン王の撤退のために、壁となってくれ!」

 

イッスンボウ「みんな!生きてるか!?逃げるぞ!」

 

シタキリノスズメ「しっかりして、逃げるわよ!神武様の下へ!」

 

 

1万もの将兵を一人で虐殺していくクロウノウシワカ。

栄華を誇ったヤサカギオンの山城王家は、クロウノウシワカにより一夜にして滅んだ…

なんとか逃げ延びたカグヤツキヒメらは、筑紫(福岡県)に政庁を移していた神武様のもとへ。

 

 

神武「いろいろあったみたいだね。ツキヒメ( ・ω・)」

 

カグヤツキヒメ「はい。公私ともに…」

 

神武「実はな、俺直属の部隊創設を計画しているんだ。

名は、そうだな…神武近衛兵団。」

 

カグヤツキヒメ「神武近衛兵団?」

 

神武「山城(京都府)から避難してきた

お前たち、出雲大社学宮武将クラス出身の14人を

そのメンバーにしたいと思っている。

そのまとめ役である近衛兵長…

お前とオンガエシオツルの二人にやってもらえないかな( ・ω・)?」

 

カグヤツキヒメ「神武様の直属部隊の兵長を私がですか?」

 

神武「人には向き不向きがある。

この役は、カネビメやウズメ、ノブヒメにはできん。

俺の手足となって動く、神武近衛兵団。

そのまとめ役として、俺を助けてくれ( ・ω・)」

 

カグヤツキヒメ「私は月…太陽である神武様のもと、

自らも輝きたいと思います。

神武近衛兵団近衛兵長!

このカグヤツキヒメ、身命を賭してお務めさせていただきます!」

 

 

月は自ら光は放たずとも、

太陽の光を受けて夜空に光り輝く。

神武あるところに神武近衛兵団あり。

神武近衛兵団・近衛兵長カグヤツキヒメは、

この後、常に神武様に付き従い、神武様の手足として様々な活動を行っていくことになる。