この本について、どこから話したらいいだろう。

 

まず、装丁がかわいい。←そこか!?そこなのか!?

 

 

 

これね、見にくいかもしれないんですけど。

刺繍なんですよ、絵じゃなくて。

それが、かわいい。

タイトルと作者の名前、それも刺繍(チェーンステッチ)なんですよ?

くぅ……かわいい♡

 

あ。
写真を撮ればいいのね。
すみません、ちょっと億劫がりましたけど。
撮ります、撮りました。

ハイ、これが表紙!

 
 
 
 

分かります?

刺繍なんですよ~。かわいい。←しつこい。

 

 

すみません、本題に入ろう。

 

 

さて、この本、目次はこのようになっていまして。

 

1 女の子たち 1990年10歳

2 アイラブユー、フォーエバー 1994年14歳

3 写ルンですとプリクラの青春 1998年18歳

4 白いワンピース殺人事件 2000年20歳

5 ある少女の死 2005年25歳

6 あなたは三十歳になる 2010年30歳

7 エルサ、フュリオサ 2014年34歳

8 会話とつぶやき 2020年40歳

 

これね、視点がね、同じ人ではなくて、順ぐり代わって行くパターンのやつ。

(こういうオムニバスって言うんですか?そういうやつ、ほんとに好き)

 

目次1の「女の子たち」で出てきた人が、目次2「アイラブユー、フォーエバー」の主人公になる、みたいな感じでリレーしていくような感じなんですよね。

 

それで、10歳から始まるんだけど、とにかく懐かしい。

 

「うちのタマ知りませんか」、とか、「みんなのたあ坊」、とか出てくるんです。

 

懐かし過ぎる!懐かし過ぎて、少女の頃のときめきが蘇ります。

 

そのあともずっと、時代と共に登場したもの、熱狂したもの、そんなものが次から次から出てくる。

 

2020年に40歳だから、2022年現在42歳の人にはドンピシャ。

 

私はもう少し年上なので。

 

プリクラ、セブンティーン、ジュディマリのYUKIちゃんみたいにおしゃれに、とか、トレインスポッティングや恋する惑星、猿岩石、椎名林檎、あるいは椎名林檎をいかに情念深く歌うこと(笑)とか。

 

懐かしい!

 

みんなやったよね!?椎名林檎を見よう見まねの拙い巻き舌で歌ったよね!?

 

 

そして、子供時代の女の子同士の難しさとか、関わり、それもまた懐かしい。

 

目次が進んでも、ずっとそういう女の子同士の難しさとか関わりの話だったりもして。

 

小、中、高って、それが全て、みたいなとこあるじゃないですか。

 

そういう友達との関わりを、時代背景も交えながら、少女たちが大人になっていくんですよね、少しずつ。

 

友達ってなんだろう、親友ってなんだろう、心の中のこと、どこまで話していいもの?

 

あるいは、恋心とか、羨望とか、嫉妬とか。

 

まだ自分の輪郭がぼんやりして、自分でも自分のつかみどころがない10代の少女たちの迷いや悩み。

 

それが20代になって、今度はどんどん人生が自分に刺さってくるようになって。

 

人生が刺さってくる、というか、考えずにはいられなくなっていく、というか。

 

ちゃんと、大人になっていく過程、みたいな。

 

主人公(視点)は同じ人ではないのだけど。

 

この同じ人ではない、というところもまた良くて。

 

いろんなタイプの女の子が出てくるから、そこもまたすごく良い。

 

多分、この物語の中のどこかに自分をみつけることができるんじゃないかと思う……し、自分ではない誰かの話、としても、同じ女性同士、共感できるところがすごくあると思う。

 

それをね、それらを全部、最後の目次8「会話とつぶやき」で、全部、回収する感じがするんですよ。

 

最後は本当に、刺さり過ぎて、なんなら少し泣けるくらい。

 

社会問題に、今の女性の現実に、リアルに切り込んでるから。

 

そう、そうなの、女はみんな、この世界で生きてきたよね、私たちはこの差別にさらされてきたよねって、こんなの、次の世代の女の子に渡しちゃダメだよねって思って涙が出ました。

 

女の子同士の友情と青春の物語であり、女性の生き方を考える物語であり、それを未来にどう繋げていくのかっていうことを問われる物語でもある、かなぁ。

 

「私たちって交換可能な部品みたい」

「家族ほど排他的な集団はないのに」

「女ってあっという間に歳をとる」

「みんな可哀想だ。私たちみんな可哀想」

「男の落ち度をフォローする感性ばかり磨いてきたせいで、なんでも男に都合がいいふうに受け取ってしまう」

「たぶん男の人は、私たちが思っているほど、深くも優しくもない。愛情にまつわる解像度が低い」

「結婚の決定権が自分にあることを知ってる男は怖い」

「だけどそれを、二十代の女が嗅ぎ分けることは不可能だ」

 

これらは全部、最後の目次8「会話とつぶやき」の中に出てくる言葉。

 

正直、私は頷いてばかりでした。

 

そして、すごく冷静に分析している感じがするけど、どこかですごく優しさも感じてしまう。

 

女性はきっと、どれだけ冷静に言葉を言い放っても、どれだけ合理的なことを言ってみても、どれだけ現実しか見てなくても、どこかに優しさがあるって思う。

 

どうしてかって。

 

それはやっぱり、虐げられてきたから。

力でねじふせられてきたから。

痛みが分かるからじゃないかって思う。

弱いものは、生き残るために工夫を、ただ生きるための工夫をずっと、ずっと、考え続けてきたと思うから。

 

この本は。

すべての女性に、おすすめしたい。

 

読みながら、少女たちと一緒に大人になっていくような感覚になったり、自分の少女時代から大人になるまでを思い返したり、できるんじゃないかなって、思います。

 

そしてもう、最後の目次の「会話とつぶやき」が。

 

すごくいいから!

 

そうか、こうやって私たちは差別されてきたんだってことを、実感できるんじゃないかと思う。

 

そのことに気づいていなかった人も。

 

そうか、あれは差別だったのか、って。

(世の中で巧妙に隠されていることだとも思うから)

 

「女じゃなくて、人になること」って言葉が出てくるんですけど。

 

人になる、人になりたい、という勇気をもらえるかもしれません。

 

みんなで人になろう?なれるよ、きっと。って、手を差し伸べられた気がしました。