大好きな稲垣えみ子さんのピアノ再開エッセイ。


再開たって、子どものころ以来なんと40年ぶり!しかしその間に社会は変わり、ピアノ業界も変わった。ピアノ教室とは、稲垣さんの子どもの頃のような、「ツラい、厳しい、行きたくない」という場所ではなくなっていた。まず生徒(子ども)が減ってるから、先生がやさしい!(笑)さらに行きつけのカフェにピアノが置いてあり、さらにさらに、そこで出会ったピアノ雑誌のえらい人に「なんか書きませんか」と言われ、ピアノ再開体験記を書くことに。何の因果か40年ぶりに追い風吹きまくり(笑)。


しかし子どものころの柔軟性や記憶力や視力や体力は失われ、まさに悪戦苦闘、七転八倒。あまりにも上達しない。そして老いたる体は、ちょっと練習したらすぐ痛む。そもそもなんでピアノ弾いてるんだっけ…?そんなにまでしてピアノを弾きたい自分とは…?ここから自分との対話になっていく。そしてたどり着く人生賛歌。


「成功も失敗もない。上も下もない。どんなに凡庸な人間でも、自分の心の中のどこかに隠れていた美しいものに、自分の手で火をつけることができる」


結局、40年ぶりにピアノを再開するということは、減っていくばかりと思っていた人生に、燦然ときらめきだした希望だったのです!!


「私はあとどのくらい生きられるのか? どのくらいピアノが弾けるのか?」


「『先』がないのが人生後半戦なのである。~中略~先ではなくて、『今ここ』に集中するのだ」


そして一曲でもなく、一ページでもなく、一小節でもなく、たったひとつだけ、和音を美しく響かせることができたときの素直な喜び。これは、たしかに、上達していくだけの子どもの頃にはなかった感動かもしれない。


っていうとキラキラ老後ライフみたいだけど、そこは稲垣さん。グレングールドにハマって、グレングールドっぽく崩して弾いて先生に怒られたりとか(笑)、あまりにも細かく注意されるので心のなかで先生にイラついたりとか(笑)、そういうとこまでちゃんと書くの。超面白いんですけど!!


これ親に読ませようと思う(笑)。


 

 

 

 

●稲垣えみ子さんの本(隠居の本棚より)


・『魂の退社


・『人生はどこでもドア


・『寂しい生活


・『もうレシピ本はいらない


・『家事か地獄か


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