大好きな稲垣えみ子さんの家事にまつわるエッセイ。

恐ろしいタイトルの見かけによらず、最期まで自分の足ですっくと立つために、全国民をなんともさわやかに励ます内容の本。

50歳で会社をやめ、給料がなくなるという差し迫った理由から小さな部屋へ引っ越し、断捨離し、まさかのトイレブラシまで捨てた稲垣さん。その結果、モノが少ないので煩雑だった家事が思わぬ簡略化を遂げ、予想に反して家事が圧倒的にラクに。するとどうでしょう、老いたる我が身でも、小さな家で自分のことを自分でする暮らしによって、それはもう毎日、自己重要感が積み重なっていくのです。

「家事とは人生について回る悪夢でもなんでもなく、『自分の自分に対するおもてなし』だったんじゃ?」

「家事とは自分で自分の機嫌を取ること。自分を大切にすること。世界中の誰も自分を認めてくれなくたって、自分だけは自分をちゃんと認めることができるのだと確認することだ。」

この発想の大転換。

そうなんだよ、「家事」って本来こんなにシンプルなことで、それを大変にしていたのは現代人が求める「よりよい生活」だったんですよね。っていうか、資本主義が人々に商品を買わせるためにちらつかせていた「よりよい生活」って言ったほうがいいか。

私は小さなワンルームに住んだことしかないけど、そうすると、そんなに便利な家事グッズ、たくさん必要ないんですよ。置く場所ないし(笑)。だから掃除なんか一瞬で終わるし、料理もコンロがひとつしかないから簡単なモノしかできない。そして、自分でできるということの、味わい深い達成感…。

で、あったればこそ!ウチの父に言いたい、あんた何で家事しないの?(笑)いやもう、家事をしないすべてのオッサン(いやオッサンとは限らんか)に読ませたい!人生の終盤、誰も自分を必要としなくなったとき、自分で自分を必要とすることが、どれだけ自分を励ますものかを!

自分を必要とすることを、周りに押し付けてきた人がたどる末路を、家事をするだけで回避できるなら、やらない理由はないでしょう。それをやらないなら地獄が待ってるだけ。あ、タイトル通り、やっぱり恐ろしい本かも(笑)。


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