『夜のこと』

phaさんの私小説。

ずっと思っていた、phaさんは小説を書かれるとよいのではないかと。でもこれはちょっと、予想を裏切る内容だった。phaさんがいままで出会い、セックスしたりしなかったりした女の子たちとのことを書いた短編集。

でも読んでいくうちにわかる、もう変な棒を変な穴に入れることとか、それをみんなが目指すべきゴールに問答無用で設定してくるこの世界にまつわる全部がだるいんだよっていうの、アラサー過ぎてからぐっと増す共感…。もうさー、これは世論ってことでいいんじゃないですか？(笑)

で、いろんな女の子たちを（文字通り）股にかけ、結局phaさんがいちばん好きなのは「眠っている女の子」、その次が「セックスをしているときの女の子」。でもここに出てくる女の子たちがいちばんきらきらするのは、眠ってもいなくて、セックスもしてないときの、何気ないひとことやしぐさだったりして、そのときにこの小説がどくどくと拍動するのがいい。

私もこれから、「セックスするかもしれない」という予感や、「してもいいよ」と言ってもらえただけで得られる達成感を大事にしながら生きていくようになるんだろうなぁ。

もし次に小説を書くのなら、phaさんが出会った「生き残れなかった人たち」のことが読みたいと思う。