「TIME」Louis Cole
ビーチ・ボーイズ、ブライアン・ウィルソン、マイケル・ジャクソン、アース・ウインド&ファイア、プリンス、ジェームス・ブレイク、ベック・・・。ルイス・コールを紹介する際に音楽メディアで引き合いに出されるアーティストたちの名前を並べてみても、ルイス・コールというシンガーソングライター/コンポーザー/ドラマーの全貌を想像するのは難しいだろう。しかし、ひとたび彼のアルバムに耳を通した人なら、そのような比喩も決して大袈裟ではなく、ルイス・コールというアーティストの確信を付いていると思うはずだ。
昨年高い評価を受けたサンダーキャットの『DRUNK』にも曲を提供するなど、LAを拠点にドラマーでありながら、コンポーザーとしても活躍するルイス・コールが、設立10周年の<Brainfeeder>からリリースしたサードアルバムの『TIME』は、過去2作を超える傑作アルバムとして我々の元へと届けられることとなった。
まず、1曲目の「Weird Part of The Night」。ブリープ音が炸裂するエレクトリックファンクに驚かされた。そこに乗ってくるのがマシニックなマイケル・ジャクソンばりの歌唱法で、ルイス・コールの新境地といえるのではないか。先行シングルとなった②「When You're Ugly」は、ルイス・コール自身のユニットであるノウワーのジェネヴィーヴ・アルターディをボーカルに迎えた楽曲だがややおとなしめの仕上がり。続く、③「Everytime」、④「Phone」は、過去2枚のアルバムでも聴けるように、ビーチ・ボーイズやソフトロック、A&Mサウンドなどの肥沃なバックグラウンドを感じさせるナンバーだ。
そして、白眉ともいえるのが表題曲の⑤「Real Life」である。①「Weird Part of The Night」と同様にアップテンポなファンクだが、ピアニストのブラッド・メルドーがゲスト参加し、ピアノソロを披露している。⑦「Tunnels In The Air 」にはサンダーキャットがボーカルで参加しているが、願わくばベーシストとして参加し、ブラッド・メルドーのように弾きまくって欲しかった。
後半がやや尻すぼみなのが残念ではあるが、ブライアン・ウィルソンにも勝るとも劣らない高いソングライティング能力の一端を垣間見せるソフトロックナンバー⑬「Things」も悪くない。
いずれにしても、近年、これほどまでにメロディ展開も含めてマイケル・ジャクソンを彷彿とさせる歌声に出会ったことはなく、そのことだけでも大きな収穫なのだが、ライブ映像やノウワーのPVで見られる演奏家としてのドラムプレイも捨て難く、今後の展開が楽しみだ。





