Future Cafe

Future Cafe

音楽レビューのようなもの〜TECHNO、JAZZ、BREAKBEATS etc

 

 

 ME:I(ミー・アイ)のプロモーションEPを聴いた。①「Click」、②「Suger Bomb」など、5つ打ちハウスとも称されるべきポリリズミックなビートに,多声ボーカルが乗るそのサウンドは、まるで韓国のガールズグループのニュージーンズのようだ。

 ME:Iは、JO1、INIを生ん展日本最大級のサバイバルオーディション番組のガールズ版「PRODUCE 101 THE GIRLS」によって選ばれた11人組ガールズグループ。韓流のパクりといえばその通りだろが、どうしても抗うことのできない時代のすう勢というものがあって、それがアマルガムとなってムーブメントを作り出して行くのだ。音楽の韓流化もそうしたうした動きのひとつである。

 

 

 

 

 とはいえ、こうしたムーブメントはニュージーンズからはじまった わけではない。ジャージークラブというのだが、ジャズとは関係なく、90年代ニュー-ジャージー州ボルチモアではじまったらしい。DJ Tameilが聴衆を躍らせるため、ハウスのBPMを上げ、複雑なドラムパターンを重ね合わうせのが大うけしたのが契機だという。

無数のストリージュークサウンドを背景にしつつ、ブリアルなどの2テップが生まれていった現象が思い出されるが、リバイバル         いうのが今日的だ。ポストニュージーンズという視点でとらえれば、ILLIの「Magnetic」が注目だ。また、ル・セラフィム「Eve,Psyche & Bluebea’s Wife」など、メインストリームからもジャージークラブを伺う動きも出てきた。

 大バズリしたクリーピー・ナッツ「Bling-BangーBang-Born」」もジャージークラブをベースにしているのはよく知られている。

 

 

 

 今年リリースされたスクエアプッシャー「ランドゥーラン」

はなかなの力作だったがなんと、テクノではなくBPM早めのトリッキーなハウス。 長い外出禁止期間を終えて、人々はパーティサウンドを欲している。

 

 

 

「Y'Y」AMARO FEITAS


 

 本作のリーダー、アマーロ・フレイタスはまるでパーカッションのようにピアノを演奏する。時に激しく、時に穏やかに、そして時にリリカルにと、その手数は決して少なくない。個人的には、『Sankota』(2021)で聴くことのできるスタイリッシュ&

スモーキーなプレイスタイルもECMっぽくて好きなのだが、本作の方が、より実験的でエッジが効いている。全体的にはアンビエントな雰囲気のアルバムで、ジャズというより環境音楽に近いといえるだろう。④「Danca dos Martelos 」では、ミニマルな音列を揺さぶるかのごときダイナミックな低音がエモーショナルに鼓膜を震わせる。③「Viva Nana」⑥「Y’Y」などではマーチン・デニーのジャングルサウンドの原型に出会える。ブラジルの沿岸都市レシーフ出身の彼はルーツを辿りつつ、独自の道を切り拓いている。本作では、ポストロックを代表するジェフ・パーカーや気鋭のハープ奏者ブランディー・ヤンガー、サウスロンドンのサックス奏者、シャバカ・ハッチンングスの参加もトピックスとなるだろう。ジェフ・パーカーをフィーチャーした⑦「Mar de Ciandeiras」は西海岸の新世代フュージョンのような作品。キース・ジャレットさながらのアブストラクトな音像が魅力だ。ブランデー・ヤンガーと共演した⑧「Gloriosa」はアリス・コルトレーンよりもクリアで解像度が高いところが現代のスピリチュアルジャズならではといえるだろう。アルバムの白眉となるのは、シャバカ・ハッチンングスのサックスが、緊張感を演出する⑨「Encantados」。高速グループを取り入れた、下手をすればアルバムとして統一感を損ないかねないナンバーだが、〈ブラジル〉と〈英国〉というジャズにとっての辺境(欧州におけるジャズの中心はパリだ)がつながっただけでも価値あるこころみといえるだろう。

 

 

 

「推しのキミに恋をした」SAI²Rium

 

 

「推しの子」の実写化が決まった。宇佐見りんが「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞したのはいつのことか。とにかく世をあげての推しブームなのである。そんな折、気になるタイトルの一曲が、目に飛び込んできた。「推しのキtミに恋をした」。早とちりしたわたしは、きっとファンを好きになってしまったたアイドルのことを唄った秋元康が好きそうな禁断のラブソングに違いないと思い込んでしまった。ふたを開けてみれば何のことはない、サイリウムを振る側、つまりファンの気持ちを唄った凡庸な応援ソングだった。しかし、実際に聴いてみると凡庸の一言で片付けるのはもったいないくらいの良曲だった。サビのスローからはじまる出だしやロック調のAメロなどオーソドックスながら、歌謡曲の王道とも言えるもので、楽曲派にはぜひ推したい。

 

 

「New Horizons A Bristl Jazz Sound」V.A.

 

 

 マッシヴ・アタックやポーティス・へッドといったトリップ・ホップの代名詞的アーティストを生み出した英国の港湾都市ブリストルからじつに魅力的なジャズ・コンピが届いた。南ロンドンのジャズともウエストコーストの新世代ジャズともひと味違う独創性にあふれたアルバムだ。収録されたトラックを手掛けるのは必ずしもブリストルのクリエイターというわけではなく、ブリストルの音楽集団〈ワーム・ディスコ・クラブ〉がパーティのためにキュレーターとなって、全英からよりすぐったジャズによって構成されている。

 ブリストルといえばダブが有名だが、カリブ諸国からイギリスへの移住が始まった1950年代から60年代にかけて、移住先であるUKでコミュニティーをつないだのがダブの発明に寄与したサウンド・システムだったという。とりわけ最先端のサウンドシステムを擁したブリストルのジャマイカン・コミュニティは、大きく発展を遂げた。1970年代も終盤、ダブがポピュラーなものとなり、、ギター中心だったポップミュージックが電子音と融合してクラブミュージックに接近していく。そして、その過程において、ジャマイカのカルチャーにインスパイアされたポストパンク、レゲエ、ファンクのバンドが、サウンドシステムを応用してて様々なパフォマーンスをするようになる。

 前述のマッシヴ・アタック、ポーティス・ヘッドに加え、スミス&マイティ、トリッキー、ポップ・グループはブリストルだからこそ生まれ得た才能といえるだろう。本アルバムにコンパイルされたジャズ作品にもまた大胆なエフェクトが施ぐされており、キングクリムゾンなどのプログレッシブロックやカンタベリージャズ、テクノの影響を呑み込みながら、ジャズ界に新風をもたらしている。

 

 

 

 

 

 

「RAINBOW CHRISTMAS」Rany。

 

 
今年のクリスマスは、これで決まり!
 
といっても、あと残り数時間だけど・・・