New Horizons A Bristl Jazz Sound~ブリストルジャズの夜明け | Future Cafe

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「New Horizons A Bristl Jazz Sound」V.A.

 

 

 マッシヴ・アタックやポーティス・へッドといったトリップ・ホップの代名詞的アーティストを生み出した英国の港湾都市ブリストルからじつに魅力的なジャズ・コンピが届いた。南ロンドンのジャズともウエストコーストの新世代ジャズともひと味違う独創性にあふれたアルバムだ。収録されたトラックを手掛けるのは必ずしもブリストルのクリエイターというわけではなく、ブリストルの音楽集団〈ワーム・ディスコ・クラブ〉がパーティのためにキュレーターとなって、全英からよりすぐったジャズによって構成されている。

 ブリストルといえばダブが有名だが、カリブ諸国からイギリスへの移住が始まった1950年代から60年代にかけて、移住先であるUKでコミュニティーをつないだのがダブの発明に寄与したサウンド・システムだったという。とりわけ最先端のサウンドシステムを擁したブリストルのジャマイカン・コミュニティは、大きく発展を遂げた。1970年代も終盤、ダブがポピュラーなものとなり、、ギター中心だったポップミュージックが電子音と融合してクラブミュージックに接近していく。そして、その過程において、ジャマイカのカルチャーにインスパイアされたポストパンク、レゲエ、ファンクのバンドが、サウンドシステムを応用してて様々なパフォマーンスをするようになる。

 前述のマッシヴ・アタック、ポーティス・ヘッドに加え、スミス&マイティ、トリッキー、ポップ・グループはブリストルだからこそ生まれ得た才能といえるだろう。本アルバムにコンパイルされたジャズ作品にもまた大胆なエフェクトが施ぐされており、キングクリムゾンなどのプログレッシブロックやカンタベリージャズ、テクノの影響を呑み込みながら、ジャズ界に新風をもたらしている。