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Future Cafe

音楽レビューのようなもの〜TECHNO、JAZZ、BREAKBEATS etc

「SCARING THE HOES」JPEGMAfIA&dDANNY BROWN

 

    

 予めことわっておくと、本アルバムがリリースされたのは昨年であり、新譜として紹介するにはあまりにも時がたち過ぎている。しかし、YOUTUBEやtikToknに見られる初動の早さ反比例するかのようにの3年前の曲が100位以内にランキングし続けることも決して少なくなくなった今、1年間のタイムラグなど誤差の範囲内といってもいいのではないか。

 メリーランド州ボルチモア出身のラッパー兼プロデューサーのジェイペグマフィアと、ミシガン州デトロイト出身のラッパーであるダニー・ブラウンによるコラボレーションとなるのが本作である。

 ジェイペグマフィアが拳銃と聖書を掲げている姿を描いたB級映画のポスター風アートワークは、アクション映画「Sweet Jesus,Preachermtt an」(1973)へのオマ―ジュらしいのだが。そのキッチュな感覚は本作にもああらわれている。一聴するとヒップホップだが、テクノやエレクトロからの影響が強く,アートワークのイメージで軽く手を出すとやけどをするだろう。

    冒頭の①「Lean Beef Pary」や②「Step Pig」、③「Scaring the Hoes」を聴くだけでも、このアルバムがテクノの領域に足を踏み入れていることに気づかされる。日本語サプリングから始まる④「Garbage Pale Kids」ではまつりばやしのような掛け声とディストーションギターの絡みがっとてつもなく格好よくプログレッシブヒップホップと形容したくなるほどだ。

 ③「Scring the hies」、⑪「Run the jewels」、⑫あらあああ「Jack Harlow combo Meal」など、ジャズを取り入れた作品は知的なセンスを感じさせる。

 しかしながら、アルバム最大の謎は別のところにある。8曲目に配された「Orange Juic Jonse」がそれだ。オランジュース・ジョン―ズとは、ご存知の方も多いと思うが、シルキーなファルセットボイスに特徴のあるシンガーで、RAN-DMCが「Walk This Way」を大ヒットさせてヒップホップをポピュラーなものにした1980年代の終わりにデビューした。打ち込みを多用したその音楽はヒップホップよりもヒップホップらしかった。余談になるが、「レイン」は「ロンリーチャップリン」とそっくりだ。ネタなのか、リスペクトなのか、、定かではないがJdilla以降のヒップホップへのカウンターになっている。本作にはケンドリックラマーと同じ山を別のルートからのぼろうとするようなところがあるが、それにしては短すぎるのが難点だ。

 

 

 

 

 

 

1978/JOSE JAMES

 

 ジャズ、クラブジャズ、ソウル、ダブステップ、ヒップホップ、オルタナティヴ、ネオソウルなど、ホセの足跡は多岐にわたる。しかし、そうした傾向も最近ではソウルへと次第に収斂されてきえた印象だ。

 アルバムタイトルの『1978』とはホセ自身が生まれた年であり、この頃になるとアーバンソウルが主流になり、マービン・ゲイ、ビル・ウィザーズ、ジョニー・ブリストル、ダニー・ハサウェイ、リロイ・ハトソン、リオン・ウェア、スティービー・ワンダーなどのゲームチェンジャーたちがこぞって現れて歴史を書き換えている。

 さらに、キャロル・キングやロータリー・コネクション等、ロック・フォーク畑からのアプローチも見逃せない.そうした勢力はソウルと混然一体となって、独自の空気を醸成していった。

マービン・ゲイの名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」を思わせる①「レッツ・ゲット・イット」や②「シリウス&オシリス」、風変わりなAORといった趣の③「プラネット・ナイン」など冒頭の数曲を耳にしただけで、このアルバムがソウルのルーツ回帰ではなく、自身の原点回帰であり、自らを形成してきた音楽と向かい合うものであることがわかる。

 あの頃の気分を、時代の空気ごパッケージして届けたい。そうした思いはフォーキーな女性ボ-カルを迎えた⑦「プレイス・オブ・ワーシップ」、ラテンパーカッションを導入した⑨「38th&シカゴ」にも反映されている。

 

 

 

 

 

 

Fearless Movement/KAMASI WASINGTON

 

 

〈Brainfeeder〉からリリースされたデビュー作の『The Epic』(2015)、移籍先の〈Young〉からリリースされた『Heaven & Earth』(2018)に続く、新作『Fearless Movemen』が届いた。カマシワシントンといえばコンセプチュアルアルバムのイメー ジが強いが、本作はトライバルな楽曲からコンテンポラリーなスローバラード、ファンカデリックやパーラメントをリスペクトしたPファンク、ダイナミックなドラムンベースまで、バラエティ豊かなトラックがランダムに並ぶ傑作だ。

 とは言っても、喧騒から静寂へと至る全体的ナ展開や締めのプロローグの存在など、アルバム単位でも十分に楽しめる内容になっている。アートワークからして、ルーツや自然、地球をモチーフにした壮大な世界観を体現した従来作と対照的に未来感を感じさせてくれるが、音楽的にもノスタルジーと近未来のバランスが見て取れる。

 カマシ自身、本作のことをダンスアルバムと語っている。もちろん、いささか韜晦気味のこうした言葉を鵜呑みにするわけにはいかない、しかしながらカマシの真骨頂であるコルトレーンが憑依したかのごとき①「Lesanu」、サンダーキャットによる猥雑なベースとラップが強列な②「Asha the  First」、御大ジョージクリントンを迎えた珍しいファンキートラック⑤「Get Lit」、ユニゾン風の出だしが楽しいg⑧「The girden pat]などを効いてみる限りでは、あながち韜晦とは言い切れない。

 前にも書いたかもしれないが、カマシの本質はスピリチュアルなところにあるのでなはい。スピリチュアルな意匠の裏側に隠されたポップの魔術師としての顔である。騙されてはいけない。カマシはスピリチュアルの皮を被ったイリュージョンニストなのだ。とりわけ本作は未来志向であり、ヒップホップなどにも近いい。

 

 

 

 

 ME:I(ミー・アイ)のプロモーションEPを聴いた。①「Click」、②「Suger Bomb」など、5つ打ちハウスとも称されるべきポリリズミックなビートに,多声ボーカルが乗るそのサウンドは、まるで韓国のガールズグループのニュージーンズのようだ。

 ME:Iは、JO1、INIを生ん展日本最大級のサバイバルオーディション番組のガールズ版「PRODUCE 101 THE GIRLS」によって選ばれた11人組ガールズグループ。韓流のパクりといえばその通りだろが、どうしても抗うことのできない時代のすう勢というものがあって、それがアマルガムとなってムーブメントを作り出して行くのだ。音楽の韓流化もそうしたうした動きのひとつである。

 

 

 

 

 とはいえ、こうしたムーブメントはニュージーンズからはじまった わけではない。ジャージークラブというのだが、ジャズとは関係なく、90年代ニュー-ジャージー州ボルチモアではじまったらしい。DJ Tameilが聴衆を躍らせるため、ハウスのBPMを上げ、複雑なドラムパターンを重ね合わうせのが大うけしたのが契機だという。

無数のストリージュークサウンドを背景にしつつ、ブリアルなどの2テップが生まれていった現象が思い出されるが、リバイバル         いうのが今日的だ。ポストニュージーンズという視点でとらえれば、ILLIの「Magnetic」が注目だ。また、ル・セラフィム「Eve,Psyche & Bluebea’s Wife」など、メインストリームからもジャージークラブを伺う動きも出てきた。

 大バズリしたクリーピー・ナッツ「Bling-BangーBang-Born」」もジャージークラブをベースにしているのはよく知られている。

 

 

 

 今年リリースされたスクエアプッシャー「ランドゥーラン」

はなかなの力作だったがなんと、テクノではなくBPM早めのトリッキーなハウス。 長い外出禁止期間を終えて、人々はパーティサウンドを欲している。

 

 

 

「Y'Y」AMARO FEITAS


 

 本作のリーダー、アマーロ・フレイタスはまるでパーカッションのようにピアノを演奏する。時に激しく、時に穏やかに、そして時にリリカルにと、その手数は決して少なくない。個人的には、『Sankota』(2021)で聴くことのできるスタイリッシュ&

スモーキーなプレイスタイルもECMっぽくて好きなのだが、本作の方が、より実験的でエッジが効いている。全体的にはアンビエントな雰囲気のアルバムで、ジャズというより環境音楽に近いといえるだろう。④「Danca dos Martelos 」では、ミニマルな音列を揺さぶるかのごときダイナミックな低音がエモーショナルに鼓膜を震わせる。③「Viva Nana」⑥「Y’Y」などではマーチン・デニーのジャングルサウンドの原型に出会える。ブラジルの沿岸都市レシーフ出身の彼はルーツを辿りつつ、独自の道を切り拓いている。本作では、ポストロックを代表するジェフ・パーカーや気鋭のハープ奏者ブランディー・ヤンガー、サウスロンドンのサックス奏者、シャバカ・ハッチンングスの参加もトピックスとなるだろう。ジェフ・パーカーをフィーチャーした⑦「Mar de Ciandeiras」は西海岸の新世代フュージョンのような作品。キース・ジャレットさながらのアブストラクトな音像が魅力だ。ブランデー・ヤンガーと共演した⑧「Gloriosa」はアリス・コルトレーンよりもクリアで解像度が高いところが現代のスピリチュアルジャズならではといえるだろう。アルバムの白眉となるのは、シャバカ・ハッチンングスのサックスが、緊張感を演出する⑨「Encantados」。高速グループを取り入れた、下手をすればアルバムとして統一感を損ないかねないナンバーだが、〈ブラジル〉と〈英国〉というジャズにとっての辺境(欧州におけるジャズの中心はパリだ)がつながっただけでも価値あるこころみといえるだろう。