Kamasi Wasington~コンピュータ時代のスピリチュアル      | Future Cafe

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Fearless Movement/KAMASI WASINGTON

 

 

〈Brainfeeder〉からリリースされたデビュー作の『The Epic』(2015)、移籍先の〈Young〉からリリースされた『Heaven & Earth』(2018)に続く、新作『Fearless Movemen』が届いた。カマシワシントンといえばコンセプチュアルアルバムのイメー ジが強いが、本作はトライバルな楽曲からコンテンポラリーなスローバラード、ファンカデリックやパーラメントをリスペクトしたPファンク、ダイナミックなドラムンベースまで、バラエティ豊かなトラックがランダムに並ぶ傑作だ。

 とは言っても、喧騒から静寂へと至る全体的ナ展開や締めのプロローグの存在など、アルバム単位でも十分に楽しめる内容になっている。アートワークからして、ルーツや自然、地球をモチーフにした壮大な世界観を体現した従来作と対照的に未来感を感じさせてくれるが、音楽的にもノスタルジーと近未来のバランスが見て取れる。

 カマシ自身、本作のことをダンスアルバムと語っている。もちろん、いささか韜晦気味のこうした言葉を鵜呑みにするわけにはいかない、しかしながらカマシの真骨頂であるコルトレーンが憑依したかのごとき①「Lesanu」、サンダーキャットによる猥雑なベースとラップが強列な②「Asha the  First」、御大ジョージクリントンを迎えた珍しいファンキートラック⑤「Get Lit」、ユニゾン風の出だしが楽しいg⑧「The girden pat]などを効いてみる限りでは、あながち韜晦とは言い切れない。

 前にも書いたかもしれないが、カマシの本質はスピリチュアルなところにあるのでなはい。スピリチュアルな意匠の裏側に隠されたポップの魔術師としての顔である。騙されてはいけない。カマシはスピリチュアルの皮を被ったイリュージョンニストなのだ。とりわけ本作は未来志向であり、ヒップホップなどにも近いい。