ホせ・ジェームズ ~ボーカリストの自画像。 | Future Cafe

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1978/JOSE JAMES

 

 ジャズ、クラブジャズ、ソウル、ダブステップ、ヒップホップ、オルタナティヴ、ネオソウルなど、ホセの足跡は多岐にわたる。しかし、そうした傾向も最近ではソウルへと次第に収斂されてきえた印象だ。

 アルバムタイトルの『1978』とはホセ自身が生まれた年であり、この頃になるとアーバンソウルが主流になり、マービン・ゲイ、ビル・ウィザーズ、ジョニー・ブリストル、ダニー・ハサウェイ、リロイ・ハトソン、リオン・ウェア、スティービー・ワンダーなどのゲームチェンジャーたちがこぞって現れて歴史を書き換えている。

 さらに、キャロル・キングやロータリー・コネクション等、ロック・フォーク畑からのアプローチも見逃せない.そうした勢力はソウルと混然一体となって、独自の空気を醸成していった。

マービン・ゲイの名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」を思わせる①「レッツ・ゲット・イット」や②「シリウス&オシリス」、風変わりなAORといった趣の③「プラネット・ナイン」など冒頭の数曲を耳にしただけで、このアルバムがソウルのルーツ回帰ではなく、自身の原点回帰であり、自らを形成してきた音楽と向かい合うものであることがわかる。

 あの頃の気分を、時代の空気ごパッケージして届けたい。そうした思いはフォーキーな女性ボ-カルを迎えた⑦「プレイス・オブ・ワーシップ」、ラテンパーカッションを導入した⑨「38th&シカゴ」にも反映されている。