前回妻の新作の犬服を紹介しました。ワンコ服の先生から色々と教わり作る様です。良く贋作と聞くと思います。特に骨董品の世界では普通にある様です。良くあるお寺の宝物ですがこんな話が有ります。例えば掛け軸を一年中掛けていると数年で劣化をします。しかし昔からお金を取るには立派な掛け軸が必要でした。そこで実際には贋作を掛けます。本物は大切に保管をしておきます。
しかし、ある時本物を売ってしまします。代が変わりその事を知らいない世代に成ると「この掛け軸は本物です」と成ります。その掛け軸を買う人が出てくる際には本物の掛け軸だと全員が思うそうです。又、江戸時代よりまえの古い時代では姫様が結婚する際などは手ぶらとはいかず、仕方がないので偽物を持っていく事は普通だったと言います。
北大路魯山人の言葉だったと思いますが、器などを作る際真似をすることは当たり前だと言います。しかし大切なのは何処を真似るかとの事、つまりは感性なのでしょうか。その感性で作品の出来が変わるのだと思います。妻の服、お手本が有るのでしょうか。服のデザインなどは出尽くしている事と思いますので後は感性が大切だと言えそうです。
話が変わり前回「切れ味に付いて考える」と書きました。
その中でステンレス系の包丁が研ぎにくいと聞きます。
ある日の刃物店での会話です。
店主「この間余りにも頼まれるので包丁を研いだんだよ。そしたらその話を他の人にしたらしくて何人も研いで欲しいと来て困ったよ」
持参する包丁はステンレス系の包丁です。一般の家庭用包丁だと思います。
店主「ステンレス系の包丁は研ぎにくいよね。買ったところに行きなさいと言うんだけど、通販なんかが多いんだよね」
私「ホームセンターなども有りますよね。確かに売りっぱなしですね。研ぐには合羽橋などへ行くしか無いのかなぁ」
身近に研ぎ屋さんが有れば良いのですが、「以前は研ぎ屋さんが来てくれたけど今は辞めちゅたのよ」とは良く聞く話です。
近所に刃物屋さんが有れば、少し高くともアフターサービスを考え研いで貰えるお店で購入する事とをお勧めしたいと思います。
包丁はメンテナンスが必要な道具だとの認識が必要かもしれません。
今日の本題です。先ほども出てきたステンレス系の包丁ですが、研ぎにくいと良く聞きます。私が何時も感じているのは鋼の包丁に比べると切れ味が落ちるです。つまりは研ぎにくいと成るのかも知れません。ステンレス系の包丁の方が切れないと考えている為気にしませんでした。しかし研ぎ屋さんなら客から「切れない」と言われるかも知れません。要するに私の研ぎ方が悪いため切れないのだという事です。
「刃物のおはなし」を読み返してみました。本では金属を高温にする事で分子が動きやすくなり、急に冷ます事で分子が元に戻れなかったり、冷ます際に特定の成分を入れる事で元とは違った状態にするそうです。つまりは必要に応じて硬くするという事です。
難しい話は置いておき本題です。ではそのステンレス系の包丁を研ぐ事にはどうしたら良いのでしょうか。我が家には
1.ペティナイフ:鋼材は不明ですが、飼う際に合羽橋の店主がとても高価な鋼材を使っているよと言っていました。
2.フィスラー:こちらも購入の際に一般の人が研ぐのは難しいと言われました。
実際にはフィスラーの方が研ぎやすいと思います。厚みが有るからかどうかは分かりませんが個人的な感想です。
今回はペティナイフの研ぎ方を考えてみたいと思います。
私の考えですが、
私「ダイヤモンドは何で削ると思う」
妻「しらない」
硬いダイヤモンドを削るのはダイヤモンドだと思います。硬いものを削るにはそのものより硬いもので削るのは必然です。砥石の場合その成分の話を良く聞きます。鋼と同等かハガネより少し硬い成分などのフレーズを聞いた事が有ります。その中で石英などの単語良く聞くのでは無いでしょうか。
今回は単純に砥石で考えてみました。木を見て森を見ずとは良く言いますね。ステンレス系の包丁が研ぎにくい理由として炭化物の話を良く聞きます。しかしここは単純に研ぎにくい部分が有るためと考えてください。
今回の研ぎ方
1.硬い石のみを使う
以上です。下の写真ですが、持っている中では硬めの砥石たちです。
初めは青砥ですがこの石は兎に角硬い石です。手に入れた際、余りの硬さに購入した浅草橋の森平に使いかたが分からず聞きに行った事を書いた事が有ります。次は合せ砥です。田村山と奥戸ですが硬さでは奥戸の方が上です。
弟子「ステンレスに硬い石って今までも試した事が有るのではないでしょうか」
私「有りますよ。しかし今まではどうやって研ぐかに主眼を置きました。今回はステンレスの包丁を研ぐを考えています」
弟子「違うのですか」
私「今まではステンレスに合う石を探しました。つまりは相性に重点を置きました。今回は硬い石が有うと決めて研ぎます。つまりは石はありきで使いかたを考えます」
本日のまとめ
その結果ですが意外な副産物が生まれました。包丁の研ぎですが結果は非常に良かったと思います。しかしまだまだこれからの部分は多いと思いますが、切れ味に関しては向上したのでは無いでしょうか。実際の研ぎ方などは今後機会があれば書きたいと思います。
*今回は天然砥石での研ぎです
*研ぎ方自体は実際にはそんなに変わりは有りません
ここで鋼製の包丁との切れ味の違いを比較したいと考えたのが意外な方向に向かった要因に成ります。
下の動画ですが、比較の為に鋼の菜切包丁も出してきて切り比べしました。
*生活音や咀嚼など不快な音が入っています事ご了承ください
元々はペティナイフの切れ味の確認の為にフルーツトマト(アメーラ)を切ってみました。その際に切ったトマトを食べたのが発展の理由です。
先ずペティナイフで切ったトマトですが、
「ヨーグルトの様な味です。酸味と甘味のバランスからそう感じました」対して重房の菜切包丁で切った包丁ですが、
「甘いです。酸味を余り感じません」
フルーツ感はもしかしたらペティナイフで切ったトマトの方が上かもしれません。程よい酸味が感じられます。一方、菜切包丁で切ったトマトは兎に角甘さが強調されます。
確かに切る包丁により味の違いを感じられます。映像の通り切れ味では遜色ないと思います。しかしもしかしたら味の違いは切れ味の違いなのかも知れません。
さて、どんなものなのでしょうか。刃物の刃先は1ミクロン以下が理想と言います。「刃物のおはなし」では炭化物に付いてその大きさなどが書かれています。科学的な事は書けませんが、個人の実験においては二つの事を言えると思います。
「ステンレスより鋼の包丁で切ったトマトの方が酸味が抑えられる事で甘さが引き立つ」
「ステンレス製の包丁も研ぎ方で切れる様な気がする」
現在の表現ではこのようになります。