インド亜大陸旅行記 -60ページ目

インド4日目 ジャイプル

『だから、言っただろ?』


今日から本格的な「観光」のスタートである。
朝9時に起き、クリケットの試合を放送しているテレビを横目で見ながら出発の用意をし、10時にドライバーのハリスとホテルを出る。

まず最初に向かったのは、ジャイプルから北へ11Km、丘の上に建つアンベール城。
ハリスとお互いの英語発音の悪さでもめにもめながら山道をノロノロと走ると、城のふもとにある駐車場へと到着する。
ここからは、ゾウに乗って城まで行けると聞いていたので、ウキウキしながらハリスとゾウ乗り場まで行こうとすると、「お前ひとりで観光して来い。」と言われる。
城内をガイドしてもらわないと困るので、一緒に行こうと誘ってみるが、「俺はドライバーであって、ガイドではない。ガイドがいるなら自分で金を払って雇うがいい。」と言われてしまう。
確かに正論だとは思いながらも、昨日の買い物ツアーの時は自ら進んでついてきたのに(コミッションが貰えるから)、と怒りながらゾウ乗り場へと向かった。
ゾウは4人乗りで、1頭400Rs(約1000円)とインドの物価にしては高額のため、他の日本人観光客とシェアしようかと思ったが、日本人らしき顔が見当たらないため、贅沢にも独りで乗ることに。

と言う訳で、怪しいゾウ使い操縦のゾウに乗り、山のふもとから30分ほどかけて、のっしのっしと山の上にある城まで石畳の道を上る。
ゾウの背中から見る景色は最高であるが、乗り心地は決していいとは言えるものではなく、進むと左右に揺れるため、安全バーに掴まっていないと振り落とされそうになる。
「もう二度とゾウには乗らないゾウ…」と、寒いことを言ったかどうかは忘れたが、何度かゾウのトイレタイムで立ち往生しながらも無事、アンベール城へと到着する。

ゾウから降り、「ダンニャワード(ありがとう)」とゾウ使いのオッサンに礼を言い、城の入り口へと向かおうとすると、「おい、チップよこせ」とスマイルで言われた。
400Rsも払った挙句、チップは嫌だと思いながらも、渋々10Rs(約25円)を手渡そうとすると、今度は「50RS(約125円)よこせ」と要求してくるではないか。
さすがにこの態度にはカチンときたので、「ふざけんな!ヴォケ!」と日本語で言い返し、その場を去る。
背後でなにやらワイワイと言われていたが、何を言ってるのか分からないので、よしとする。

城内に入り、ディーワーネ・アーム(一般接見の間)やジャイ・マンディール(勝利の間)、庭園など、いろいろと見学する。
特に壁に施された装飾が美しく、「マハーラージャ、すげーなぁ…」なんて呟きながら城内をグルグルとした。

1時間ほど見学していたが、飽きてきたので帰ることに。
アンベール城のさらに上に“ジャイガール要塞”という建物があったので、行く予定だったが、30分も登らなければいけないと聞いたので、また今度にする。
行きはゾウで登ってきた道を歩いて降り、ふもとにあったボロボロの安食堂で20Rs(約50円)のターリーを食べ、次の目的地であるマハーラージャ宮殿へと向かった。

道中、湖に浮かぶホテルに寄ったのだが、この地域は2年間ほど雨が降っていないため、水が枯渇し、湖底が子どもたちの遊び場と化していた。
近寄ってくる葉書き売りの子どもたちや笛吹きのオッサンらを蹴散らしながら車に戻り、再び宮殿へと向かった。

マハーラージャ宮殿は市内中心部に存在する、今でも現役のマハーラージャ住居である。
ひょっとしたら金持ちマハーラージャに会えるかもしれないとドキドキしながら入り口で「One person(インド独特の言い方?)」と告げ、入場料を払うと、窓口の向こうからオッサンが「コンニチハ」と日本語で話しかけてきた。
そして、「暇だから一緒にチャイでもいかが?」と誘われたので、30分ほど雑談することに。
このオッサン、日本人観光客が多いので自然と日本語が身についてしまったそうだ。
会話中、何度も「悪いインド人に騙されないように気をつけて」と忠告をうける。
しかし、もう既に、悪いインド人に騙されてツアーに来ている身。忠告されればされるほどヘコむ。
ブルーになりながら宮殿内を見学し終え、マハーラージャにも会えず、宮殿の隣にあるジャンタル・マンタル(天文台)へ向かった。

ジャンタル・マンタル(奇妙な器具)と呼ばれるだけあって、とてもユニークな形の日時計、星座儀、天体経緯儀などがあり、ちょっとした芸術品のようにも見えてくる。
まるで岐阜県にある、養老天命反転地みたいであった(分かる人だけ分かればいい…)。

その後、ジャイプルのシンボルである、“風の宮殿”を見学し、渋滞のピンクシティ(旧市街は町並みがピンクに見えるのでそう呼ばれる)をノロノロとドライブしながらホテルへと帰った。

本日も昨日に引き続き、オープンテラスでビールを飲む。
ドライバーのハリスが何度も「ツアーが終わったら、いくらチップくれるんだよ?」と聞いてくる。
チップの相場も知らないし、まだツアーの半分しか終了してないのに、そんな話はしたくないので「話は最終日にしてくれ」と露骨に不快な顔をすると、ヒンディー語で叱られた。
よく分からない。むしろ叱りたいのはこちらの方だが…。

夕食のカレーを食べ、部屋へと戻る。
この部屋で独りになる時間が、一番安らげる時間である。
それと同時に、寂しくて、いろんなことを考え、日本に帰りたくもなる時間である。
このツアーが終わったら、日本へ帰ってしまおうか…どうしようか…